- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562050611
作品紹介・あらすじ
おいしいミルクには実は波瀾万丈の歴史があった。
古代の搾乳法から美と健康の妙薬と珍重された時代、
危険な「毒」と化したミルク産業誕生期の負の歴史、
今日の隆盛まで、人間とミルクの営みをグローバルに描く。
カラー図版多数。
感想・レビュー・書評
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6歳娘の「日本でミルクっていつから飲んでるの?お侍さんは飲んでたの?アメリカは?オーストラリアは??エジプトは???」に答えるべく。
今のところ、紀元前7000年代にはもう飲まれていたと考えられる、という出だしで娘と愕然。
そんな古くからだとは…!
薬とされたり毒とされたりしてきたミルクの歴史を丹念に追っていて、とても読みやすく、面白い。
アメリカ、イギリスで安全なミルクの供給ができるようになるまで(思った以上に最近だった…)の流れも特に面白かったが、それまでにたくさんの乳児が亡くなっていたことに胸が痛んだ。
ただ、日本についてはほぼ戦後の数行だけだったので、日本での歴史については別途調査します。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
乳製品販売網のあらゆる場所で調色、添加がなされた。晩夏はミルクの生産が減ることもあり、牛乳を12時間放置してクリーム層を取り除き、脱脂乳に水を加えて量をごまかした。
1860-70年代にかけて、17ガロン(約80リットル)入り大型牛乳間の輸送量は右肩上がりに増加した。低温設備も適切な保管も無いので、24時間の輸送で病原菌の増殖には十分だった。牛乳検体の内、異常なしは32%、6%は汚染、12%は白血球過多(牛が感染症であることを示す)、10%に牛型結核菌(牛結核。牛乳を介して人にも感染する)だった。
1890年には防腐剤としてホルマリンも混ぜられるようになった。
牛乳を飲むことが危険だったことは間違いなく、19世紀を通じて乳児死亡原因のトップは下痢だった。1840年代から母乳保育が減少したのは、労働者階級の女性の乳の出が悪いか、家事負担を減らすため。中流・上流の場合は人工栄養で育てることが社会的慣行だった。都市部に出た女性たちには、母親が母乳で育てるのが当然と言う地方の伝統から解放されたことも影響した。 -
資料
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ミルクほど密接で日常的で、なのに好き嫌いも功罪も主張が激しく分かれる食品はないが、歴史について社会との関係が縦軸にまとめられたものは案外なかったので、とても興味深く読んだ。
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牛以外のミルクの歴史もありましたが・・・
全般に牛乳の歴史。
それも衛生・安全中心の、いわば“白い悪魔”の歴史。
なんというか・・・かなりネガティブな気分になりました。 -
3F閲覧室
A/648/716796 -
2015年1月新着