エセ- (2)

  • 白水社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560025758

感想・レビュー・書評

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  • 全体として、ギリシャ・ローマ時代の偉人の言葉を引き合いにして語られるモンテーニュの思想は、哲学より歴史の面白さを感じられる。
    フランス語で歴史をなんというのかは知らないけれど、英語のhistoryとはまさに、彼の話ってことで、何年に何があったかではなく、だれがいつ何をしたかってことなんだな。(中国の歴史もそうだよね)

    ”洋服がわれわれを暖かくするのは、その熱によってではなく、われわれ自身の熱によってであり、洋服は、その熱を大切に保ち、はぐくむのに役立っているというのと同じだ。”

    第40章「幸福や不幸の味わいは…」に書かれているように、自分を幸福にするのか不幸にするのかは自分次第。
    同じ体験をしても、幸福に転換できるか不幸として受け取るかは、自分の心持による。
    まあ、それに対する忍耐力もそれぞれなので一概に自分のせいと切り捨てることもできないけれど、なるべくポジティブに受け取ってネガティブに備えようと思っています。(デフォルトがネガティブなので)

    ”自由身分の女性は、酔っている場合を除いて、侍女を二人以上連れて歩いてはいけない。夜、町の外に出てはならず、金の宝飾品を身につけたり、宝石で飾り立てたドレスをまとってはならない。ただし、娼婦たちは例外とする。男は、放蕩者をのぞいて、金の指輪をはめてはならず、ミレトスの町で織られた毛織物のような、きざな服装をしてはならない。”

    第43章「奢侈取締令について」
    特権階級しかぜいたくをしてはならないというのではなく、飾り立てるのは恥ずかしいことというふうに世論を持って行かなくてはダメだという。
    以前松本人志が、「暴走族」って言うとかっこいいように思えるから、「鼻くそ団」とか、小学校低学年の子が喜びそうな恥ずかしい名前で呼んでやれば、暴走行為はなくなるのでは、と言っていたことを思い出す。

    ”どんな野菜があれこれ入っていても、すべてはサラダという名称で一括される。”
    第46章「名前について」

    じゃあ、髙木くんがレタスのことをサラダと呼んでいても問題ないね。
    「レタスは野菜で、サラダは料理の名前です」と言われてもピンときてなかったみたいだから、これからは野菜すべてをサラダと言おう。笑
    だってモンテーニュがそれでいいって言ったも~ん。←間違った権威主義

    ”ヴェネツィアは沼地のせいで、パリは泥のせいで、鼻につーんとくるのが玉に瑕である。”
    第55章「臭いについて」

    そうだったのか…。
    いや16世紀の話ですけど。

    ”わたしにいわせるならば、われわれの精神は、二十歳までにはかなりの成長をとげて、その先どうなるのかもわかると思う。その年齢になっても、能力のほどのあきらかな証拠を見せないような人間は、その後も実際に能力を発揮することはまずない。天賦の資質や能力が、このころまでに、その美しさや力のほどを現さないというのなら、もう一生、それが現れることなどないのだ。”
    第57章「年齢について」

    遅咲きの人もいるから一概には言えないけれど、おおむね賛成です。
    二十歳を過ぎてまだ、「俺はまだ本気になってないだけ」なんて思っているのなら、本気になる才能がないのだから、この先もこのままの可能性は大。
    けれど現代の日本の若者は、勉強ばかりを優先させられて、何事についても実践の経験値が低い場合が多いので、謙虚に経験値を高めていけば、どこかで花開くこともあるかもね、と思いたい。

    あれ?
    結局偉人の言葉からのあれこれは、あんまり刺さらなかったなあ。
    さすがにギリシア・ローマの偉人の言動を身近には引き寄せられないからなあ。
    セネカとかウェルギリウスが何を言おうと、他人事として面白いだけなんだなあ。

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  • 図書館本 954.3-Mo37-2 (100080038303)

  • モンテーニュの著作はまるで長い時間を共に苦労した旧友に出会えたような気分にさせてくれる。

    無知な人の信仰心、中途半端な人の無神論、そしてさらに崇高な人の深みを増した信仰心。

    30歳を過ぎて、心身ともに増えるよりは減った。前進するよりは後退した。なるほど時間を上手に使う人は年と共に知識なり経験なりが豊富になるかもしれない。でも活発さや敏捷さ、それに粘り強さなど人間本来のとても大切で欠かせない能力は色あせて衰えていく.

  • 志朗による巻末コラムもよいです。訳文のリズムとコラムのリズムが、みごとに調和しています。あたりまえのようで、じつは相当の筆力がいるのだと思います。おそらく、これもまたモンテーニュの優雅さを引きだすための演出なのでしょう。。

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