- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562072316
作品紹介・あらすじ
中世の叙事詩『ベーオウルフ』、アーサー王伝説、ロビン・フッド、騎士物語、妖精伝説、ヒロイン、怪物や魔女、トールキンの世界など現代のファンタジー文化に大きな影響を与えたテーマやキャラクターを180点の図版で解説。
感想・レビュー・書評
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本書と別の1冊を読むため、以前『地図でスッと頭に入るイギリス』で予習した。
今回のイギリス神話はまさに「ザ・ファンタジー」といった風で、寝る前のひと時にちょうど良かったりする。自分へのベッドタイム・ストーリー的な笑
初っ端からフワフワしちゃっていますが、この先のフワフワも何卒ご容赦くださいm(_ _)m
のちにケルトと呼ばれる民族がまだヨーロッパ各地に散らばっていた時代から話は始まる。以降は、ベオウルフ・アーサー王物語をはじめとした騎士物語・ロビンフッド・指輪物語…etc…と、我々にも耳慣れた物語をあらすじや解説を通して紐解いていく。
まえがきやあとがき・訳者コメントは皆無、全編本題しかないスタイルは初めて。一応本文中に解説らしきくだりはあるけど、これは初心者向けじゃないかも。知っている(or簡単な内容の前知識がある)前提で進行されると正直キツかったが、『地図でスッと…』で知った内容も紛れ込んでいてちょっぴり命拾いした気にもなった笑
個人的にはアーサー王伝説とロビンフッドの物語が魅力的だった。
どちらもディズニー映画程度の知識しかなかったが、だからこそ発見が多かった。(やっぱある程度前知識がないと話が頭に入ってきにくい…)
アーサー王伝説の方は幾つかパターンがあり、本国イングランドだけでなくヨーロッパの詩人も何人か書き残しているらしい。それぞれが好きなテーマや登場人物に重きを置いて自由に創作しているというが、どれも必ず騎士道精神を重んじている。
物語が数多く紹介されていた中で、自分は円卓の騎士の一人でアーサーの腹心の友でもあるガウェイン卿の話が気に入った。アーサーが自身の奥さんに密通されたりと裏切りが横行する中で、ガウェインだけは与えられた試練を忠実にこなし、誘惑にも決して折れない。
一言でいうと、今読んでも安心できる!笑
ロビンフッドの人々を引き寄せる明朗快活さも良いが、彼と相棒のリトル・ジョンの初対面も惹きつけられるものがある。橋の上で鉢合わせした2人はどちらも道を譲らず、しまいには決闘に。2メートルを超える巨漢のリトル・ジョンとの対比。後々抜群のコンビになっていくところも含めて牛若丸と弁慶のようだ。他の登場人物も個性的でこざっぱりしており、やはり安心感が優っている。
ここはディズニーに甘んじず、原作も読まねば…!
最近になってようやく神話を「何となく面白いかも」と思えるようになってきた。
科学が未発達だった時代、人々が想像力をフル稼働させて物事を解釈する…。それをただ「面白い」としか感じてこなかったけど、著者の示す神話観が面白さの正体を表してくれている気がした。
「純然たる娯楽としての価値」「実際には文字どおり一般的な意味での『事実』ではないだろうが、『きっと』そうだろうと思わせる。するとそれがいかにも民族や国の威信にふさわしいように思えてくる」詳細をみるコメント0件をすべて表示