死にいたる病 現代の批判 (白水Uブックス 1099)

  • 白水社
3.86
  • (3)
  • (1)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 41
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560720998

作品紹介・あらすじ

「死にいたる病とは絶望である」。人間として生きてゆくこと自体にはじめから含まれている矛盾と不条理。生きることの苦悩に極限まで対決しつづけたキルケゴールの思想が、余すところなく吐露された二つの名著を収録。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • <読書を愛する人々よ、絶望し続けながら生きていこう!>

     とりあえず、『史上最強の哲学入門』(飲茶・著)が凄い! しかしながら、その本に登場する西洋の哲学者たちのなかでただ一人、やけにあっさり扱われたのがキルケゴールでした★ ヘーゲルの論に反対していたという以外の記述がなかったような気がします。どのような主義の持ち主だったのかを知りたくなり、自分でキルケゴールの代表作『死にいたる病』に手を出したのです。

     なんと、絶望を肯定する書物です☆ 著者曰く、他の動物は絶望しないが、人間は誰でも絶望するのだとか! 自分でも気づかぬうちに絶望したりやはり気づいたり、絶望しながらも自己探求したりしなかったりと、さまざまな絶望の仕方をするらしいのです。
     みんなそんなに簡単に絶望してるかな~? その点が疑問ですが、キルケとしては、人間なら絶望するものだよと述べているようです。ああ、なんとも手に負えない絶望名人を見つけてしまった☆
     キリスト教的な部分が私には理解できないので勝手な意見ですが……、人間的な活動の一種として、宗教というものがありますよね。生きる喜びや希望の光を信じるような精神活動です。そう考えると、キリスト教圏において「絶望OK!」な思想を唱えるのは、なかなか特異な存在だろうなと思います。

     人間、あくせく働いて食べて暮らしていくだけでも、「生きている」と呼べる状態は成立します。「生きることは食べること」と迷いなく言い切る人もいるでしょう。ですが、そのように生命維持のみに努めるのが生きることであるなら、何かを感じたり考えたりするのは無駄だと言われるに等しい。だとしたら、生きる希望を感じられなくなる。
     しかし、そんなことを強要される場面が実は多いのです。意見なぞ持たずいつもにこにこして、文句言わずに働く人が生きやすい社会。この状況こそ絶望的で、読書を愛する人の大半が頻繁に絶望していると思うけど、その絶望は続けるしかなさそうです★

  • キルケゴールが読みたくて買った一冊.
    哲学書にはありがちなことですが,同じ事を言い方を変えて何回も書いてたので落ち着け!ってなった.
    原書を読めばまた違うのかもしれない.

  • 楽に死ねるようになる本じゃなくて苦しくても死ねなくなる本。あれも絶望。これも絶望。たぶん絶望。きっと絶望。

  • 自己を持つ事が不幸なのか

全5件中 1 - 5件を表示

キルケゴールの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×