- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562045471
作品紹介・あらすじ
娘の感性、家族の眼で見た、総理大臣の面白さ、人間の多面性。
感想・レビュー・書評
-
歴代首相の実娘に対して父親への思いを尋ねるインタビュー集。鳩山一郎、岸信介、池田勇人、福田赳夫、大平正芳、竹下登、宇野宗佑、宮沢喜一、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三、11名の娘たち。自宅における自然な姿が印象に残る人もあれば、非常に厳しい父(池田)、優しい父(大平、村山、小渕)、アメリカナイズされた合理的な父(宮沢)、文化人として尊敬できる父(宇野)などが成程という面もあり、また意外な人もあった。彼らは首相に上り詰めたのは、彼らが特別な存在だったわけではなく、普通の人物が、「電車で前の席が空いたので、座ることができるようなもの」と就任前の宮沢が娘に語った言葉がその通りだと思った。それにしても娘でありながら、政治家の妻、政治家の母である人の何と多いことか!世襲が広くはびこっていることを改めて痛感する。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴代の総理大臣の実の娘に対して父親の想いでを尋ねるインタビュー集。
登場するのは、鳩山一郎、岸信介、池田勇人、福田赳夫、大平正芳、竹下登、宇野宗佑、宮沢喜一、村山富市、橋本龍太郎、小渕恵三…以上11名の歴代総理の娘たち。
誰よりも有名な、田中角栄の娘さんは登場しません。
それぞれに生きた時代は異なるし、語られる家族に対するあたり方も古風だったりリベラルだったり、それぞれに個性の違いが感じられます。
が、そうした違いよりもむしろ、「父と娘」という関係性でみると11組のいずれも結局変わらないのだな、という同質性のほうがむしろ印象的でした。
たとえ総理大臣になるくらいの大物政治家であっても、「父と娘」の普遍的な関係というのはやはり同じなのだな、と。
一般的な「父と娘」と違いがあるとすれば、娘からみると、マスコミなどを通じて世間に知られている父親の姿と、家族の前でのそれとの間のギャップに戸惑わざるを得ないところ。
そして、一国の総理大臣という計り知れない重圧と過酷な多忙さの中で疲弊し命を縮めていく父の姿への心底からの心配を抱くところ。
実際に、池田、大平、小渕は体調を崩し、在職中(あるいは辞任直後)に命を落とすことになります。
読後の印象に深く残ったのは、岸親子と小渕親子でしょうか。
岸の場合は、傍で見ていた娘・安倍洋子(安倍晋太郎夫人で安倍晋三の母)の目を通して語られる、戦中の東條首相との対決、A級戦犯としての収監、安保国会、と三度死を覚悟したほどの苛烈な政治家人生の迫力。
小渕の場合は、インタビュー対象が自民党現衆議院議員(元少子化担当相)の小渕優子ですが、世代的に自分にはもっとも近く、感覚的に共鳴するものがあったという面もありますが、なんだか本当に「普通のお父さん」だったんだな、というのがよく伝わってきたのが印象的でした。
11組の中で、娘本人が議員になって父の後を継いだケースは小渕が唯一ですが、池田父娘、大平父娘のように、世が世なら娘が後継者になってもおかしくなかったくらい目をかけられていたケースもあり、娘の夫が父の後継者になったりしています。
昨今、世襲については厳しい意見がありますが、このインタビュー集を読むと、「政治家の血」というものが家族に脈々と流れるのも不思議ではないな、と思わされる面があったりもします。 -
小倉図書館で読む。
-
2010.03.21 日本経済新聞で紹介されました。