生きてるものはいないのか

著者 :
  • 白水社
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本棚登録 : 134
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560094013

感想・レビュー・書評

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  • 『もっと真剣に考えてよ』
    『俺だって真剣に考えてるよ』
    『二人でそんなお祭りみたいなもの飲んで、全然真剣じゃないじゃない、もっと真剣に考えてよ』

    『でも後で保障とかしてもらうとき、お金もらえないかもよ』
    『どうせ、もらえないよ、何人も死んだでしょ、あっちの遺族に払わないといけないもん、俺らみたいにそばにいただけで気持ち悪くなっただけじゃ、お金もらえないよ』

    『なんで? 踊りたいの?』
    『踊りたくないよ ー 踊りたくないけど、踊らないといけない時だってあるじゃん』

    『知らないけど、カツフミ君のこと愛してるから』
    『知らないのにどうしてそんなこと言えるのよ』
    『知らないから愛せるんでしょ』

    『知らない、踊ってたら死んだ』
    『踊り? なんで踊るの?』
    『え?、え?、踊らないといけないときがあるから?』

    『うん、あ、俺そろそろちょっと死にそうなんで、すいません、ほんと見守ってもらって良いですか』
    『いやだから急いでるから』
    『すぐ、すぐ』
    『ほんとにすぐ?』
    『はい』
    『、でも、ホント急いでね、俺ホント急いでるから』

    『いや、あの、だから妹がさ、この近くにいるはずなんだよ、だから会いたくて』
    『会ってどうするんですか』
    『どうするって、どうもこうもないけど、だって会いたいじゃん』

    『つうかまだ? あの、あれだったらちょっと悪いんだけど、そろそろ』
    『待って待って待って待ってください、す、すぐですから』
    『あのー、ちょっと、これあのーなんだろ? いいことかもしれないんだけど ー なんか回復してない?』
    『いやいやいや、全然、虫の息ですから』

    『みんな死んでるんだよ ー 俺たちも死ぬかも知れないんだよ』
    『だって、そんなの当たり前でしょ、みんな死ぬのなんて』
    『そうだけど、何にもしてないのに』
    『何かしても、何にもしなくても、死ぬんじゃないの?』

    『もうすぐ警察とか、自衛隊とかが助けに来るだろ』
    『なんで、今来ないの』
    『え? なんか、まだ準備してんじゃない?』
    『なんの?』
    『、え、でも、最悪アメリカ人が助けに来てくれるから』
    『アメリカ人もみんな死んだんだよ』
    『アメリカ人何人いると思ってんだよ』
    『知らないけど、みんな死ぬんだよ』

    『ありがとう、世界』

    『あ、それ、僕も言おうと思ってたのに、なんだよ』
    『あ、残念』
    『あ、じゃあ、すいません、自分、逝かせてもらっていいすか?』

    『、う、うう、ありが、サンキュウ、世界、』

    『みんなが死ぬんなら寂しくない気がする』
    『、あ、そう?』
    『だって、私が死んだら、世界がなくなっちゃうのと一緒でしょ、だから、世界が死んで私が生き残っても、一緒でしょ』

  • 2012年3月18日(日)、読了。

  • 何回か読んでいたが、映画化されるとのことで読み直し。たくさん出てくる登場人物を確かめながら読んだり、ただざーっと流れで読んだり。とにかく一度は五反田団の舞台が観たい!映画はまた、染谷くんも出るらしい。村上淳とか。

  • 岸田國士戯曲賞受賞
    やからっていいってわけ。

    ありがとう、世界

    スピード速いわ。、

  • 前田司郎すげー!

  • 死ぬときは理由もなく死ぬ。不条理だというなら、その不条理をそのまま書いた傑作。

  • 戯曲はいまいち・・・・。松尾スズキのような戯曲からですら物語空間が喚起されるものがない。

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著者プロフィール

1977年生まれ。劇作家、演出家、俳優、小説家。和光大学人文学部文学科在学中に劇団「五反田団」を旗揚げ。2005年『愛でもない青春でもない旅立たない』(講談社)で小説家デビュー。同作が野間文芸新人賞候補となる。2006年、『恋愛の解体と北区の滅亡』(講談社)が野間文芸新人賞、三島由紀夫賞候補、2007年、『グレート生活アドベンチャー』(新潮社)が芥川賞候補に。2008年には、戯曲「生きてるものはいないのか」で岸田國士戯曲賞受賞。同年、『誰かが手を、握っているような気がしてならない』(講談社)で三島由紀夫賞候補。『夏の水の半魚人』(扶桑社)で第22回三島賞。その他の著書に、『逆に14歳』(新潮社)などがある。

「2011年 『小説家の饒舌 12のトーク・セッション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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