100の神話で身につく一般教養 (文庫クセジュ973)

  • 白水社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (145ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560509739

作品紹介・あらすじ

西洋文化において一般教養の基盤となる神話。キーワードとなる人物名・概念・事項・出来事を「伝説」「寓話」「作中人物」「うわさ」「宗拝」の五つの項目に分けて記述。神々や英雄が登場する物語、教育的な教訓を説明するもの、故意につかれた嘘として読まれるべき神話など多岐にわたる内容となっている。

感想・レビュー・書評

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  • 以前、ある語学番組を観ていたとき、ゲストとして出演されていた国際的なビジネスマンがこんなことをおっしゃっていた。「正直にいって、自分は○○(世界的な多国籍企業)のCEOになれたと思う。でも、なれなかった。仕事では誰にも負けなかったけど、パーティーやレクリエーションの場で交わされる、文化的な会話にまったく入っていけなかった。仕事の話しかできない人間は、結局それが求められる以上の地位には上がっていくことはできない、と身にしみた。」ここまでハイブロウじゃないけど、私も、あるやりとりで「羊」とだけ記して渡したら、「羊といえば、こちらでは『神の子羊』です」と、やんわり退けられたことがある。字面だけわかれば済むことも多いものの、それ以外の背景理解でつまずくこともまた多い。外国語そのものよりも、こちらのほうが広くて深くて面白く、同時にちょっと厄介でもあるんだけれど。

    高校生のときの古典の授業に出てきた、「花といえば桜、山といえば比叡山、祭りといえば葵祭」といったキーワードをフランス文化に即して集めた本。「神話」のタイトルどおりのローマ・ギリシア神話だけでなく、ヨーロッパ文学のアイコンになっているフレーズや、人気ドラマのキャラクターと、それが何の代名詞として使われているかが、コンパクトに解説されている。訳者あとがきで少し触れられているように、これらのキーワード(特に文学ネタ)は、このようなハンドブックで解説される以前に、高等教育を受ける者には最近まで常識の範疇だったらしい。移民や教育意識の変化で、高等教育を受ける際に仕込んでおかねばならない教養ネタ本としての需要ができたということのよう。

    読みものとしては、海外文学などで自分も触れて、なんとなく知っているものよりも、フランス国内でしか通用しないテーマのほうが面白かった。ヴェルキンゲトリクスのような、ガリアネタをはさんでくるところにご当地色を感じて楽しい。でも、彼が英雄だけじゃなくて、プロパガンダの代名詞であるという解説がなかなかシニカルで、そこがフランス的批評眼だと思った。絵本やマンガで知っているフランスのキャラクターでも、タンタンはOKで、バーバパパは出てこない。インテリ層に話を振っても安定のキャラ、というのが選定基準かもしれない。でも、バットマンはいいのか…ミシェル・ヴァイヨンをものすごく好きな知識層だっていそうなものを。

    「ここに書いてあることって、いつ役に立つんだ?」とのツッコミには、日本で生まれて暮らす身として、「さあ…まあ、知らないよりは…」としか答えられないのですが、フランス人、ひいてはヨーロッパ人の根っこのところに何があるかを知っておくには、ぱらぱらめくるのも悪くない本です、はい。

  • 知っていると知らないでは、大違いかも知れない、、、

    白水社のPR
    「欧米において一般教養の基盤となる神話を五つの項目に分けて解説。変化に富んだメッセージはあらゆる文化の中に存在する。」

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/691811

  • この本を読んだ上で、書かれていることについて調べればある程度の常識は身につくと思った。100の神話の選び方はけっこう笑った。

  • この単語の裏にはこういう意味がある。
    こういう風にフランス人は感じるのかぁ…
    と、純粋に新しい発見

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