ミイラにダンスを踊らせて 新装版: メトロポリタン美術館の内幕

  • 白水社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (566ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560038796

作品紹介・あらすじ

1967年、第七代館長に就任するや、「メットの経営もGMの経営も同じだ」と喝破し、寄付寄贈の取り付け、名品の購入、魅力的な展覧会の連発、キュレーターの新人事と過激な改革の道を走り続けた名物館長。派手好きで陽気な彼がいま明かす、楽しくも熾烈な戦いの日々。興味つきない回想録。

感想・レビュー・書評

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  • 内容に興味はあるし、面白いエピソードも一杯なのに、進まなかった一冊。

  • 元メトロポリタン美術館の館長さんが書いた本です。
    ぱっとしなかったメットを、大胆に改革していきます。美術品を購入するために大富豪から寄付を集めたり、大富豪の持つコレクション寄付してもらえるよう、あの手この手を使ったり、オークションで落札するまでの様子、半ば犯罪行為を犯してでも海外から美術品を持ち帰る……。無茶するよなぁ~。
    でも、本を読んだだけでも面白そうな美術館なので、是非いつか行きたい美術館のひとつに入りました。

  • 「主な登場人物たち」の表がないので不完全版だけど作った!理事、キュレーター、大金持ち等々が続々出てきて私の脳容量ではスタックオーバーなのに、さらに1人の人物をセオドール、テッド、ルソーと呼びわける。ジャック、ダニー、ボビー…ってのもありがちで覚えにくい。まぁ、そういう本も今までないわけではないので(例:「スターリン赤い皇帝と廷臣たち」)、途中までは誰だか分からなくなってもやむなしと読み進めていたけど、中盤、主人公とヨーロッパを旅するテッド・ルソーがかなり重要な人物のようなのにこの人は一体誰?、この人のことを知らないまま読み進めては後悔しそうな気がすると思って、最初からもう1回、名前を書き出して整理してみたのだった。そういうことしたくなるくらい面白いってことだが、冒頭に「主な登場人物」は付けるべきなボリュームではある。
    1967年に35歳でメット館長に就任したホーヴィングはもともと中世美術が専門の同館のキュレーターだったのだが、NY市長選に協力してそのまま市長のスタッフとなっていたところ、前館長の急死でメット館長に就任する。若くて野心的で喧嘩早くて活動的で政治力もあって、どの分野でもそれなりのコトは成し遂げそうなホーヴィングさんのその力を、美術という世界で発揮してくれたことで、メットはコレクションの収集、展示の企画、収益のあげかたなど次々と「イノベーション」を起こし、20世紀以降のミュージアムのロールモデルとなったと思う。大金持ちにコレクションを寄付させたり購入資金を出させたり(結果的に税金対策の面があったんだろう)、政府間の外交手段として展覧会用に作品を貸し出させたり。それらをほぼ無料で一般市民が見ることができて、レプリカやミュージアムグッズを買うことで一般市民も出来る範囲でお金を出すことが出来る。このモデルはとても理想的だが、20世紀の終わりと共に終わってしまった気もする。アートを集め、広く公開するのはノブレスオブリージュの1つの形だと思うが、今はそういう余裕がない感じ。
    エピソードがでかく、なまぐさくて、アート・収集とその価値と、政治や権力の関係を考えずにはいられないが、そういう権謀術数の渦中で結構あくどいこともするホーヴィングさんが、素晴らしい芸術や美しいものに向き合うとメロメロになってしまうところが本当に愛らしくて、芸術を愛する人には最終的に悪い人はいないんだろうなってつい思ってしまう。

  • 1967年から77年までニューヨークのメトロポリタン美術館の館長を務めたトマス・ホーヴィングの回想録が出ると知って即買った本。
    盗掘、盗品、賄賂、名誉欲と野心が横行する世界有数の美術館の舞台裏がよくわかる。
    そして、非常に政治に長けた人々の野心満々のやりとりが興味深い。
    野心を持たない、ということはアメリカでは無能とイコールだが、野心を剥き出しに、かつ有能であるということは非常に疲れるのだなと思う。

  • 1967年から77年までニューヨークのメトロポリタン美術館の館長を務めたトマス・ホーヴィングの回想録。500ページを超える分量だが、最後まで面白く読めた。40年近く前の回想なのだが、古さは全く感じなかった。

    政治とセレブリティたちとのパワーゲームの中で美術品を収集し、組織を改革し、建物を大規模に改修し、そして数々の刺激的な展覧会を仕掛けていくホーヴィングの八面六臂の大立ち振る舞いがリズミカルに描かれている。翻訳も◎。

    建築関係の方にはメット改修を手掛けたケヴィン・ローチ&ジョン・ディンケルーがどんなプレゼンテーションをしながら世紀の大改修を手掛けていったか、といったところが楽しめるのではないかと思う。

    本書は村上龍氏が発行しているJMMというメルマガに隔週(くらい)で寄稿している春具氏が以前紹介していた本だったのだが、氏の読書量は相当なもので、これまでも氏の紹介していた本を何冊か読んでみたのだがハズレがない。面白い本でした。

  • NYメトロポリタン美術館の館長だった10年間をつづった
    なんとも魅惑的で痛快な回想録。
    “メットは、ある意味でヴァチカンとベルサイユとスルタンの宮廷と
    アリババの洞窟を全部一緒にしたようなところなのだ。“
    アートとビジネス、歴史と陰謀を巡る、めくるめく冒険の数々・・・
    何度読み返しても大興奮。

  • 権威欲と政治力を持つ上流階級の人たちがヌラヌラと相手の裏を読みながらメットを盛り立てて行こうとしてたことが分かる本。読みやすいっちゃあ、読みやすいけど、息苦しい。幕裏のことが生生しく書いてあるのでリアリティはある。でも読む側も、筆者の裏を読みながら読まないとあっという間に煙に巻かれるような感覚になってしまう。そして密輸入って美術や博物の世界では当然のように行われているのだなあ、と分かりました。

  • NYに行く前に絶対お奨めと紹介されて。

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