火よう日のごちそうはひきがえる (児童図書館・文学の部屋―ひきがえるとんだ大冒険シリーズ 1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (82ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566012189

感想・レビュー・書評

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  • 食用がえるというものを、そうとは知らずに食べさせられたことがある。
    鶏のささ身に似た淡白な味わいで、なかなか美味しいものだったような・・
    でもひきがえるはどうなんだろう。あの表皮がぞっとしないな。
    しかし真冬のみみずくにしたら、大変なごちそうではあるんだろうね。

    さて、82ページという長さの児童書だが、細かな挿絵が豊富に載っているし漢字にはルビがふってあるしで、低学年から自力で読めそうな話だ。
    「クローバーの花のお茶」「かぶと虫のさとうがし」「どんぐり茶」「蚊をつめたパイ」「ありの卵のサラダをはさんだサンドイッチ」・・次々に登場する、料理上手なモートンの作るレシピ。

    相方のウォートン(どちらもひきがえるのきょうだいの名前)はと言うと、大変な綺麗好きで、お掃除大好き。
    みみずくの誕生日のごちそうにされるべく捕らえられたというのに、いつの間にか部屋の掃除を始めてしまう。
    そして、モートンの持たせてくれたどんぐりのお茶を、みみずくにふるまったりもする。
    そこから、なんとも奇妙な同居生活がスタートしていく。

    食物連鎖の原理から言うと、もちろんあり得ない話。
    でも微笑みながらごく自然な流れのように読めてしまうのが、この作者さんの腕なんだろう。
    三分の二くらいまで読むと先が読めてしまうのだが、良い意味で裏切られない。
    そして最後にはやっぱり小さく裏切られて、そこがまた心地よいのだ。
    あらら、そうだったの、とじわっと涙が浮かんでしまう。
    最後の一行で、無事ウォートンがかぶと虫のさとうがしをおばさんの家まで届けられそうになったとき、読んだ子どもたちはどんなに安心することだろう。
    ウォートンの冒険物語は、実に収穫の多い、希望に満ちたものになっている。
    児童書にしては哲学的な部分もあり、ひきがえるが主役でありながら品性を感じさせる一冊。
    それもたぶん、作者さんの人柄なんだろう。
    悪役のはずのみみずくの、心境の変化も事細かに描かれ、本当に微笑ましい。
    ほのぼのしたい方、おすすめです。

  • 優しくて前向きなカエルのウォートンと、いじっぱりで友達の温もりを知らないフクロウのジョージ。
    2人が段々と心を通わせていく様子がとても愛らしかったです。
    最後には思いがかけずホロっと涙が…。
    短いながらも物語に引き込まれる素敵な作品でした。
    あと、ちょっとストックホルム症候群が頭を過ぎりました(笑)

  • 原題 : Toad for Tuesday

    英語版が高すぎて手に入らなかったので、日本語版。
    私が小3の時に読んだ本だが、ずっと覚えていた名作。
    数十年の時を経て、今回小3の息子に朗読。息子、ラストで軽く感動して涙ぐんでました。

    それにしてもジョージ、これから何食べんの?

  • 幼稚園の読み聞かせで出会った本。
    20年以上経ちますが、未だに覚えています。
    5歳児の記憶侮れない(笑)

    良い本との出会いは一生の宝ですね。

  • 地面の下で冬越し中のひきがえるのウォートンとモートン。
    モートンが作ったかぶと虫のさとうがしを、ウォートンがトゥーリアおばさんの家へ持って行くことに。
    セーター三枚、あつい上着四枚、ふかふかのてぶくろ二つ、耳かけのついたぼうしで完全防備です。三日間かけてスキーいたも作りました。
    よし、これでおばさんの家まで行ける…と思ったら…

    ひきがえるのウォートンがほがらかで前向きで、いっぺんに好きになりました。
    もうすぐみみずくに食べられるというのに、部屋を掃除したりお茶飲みながらおしゃべりしたり…
    みみずくもただ恐ろしいのではなく、孤独で、襲われることもある弱い存在として描かれています。友達なし、誕生日プレゼントは自分で獲ったいぼいぼ…

    初版が昭和57年→約40年前のお話ですが、冒険、友情、ユーモア、感動ありで、とても良い作品だなと思いました。

  • ハラハラ、ドキドキ、最後はジ〜ン。この短さなのに、起承転結が素晴らしいです。表紙の絵で敬遠する子が多いけど、本っておもしろいなぁと感じられる一冊。心からお勧めします。

  • さいしょはウォ−トンを食べようとしたけど、最後はともだちになり、食べられなくて良かった。

  • タイトルだけは知っていたけど、読んでみて想像と違う内容に驚くと同時にいい話だと思った

  • 小さいころ読んですごく好きになったお話。敵対する意地悪な相手、自分の脅威であっても友好的に接する。それでいて丸投げでなんとかなると信じるわけでもなく作戦を立てる、そのバランスが大事なんだなぁっと。

  • 基本図書、ようやく借りて読みました。

    ウォートンとモートンは、小さなひきがえるのきょうだい。
    ウォートンがそうじ、モートンがりょうりをうけもっていて、どちらも自分のしごとが大好き。
    ある冬の日、ウォートンはかぶと虫のさとうがしを、おばさんにもっていくとちゅう、みみずくにつかまってしまう……。

    おもしろかったです!
    美しい文章や描写、世界観のある絵、読みはじめから良書の雰囲気が漂っています。
    読んでいるときも読み終わったときも、満ち足りた気持ちになりました。
    ウォートンとジョージがだんだん心を通いあわせて友達になっていく様子が、たまりません。
    お互いの歩み寄り、けんかしたときの気まずさ、友達ってそういうところあるよね、という感じで。
    そうじ、セーター、スキー、助けたねずみなどが、話に繋がって、あぁそうか、と嬉しくなりました。
    出てくる食べものも虫のなのだけれど、きっとおいしいんだろうなと思わせるからすごい。
    すっきりした終わり方もよかったです。

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