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- Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560093948
作品紹介・あらすじ
日清戦争から宣統帝退位に至るまで、個性豊かな主役・脇役の人物像に焦点を当て、激動の時代を生き生きと再現した壮大なドラマ。
感想・レビュー・書評
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清末通史の知識はあったが、生き生きとした描写に引き込まれた。大量の中国語文献を使いつつも著者が意識するのが、政治的動機からの中国共産党史観からの自由な評価。近代化や、革命後の比較的円満な体制移行における袁世凱の手腕を著者は高く評価する。
列強に伍するほどの近代化や清朝の維持は成らなかったが、それでも李鴻章をはじめ、体制側で時には泥をかぶりつつ懸命だった人々に対しては、著者の視線は温かい。北洋艦隊の指揮官たちの最期は胸に迫る。義和団事件に際し列強に対し慈禧が出した宣戦の詔がありつつも、北京で「綱渡りで戦争のまねごと」をしていた栄禄や、「東南互保」を結んだ地方有力者たちの苦労を想像する。
また、各重要人物は保守か開明か自己利益かと単純に色分けはできず、慈禧すらも含め一人の中に各要素が併存していたのだろうと感じた。
光緒帝と康有為が「軽躁」との評は知っていたが、実務の裏付けがない思いつきのような詔の乱発などを見て、その思いを強めた。クーデター計画に乗らなかった袁世凱が極めてまともな人物に見える。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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