犯罪心理学: 犯罪の原因をどこに求めるのか (心理学の世界 専門編 4)

著者 :
  • 培風館
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784563058838

作品紹介・あらすじ

犯罪の準備状態である個人の反社会性の形成と、犯罪行為そのものの発生機構を区別して分析するという立場から犯罪の原因について探究した書。個人と社会環境の両側面に焦点をあてながら、犯罪原因を論じてきた主要な理論をとりあげ、日本の実証研究の成果も含めて丹念に考察を進めていく。

感想・レビュー・書評

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  • 培風館の心理学の世界 専門編の4冊目の犯罪心理学の本。基本的には大学の授業などでも使えるようにすべて網羅している、それだけに網羅しているバランスが良いと思った。以下は、各章のメモレベルの記録として。

    1章は、プロローグとして犯罪の全体的傾向をつかみ、2章で犯罪の個人要因を分析する犯罪心理学と犯罪者をとりまく犯罪社会学の方法論を提示し、説明の5水準を示している。
     3章では、社会的要因として、性善説的な緊張理論、性悪説的な統制理論、中性として文化に焦点を合わせた下位文化論の系譜を説明している。
     4章では個人のパーソナリティに焦点を当て、5章では犯罪の環境等や発達の要因に焦点を当て、6章では3~5章の統合的な理解の道筋を示している。7章ではより具体的な犯罪とその要因について解説している。 

    下記に目次を示しておく。

    1章 現代日本の犯罪動向
       ~日本は安全な社会か~
    2章 犯罪原因の科学的研究
       ~犯罪研究はどのように始まったか?~
    3章 犯罪の社会的要因
       ~犯罪は環境のせいか?~
       主要3理論(緊張理論、下位文化論、統制理論)   の歴史的系譜から)
    4章 犯罪の個人要因
       ~特有の資質や性格があるのか~
      (心理学的・生物学的・パーソナリティ・
       要因アプローチ)
    5章 犯罪の発達的要因
       ~何が人を犯罪者に仕立て上げるのか~
    6章 犯罪原因の統合的理解
       ~犯罪原因の体系的モデル化は可能か?~
    7章 さまざまな犯罪者たち
       ~犯罪者のタイプは事件によって違うのか?~

  • 犯罪の原因に関する知見が読みやすくコンパクトにまとまっていて勉強になる一冊。

  • 2457円購入2011-02-28

  • 社会心理学の教科書だったが、学年的に履修できなかったので、自力で読むことに決めた。さすが教科書とするだけあって、とても読み応えのあるものだった。
    なぜひとは犯罪を犯してしまうのかということを、社会学、心理学の立場からアプローチするほか、筆者自身により双方の統合がなされている。どちらかの説明に偏ることなく、とても広く扱っている。章末にはまとめや参考図書も載せられているので、思考の整理や、発展的な勉強にも役立つ。
    「ひととはいかなるものか」という問いに、犯罪というものを使っても近づけるということに気づかされた。

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著者プロフィール

大渕 憲一(おおぶち・けんいち)
東北大学大学院文学研究科心理学研究室 教授

「2016年 『紛争・暴力・公正の心理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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