子爵が結婚する条件 (ライムブックス)

  • 原書房
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562043460

感想・レビュー・書評

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  • 父親に手当てを打ち切られ、借金を支払うには裕福な女相続人と結婚するしかなくなった放蕩者ヒーロー。
    ヒーローが目を付けた女性の叔母で後見人のヒロイン。
    昔同じ様な目に遭い苦労したヒロインは2人の結婚に大反対。

    ヒーローのスキャンダラスな噂話をゴシップ大好きな夫人に話してヒーローを町から追い出そうとするヒロインにはちょっとドン引き。
    まぁでもヒーローがお金目当てで姪っ子に近付いたなは事実だし、個人的に前半はヒーローの印象はあまりよくなかった。

    ヒロインはイタリア人の夫とイタリアで暮らしてたこともあって、ヒストリカルにしては割と奔放的なヒロインだった。

    ヒロインや姪っ子を狙う事件もあったりとゴチャゴチャしてる感じがデビュー作っぽくて納得。
    でも後半は自分そっちのけでヒロインの為に頑張るヒーローがかっこよくて楽しく読めた。
    ヒロインが姪を甘やかすのはヒロインが姪を愛するのと同じぐらい姪に愛されたいから、とヒロインの心理を言い当てるヒーローが素敵。

  • 先月からロマンスを読み始めて、今回、初めてハーレクインではない文庫作品を読みました。2005年11月に原書房から創刊されたロマンス文庫レーベル、ライムブックスの9月の新刊本です。

    前回のハーレクインの感想記事に書いたように、今ロマンスがアツいのか、文庫レーベルがたくさん創刊され、ジャンルもそれぞれコンテンポラリーだヒストリカルだリージェンシーだと莫大にあって、とにかくどこから手をつければいいのかさっぱりわからない。そこでわたしは今現在の新刊からいってみようと思い、先月の新刊でしかも日本初登場作家だと帯に書いてあった本書を買ってみたのでした。

    ただロマンス初心者が(本書で3冊目)、日本初訳作家の本を読むということは、ロマンス作品群においても、またこの作家の作品群においても、比較すべき対象がないということです。すなわちロマンスファンの諸先輩方にとって、これがどのくらいのロマンス常識(ストーリー、キャラ設定、ラブシーンの多少など)レベルに位置するのか、まったく見当もつかないわけであります。

    なのでわたしの過去2冊分のわずかなロマンス読書経験と、これまでの他の小説の読書経験とを合わせつつ感想を書くしかありません。まあ、何にでもみんな「初めて」があるわけですから、最初はもうちょっと有名な、何冊も出してるベテラン作家の本から読んでみるべきだったかもという気がしないでもないですが、今のわたしが書ける感想を率直に書いておこうと思います。

    本書は、日本初訳の作家キャロライン・リンデンの、デビュー作です。2005年に原書が出ました。原題は、What A Woman Needs 。ジャンルはヒストリカルです。これはシリーズだとは書いてないんですが、この後に出ている原書のタイトルが、What A Gentleman Wants 、What A Rogue Desires というもので、これだけ見るとなんかシリーズっぽい感じを受けますよね。試しにこの作家のオフィシャルサイトを見てみたら(あらあ、きれいな人☆)、ううむ、What A Gentleman Wants と、What A Rogue Desires は、ヒーローの名字がどちらもReece、ってことはシリーズなのか? でもこのWhat A Woman Needs にはReeceさんは出てこない……と思うんだけど、あたしが忘れてるだけなのか……。

    う……。結局わかりませんでした。ごめんなさい。まあとりあえずこの次のWhat A Gentleman Wants が、このライムブックスから今冬に刊行予定だそうなので、それを読めばわかるでしょう。今から楽しみです。

    前置きが長くてすみません。本書の感想、いきます。まず、あらすじから。

    舞台はイギリス。父親に勘当されて送金してもらえなくなったために貧窮している子爵スチュアートが、逆玉を狙って、条件には申し分ない、ありがたいことにたまたま一目ぼれしてくれたスーザンに求婚。ところが、彼女の叔母シャーロットにその魂胆を見抜かれて大反対されます。しかしスチュアートは、このシャーロットの方にすっかり魅了されてしまった。スーザンとの結婚をやめたいスチュアートは、スーザンに渡した、母から受け継いだ大事な指輪を取り返すべく屋敷にもぐりこみますが、そこで驚きの展開に!

    ふほー、おもしろかったです! 先月読んだ、薄くて気軽に読めちゃう新書版のハーレクインとは違って、500ページ近くある本書は、かなり中身が濃く、読みでがありました。厚い分、登場人物が多くて関係性が深いし、それぞれの過去もしっかり描かれてるのでキャラクターが立っています。

    そしてストーリーにも厚みがあるんですよね。次々と問題が出てきて、え、どうなるの、どうなるの、と飽きさせない。二人のロマンスだけじゃなくてミステリの要素も多分にあり、そっちの謎解きがちょっぴり『ダ・ヴィンチ・コード』風でもあったりして、クライマックスではかなりドキドキ! ラストではどんでん返しもあって、もう、すごく忙しい本でした。

    ただねぇ、シャーロットの行動が、ツッコミどころ満載で。スーザンも、育った環境でしょうがないんだろうけどあきれるほど世間知らずだし(汗)。スチュアートの気持ちに一番共感をおぼえました。

    過去によって今の自分が変わるわけではない。人格形成に影響はあるかもしれないが、それによって未来が決まってしまうわけではないんだ、自分がそうさせない限り。
    これはスチュアートが自分の生い立ちのことでシャーロットに言ったセリフです。深いですよね。ちょっとグッと来ました。

    読了日:2008年10月4日(土)

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著者プロフィール

キャロライン・リンデン Caroline Linden
アメリカのロマンス作家。ハーバード大学で数学の学位を取得し、コンピューター関係の仕事をしていたが、その後作家に転身。
2012年にはI Love the Earlがアメリカロマンス作家協会のRITA賞(ベストロマンス・ノヴェラ部門)を受賞。
ほかの作品でもダフネ・デュ・モーリア賞、ニュージャージー州ロマンス作家ゴールデン・リーフ賞など数々の賞に輝き、アメリカを代表するロマンス作家となった。
『公爵令嬢の恋愛入門』(ライムブックス)、『愛は暗闇の向こうに』(扶桑社ロマンス)など邦訳も多数出版されている。
現在は夫とふたりの子どもとともに、ボストン近郊に在住。

「2021年 『公爵に囚われた一週間』 で使われていた紹介文から引用しています。」

キャロライン・リンデンの作品

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