世界の神話百科: ヴィジュアル版 (アメリカ編)

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  • Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562035199

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  • 学校に所蔵なし
    所蔵館:名古屋大学情報・言語合同図書室など

    北アメリカ、メソアメリカ、南アメリカの神話を詳細に解説。
    フルカラー図版500点収録と見ごたえのある一冊。

  • D・M・ジョーンズ、B・L・モリノー=著、
    蔵持不三也=監訳、
    井関睦美・田里千代=訳
    原書房
    訳本2002年
    原著2001年


    シャメン・エク
    Xamen Ek
     ア・チクン・エク(Ah Chikum Ek)とも。マヤのC神で、北極星の神である(シャメンとは「北」を意味する)。コデックス(絵文書)では、しばしば*エク・チュアフ「黒い星」ないし「黒い戦士」との関連がみられる。シャメン・エクは、獅子鼻で頭に黒い斑点がある姿をしており、それゆえ*猿面神とよく関連づけられ、マヤの暦日*チュエン(猿)をつかさどっている。その象形文字も猿の頭に似ており、「北」を示す。善神で、*チャクとともに現われることが多い。
     北極星としては、商人の守護神かつ案内人であり、彼らの遠距離交易網はマヤ文明において非常に重要であった(→老いた黒神)。マヤ文化圏のユカタンやペテンと緯度を同じくする地域では、北極星は一年中位置を変えない星であった。そうしたシャメン・エクのとりなしと恩恵を求めるため、沿道に特別に設けられた祭壇に祈祷とポンの香(コパルの木の樹脂)が捧げられた。この神はアステカのヤカテクートリに相当する。(pp.248-249)


    エク・チュアフ
    Ek Chuah
     マヤのM神。「黒い戦争指揮官」として知られ、悪の化身としてはユカタンの戦神、善の化身としては、旅行者や商人および繁栄の神でもある(→老いた黒神)。善の神としては、商品の入った包みを背負い、杖を手にした商人の姿で登場する。ユカタンのマヤ語では、「エク」とは「黒」や「星」の意で、エク・チュアフは多くの場合、シャメン・エク(北極星)と関連していた。事実、シャメン・エクの顔をもつエク・チュアン像の作例が少なくとも1点あり、これは後者が北極星と商人たちの案内人であったことを物語る。一方、「黒のサソリ」、商人たちの神、「黒い戦争指揮官」としてのエク・チュアフは、大きく垂れ下がった下唇を有する姿で表わされ、その姿は、黒く彩色された顔とまわりを黒くくまどりされた目をもっていた。もちろん戦争指揮官である以上、戦死した者たちに固有の守護神でもあった(→ブルク・チャブタン)。
     エク・チュアフはまたカカオ(テオブローマ・カカオ、ココア、チョコレート)の守護神でもあるが、これは蜂蜜(→ア・ムセン・カブ)と並んで、マヤの交易でもっとも重要な交易品のひとつであった。メソアメリカ人はカカオの実を小さな家庭用品を購入するための貨幣としても使用していた。スペイン人による征服後、カカオの実は労働者の賃金としても用いられた。こうしたカカオのプランテーションの所有者は、ムアンの月(18ある暦月の15番目)にエク・チュアフをたたえた祭儀を行なった。なお、商人の神としてのエク・チュアフは、アステカの*ヤカテクートリに相当する。
    (p.208)


    猿面神
    Monkey-Faced god
    おそらくマヤの北極星の神シャメン・エクのこと。北極星の神としてはマヤの暦日チュエン(サル)をつかさどっていた。
     フン・バツとフン・チョウエンの兄弟も「猿面の神」であるが、これは双子の弟たちのすなわちフナフプとシュバランケの策略で森で猿に変えられてしまったからである。しかし、フン・バツとフン・チョウデンの技術はマヤ人に讃えられ、コデックス(絵文書)では、芸術と工芸の守護神として、また芸術家、音楽家、踊り手らの守護神として描かれている。
    (p.237)


    チュエン
    Chuen
     「猿」の意。マヤの20ある暦日名の11番目。芸術と工芸の庇護者で、猿面神(マヤのC神)とも関係があった。アステカとサポテカでは、それぞえrオソマトリ、ローないしゴローに相当する。
    (p.272)


    チャク
    Chac
     マヤのB神で、雨の神であり、アステカのトラロック、ミシュテカのザウィ、サポテカのコシーオ、そしておそらくチュラスコのチュビrヒリペメに相当する。通常は長い鼻をもつ姿で表わされる。その鼻の先は上に巻き上がっていることが多く、だらりと垂れた舌と、おそらく涙を表わす渦巻き装飾が目の下に施されている。牙をつけた場合もあるが、ときには歯をもたない姿でも表現される。チャクは単独で現われ、その顔の彫像は、ユカタン半島のペテン、プウク両地方に位置する、コパンやチチェン・イツァなどの多くのマヤの都市で大量にみられる。
     いささか獰猛な見かけによらず、チャクは恵みの神で、慈雨や穀物の豊穣をもたらしたが、その一方で、風や雷や稲妻も支配していた。チャクはまた数字の6におって象徴され、イク(風)の日の守護神でもあった。いくつかの文献では、チャクには4とおりの化身を有し、バカブの場合と同様、それぞれ特定の方位や色と関係していた。すなわち、北と白、南と黄色、東と赤、西と黒である。これらの化身をチャクの補佐役であるとする文献もある。
    (p.270)


    老いた黒神
    Old Black God
     マヤのL神で、謎めいた神格である。マヤのチカ世界でシバルバの神であり、死の神、すなわちマヤの20ある暦日名の3番目アクバル(暗闇)の守護神でもある。通常、ア・プチと関連しているが、おそらくア・プチは前任者か仲間のひとりであろう。コデックス(絵文書)では、葉巻をふかし、ムアン(ないしモアン)鳥の頭飾りをつけている。時には商品の包みをかついでいることもあり、これは彼とエク・チュアンやシャメン・エクとの関係を示している。
    (p.214)


    ヤカテクートリ
    Yacatecuhtli
     イアカテクートリ(Yiacatecuhtli「とがった鼻をした者」)とも。アステカの商人の守護神で、ポチュテカ(pochteca)とよばれる商人ギルドの神であった。この神は竹の杖と扇を持って表わされ、またそれらが象徴にもなっていた。テノチティトランにアステカの主都が創設される以前、メキシコ盆地の都市国家チョルーラとトラテロルコの市民によってとりわけ崇拝された。後に、トラテロルコはアステカ帝国の巨大な中央市場の発祥地となった。マヤではエク・チュアフとシャメン・エクに相当する。
    (p.339)

  • 神話百科というタイトルだがマヤ・アステカの神々についてはかなりの項目があり詳しい。

  • 分類=参考書(事典)・神話・北アメリカ・南アメリカ・ネイティブ・マヤ・アステカ・インカ。02年7月。

  • 百科らしくとっちらかってるけど楽しいよ。どうしてこれが載っててあれが載ってないんだ、みたいなところはあるけど、暇なとき無目的にだらだら読むのには最適だと思います。中米に強いが南米には弱い印象を受けた。研究進度の違いだろうな…

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