清朝滅亡:戦争・動乱・革命の中国近代史一八九四―一九一二

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  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560093948

作品紹介・あらすじ

日清戦争から宣統帝退位に至るまで、個性豊かな主役・脇役の人物像に焦点を当て、激動の時代を生き生きと再現した壮大なドラマ。

感想・レビュー・書評

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  •  清末通史の知識はあったが、生き生きとした描写に引き込まれた。大量の中国語文献を使いつつも著者が意識するのが、政治的動機からの中国共産党史観からの自由な評価。近代化や、革命後の比較的円満な体制移行における袁世凱の手腕を著者は高く評価する。
     列強に伍するほどの近代化や清朝の維持は成らなかったが、それでも李鴻章をはじめ、体制側で時には泥をかぶりつつ懸命だった人々に対しては、著者の視線は温かい。北洋艦隊の指揮官たちの最期は胸に迫る。義和団事件に際し列強に対し慈禧が出した宣戦の詔がありつつも、北京で「綱渡りで戦争のまねごと」をしていた栄禄や、「東南互保」を結んだ地方有力者たちの苦労を想像する。
     また、各重要人物は保守か開明か自己利益かと単純に色分けはできず、慈禧すらも含め一人の中に各要素が併存していたのだろうと感じた。
     光緒帝と康有為が「軽躁」との評は知っていたが、実務の裏付けがない思いつきのような詔の乱発などを見て、その思いを強めた。クーデター計画に乗らなかった袁世凱が極めてまともな人物に見える。

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著者プロフィール

1962年鹿児島県出身。東京外国語大学中国語学科卒業後、読売新聞社入社。新潟支局、ハノイ支局勤務ののち、計十数年にわたり北京特派員。中国総局長、論説委員などを経て、現在、中国駐在編集委員。著書に『覇王と革命――中国軍閥史一九一五-二八』(白水社)、訳書に馬立誠『〈反日〉からの脱却』、同『反日』、共著に『膨張中国』(以上、中央公論新社)など。

「2017年 『張作霖 爆殺への軌跡一八七五‐一九二八』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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