戦争文化論 下

  • 原書房
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562045952

作品紹介・あらすじ

軍事史・戦略論の世界的権威が語り尽す。誰もが戦争に魅了される。なぜ芸術家はこぞって戦争を描き出そうとするのか。そこに真の人間の姿を見るからではないか。

感想・レビュー・書評

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  • ようやく、下巻読了。

    内容は非常に濃いし、今の日本では読まれるべきだと思うのだけれど、おそらくは、悲しいかな、現代の日本ではこの内容が生かされることはないと思う。

    第二次世界大戦以降、列強国間での大戦がなくなった理由を著者は簡潔に語る。それは核兵器による恐怖故であって、決して人間社会が有る時を境として平和に目覚めた訳ではない、と。
    現実の戦争について、冷酷な迄に記述されている。
    だからこそ、上巻に日本語版の出版に寄せて、著者が記しているように、

    「一九四五年以降、日本の指導者や国民が成功してきたように、将来もそうした流血を回避する方策を理解するように私は切に望む。」
    (上巻 p10)

    これを忘れる訳にはいかないと思う。
    やはり、結局のところ、知らなければ防げない。今更、21世紀前半には間に合わないかも知れないが。

    後半は、「戦争文化をもたぬ世界」と題して以下の4章が配されている。

    ・野蛮な集団
    ・魂のない機械
    ・気概をなくした男たち
    ・フェミニズム

    特に後半の二章は、日本の現状を考えるに、かなり提示が近い。「気概をなくした男たち」に書かれる、「戦い方を喪ったユダヤ人達の歴史」は特に。
    ある種、挑戦的な題ではあるが、おそらくは多くの人がこの題を見て想像するような内容ではない事だけは、記しておく。

  • 興味深い一冊だった。

    戦争が起きる原因を、その近辺を探るのではなくて、私たちに刷り込まれている本能からえぐり出していく感じ。
    正しい、正しくないは別にして、この考察の先に見える戦争の姿を見極めれれば、「戦争は防げる」のかもしれない。でもそうはならないのが、「人間」なのだろう。

    同人誌によく書かれている断り書き、「戦争を題材にしているけれど、戦争を賛美する意図はない」
    この本を読んだ後に、この断り書きを考えると…賛美するつもりはないけれど、魅力を感じているのでは、生と死がかかる軍人に魅かれているってことはつまり…といろいろと考えてしまった。
    でなければ、「キャラクター」として彼らを捉えているのだろうか、なんて。

    気概を失くした男たちでは、日本人男性を思い起こさせた。愛だ萌えだと言っていれば戦争は起きないというツイートを見たことがあるのだが、確かに自分たちで戦争を起こしはしないけれども征服される危険性は大いにある。ここで、「甘えの構造」をふと思い出し、「自分たちが危害を加えないのだから、相手もきっとそう」なんていう発想が根本にあるのかとも考えた。
    そして、フェミニズムでは自分を。
    自衛隊の時の自分の立場を思い出し、男女平等を叫ぼうともこれが実態なのだと突きつけられた。
    やればできるようにはならないのだ、多くの女性は。…orz

  • 上巻に同じ。

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著者プロフィール

ロンドン大学経済政治学大学院で博士号を取得後、1971年からイスラエルのヘブライ大学歴史学部教授。防衛省防衛研究所及びアメリカ海軍大学を含む欧米の多くの大学や研究機関で講義や講演を行っている。軍事史及び戦略研究に関する22冊の著書及び多数の論文がある。邦訳書に『補給戦』、『戦争の変遷』、『戦争文化論』がある。

「2014年 『エア・パワーの時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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