ハンチントン 軍人と国家 下

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562041923

作品紹介・あらすじ

シビル・ミリタリー・リレーションズの展開を、欧米の近代史のなかに初めてあとづけ、健全な文民統制のあり方を明らかにした画期的な書。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカの政軍関係について書かれたものであり、我が国に当て嵌める場合、読者による読み替えや欠落の埋め合わせの作業が必要になるものの、その不可欠な基礎を提供している。

  • 上巻に引き続き、米国の政軍関係について起こったことを時系列に書き、解説している。憲法をはじめとする法律、大統領、議会、委員会と統合参謀本部との関係について詳細に調べ、記述している。政治と軍事が一体化していた時代から、民主主義が進むことにより、国民の意思の反映と軍隊のプロフェッショナル化が進展していく様子がよくわかった。ただ、出来事の記述が細か過ぎ、今となってはあまり重要ではない事柄も多くあったように思う。翻訳もわかりにくい。

    「日本にとっての問題は、戦前の武人的軍国主義のパターンに復帰することなく、いかにして戦後の根絶の政策から脱却するかということである」p4
    「産業家の尊敬すべき功利主義は、将軍達を時代遅れの貴族主義者とみなした」p25上
    「(第二次世界大戦中のアメリカのシビル・ミリタリー・リレーションズ)1.政策や戦略上の主要な決定に関する限り、軍部が戦争を指導した。2.この政策や戦略の分野において、軍部は、アメリカ国民およびアメリカの政治家が正に欲するような仕方で戦争を指導した。3.銃後においては、経済動員の統制は、軍部と文民の機関の間で分担された」p46上
    「(第二次世界大戦)4年間の戦争は、統合参謀本部に政治に関与するという伝統と役割を与えた」p49下
    「1939年以前には、参謀本部は総じて大統領に直接近づく法的権利はなんらもたなかった。統合委員会は、陸海軍両長官の間の合意によって設置された省間の委員会にすぎなかった。しかしながら1939年7月5日には大統領は、統合委員会と陸海統合軍需委員会が、今後、陸・海軍総司令官としての大統領のもとで直接機能を果たすよう命じた。この決定により、この集団的な軍の機関は、省の統制から除外されることになった」p49下
    「文・軍戦争会議という枠内で彼等が勧告を行うかわりに、統合参謀本部それ自体がそのような会議に取ってかわることになったのである」p51上
    「国務省は政策上、人事上また組織上の理由から、戦争指導の上で小さな役割しかはたさなかった。戦時中、国務省は依然としてその機能が外交であり、また外交は武力から区分されたものであると信じていた」p52上
    「(第二次世界大戦中のイギリス)統合参謀本部は軍事上の能力の範囲を逸脱しただけではなく、戦争の経過とともに、政治的決定の問題に軍の機関が関与するという現象が軍機構の下層のレベルにまで浸透した」p54下
    「ある議員が記しているように「陸軍省あるいはマーシャル元帥が実際予算を決定した」のである」p56上
    「1941年秋に、極東で緊張が高まるにつれて軍指導部は日本との協定締結と「軽率な軍事行動」の回避を主張した。しかしながら、彼等の警告は文官指導者によって却下され、紛争の発生が懸念された11月末のアメリカの最後通牒は、実質的には軍部の参画なしに、また明らかに軍部の賛成もなしに行われたのであった」p60下
    「(軍の考え)合衆国の長期の目標は、ドイツと日本の打倒ではなく、むしろヨーロッパとアジアにおける勢力均衡の確立であった。枢軸国に対する勝利は、それがこの目的に寄与する限りにおいてのみ望ましいものであった。このアメリカの目的を明示した軍部のステートメントは、1か月前に大西洋憲章の中に大統領による理想主義的で不明瞭な公式の宣言と著しい対照をなしている」p61下
    「(第二次大戦後)軍人の文官部門への進出に対する批判は、いずれも実際には、抽象的な制度的ないしは政治的原理や文官側からの政府に対する一般的な危惧という点からなされていた。若干の例外はあるが、誰か特定の軍将校の行動が軍人精神に固有の危険な資質を有していることを明確に示すことは不可能であった」p90上
    「戦争中に統合参謀本部によって遂行されてきた、あらゆる国家安全保障政策について大統領に勧告を行うという責任は、文官の首脳部によって構成される国家安全保障会議の担当するところとなった。このような機関の創設は、統合参謀本部を軍事上の活動に限定する上で、他のいかなる組織よりも重要であった」p159下

  • 上巻に同じ。

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