- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562045075
作品紹介・あらすじ
大恐慌、第二次世界大戦、公民権運動、ベトナム戦争、文学、音楽…。「いま」「ここ」に生きる人々の貴重な肉声を記録し続けた稀有な作家が、およそ100年の人生を率直に、そしてユーモアたっぷりに語りつくした遺作。
感想・レビュー・書評
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【要約】
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【ノート】
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[聴き手、語り部に回る]『仕事!』、『よい戦争』、『ジャズの巨人たち』など、無名の人々の声を書き綴るオーラル・ヒストリーによって、世界のジャーナリズムに大きな影響を与えたスタッズ・ターケルの自伝。今まで市井の声に耳を傾けて続けてきた彼が、ついに自らの生い立ちを語ったとして話題になった作品です。翻訳家として活躍されている金原瑞人ら3名が訳者として携わっています。
ターケル自身の生涯を綴っているので、それだけで十分興味深いのですが、アメリカの市井の人々の声や姿が自伝である本作でも満遍なく取り上げられているため、当時のアメリカ(特にシカゴ)の空気を知る上でも大変に面白い一冊。時代が違うからでしょうか、何となく今から考えれば人々が「野暮ったく」感じられるんですが、それが同時に瑞々しくもあり、あっという間にその雰囲気が魅力的に思えてくること間違いなしです。
ターケル氏が持ち続ける人々への好奇心、そして無名の人々への信頼感、さらにはその信頼を絶対に裏切らないという気骨が感じられる作品でもあります。今の「ジャーナリズム」という言葉から漂ってくる派手さは決してないのですが、人々の語られなかった声を汲み取り、それを代弁していくという姿勢には大変真摯なものを感じました。
〜そう、すべては好奇心なのだ。だからわたしの墓碑銘はすでに決まっている――「好奇心がこの男を生かし続けた」〜
この人が「普通の人々」という言葉を嫌う気持ちがわかりました☆5つ -
「よい戦争」「仕事!」などの市井の人々へのインタビューで綴るアメリカの実像を、堀の深いタッチで描いてきたシカゴのラジオパーソナリティの自伝。
アメリカの社会の各層にわたって、人々の声をインタビュー記録の中から拾い上げてきた人が初めて自分自身を語ったという画期的な読み物で、今年上半期、一番の濃厚な読書体験になるもの。良かった!最高。 -
『スタッズ・ターケル自伝』
(金原端人・築地誠子・野沢佳織共訳)を読む。
『「よい戦争」』でピュリッツァー賞受賞。
市井の人たちをインタビューし著作にまとめる
オーラル・ヒストリー(口述の歴史)をもっとも得意とする。
村上春樹も『アンダーグラウンド』を著す際に
ターケルから影響を受けたと書いている。
スタッズ・ターケルの生きた100年は
アメリカのメディア史の100年である。
僕はアメリカに対して愛憎半ばの感情を持つ。
それだけにターケルの本を読みながら、
アメリカに対する愛情の半分を思い出したかった。
ターケルはこの本で大恐慌が人々に、あるいは自分に
どう影響を与えたか、繰り返し繰り返し語っている。
2年前のリーマン・ブラザーズ破綻から始まった世界不況は
本質的にはなにも解決がついていない。
歯に衣着せぬジャーナリストの洞察、言葉は
僕たちが生きる時代にも風化していないと僕は思う。 -
2010.04.11 日本経済新聞に紹介されました。