おしゃれ教室

  • 評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566013926

作品紹介・あらすじ

ママのつごうで、カルチャーセンターの「おしゃれ教室」で一日過ごすはめになったポニー。でも、おしゃれなんて大きらい。その上きょうは「プリティ・プリンセス・コンテスト」の日。教室で浮きまくったポニーがたくらんだのは…声を出して笑ってしまうほど、とってもゆかいなお話。

感想・レビュー・書評

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  • 「花とか、宝石とか、星とか、みんなきれいで、キラキラしているかもしれませんけど、ただそこにあるだけです。なんにもしないで、ただそこにいるだけなんて、すごくつまんないだろうなって、あたしは思ったんです」

    母の都合で1日、カルチャーセンターの「おしゃれ教室」にいなければならなくなったポニー。
    おしゃれにも、選抜されるプリンセスの称号にもまるで興味はないけれど、引っ越したばかりでもしかしたら友達ができるかもとわずかに期待もしながら飛び込んでみると、「美しいプリンセスになること」だけが素晴らしいと思っている女の子ばかり。
    そこでポニーが巻き起こす騒動の全ては肯定できないし、そもそも多分この子、そんなに性格が良くない。
    でもそれがかえってリアリティがあり、ルッキズムに疑問を抱き、フェミニズムの入口に立つ流れは自然で、多くの同世代の女の子に読んでもらいたいと思った。
    結末も明るくて希望が持てる。
    私個人は、ただ美しくありたいというのが本人の願望なのなら、それはそれでそうしたらいいと思う。
    しかしその願望が、周囲の人々や社会からの押し付けならそれに対してはノーを言うことができる環境にならなければならないと思っている。

  • 引っ越しのドタバタで適当な預け先が見つからず、とりあえずカルチャーセンターの「おしゃれ教室」に押しこまれた女の子の一日。
    女子女子したキラキラアイテムたっぷりの表紙をみてすでにげんなりしちゃう女の子におすすめ。
    本当は、女子力を鍛えすぎて疲労骨折しそうな女子系女子と、無邪気に「可愛い女の子」を愛でたがる男子および大人におすすめ。

    主人公ボニーの価値観は、おしゃれ教室の女の子たち(+先生)とはまるで違う。
    言葉すら通じないほどに異文化。
    私はボニーに共感するので最初から面白かったけれど、好きでおしゃれを楽しむための場所にボニーみたいな子が来たら、その場所を愛する人たちはイラつくだろう。
    だってこれアニメイトに「うわオタクキモい」って人が迷い込んだみたいな状態でしょ。
    でも、おしゃれすること自体を馬鹿にする内容ではなかったので一安心。

    この本の題材は「おしゃれ」だから、問題になるのも「おしゃれ」の価値観だ。
    けれど「おしゃれ」が問題なのではなく、価値を決める物差しがそれだけになってしまうことを問題視している。
    「可愛くなければ愛されない」と女の子たちを脅迫して商品を売りつける社会の仕組みにも触れる。
    ジェンダーや摂食障害やフェミニズム関係に興味があれば見たことがあるような言葉だけど、面白いおはなしの中で若い子向けに語られているのが素敵。
    「愛され系」に感じていたことがそのまんま書いてあって嬉しくなった。

    おしゃれ教室の先生は、女の子たちに美しさの価値を刷りこむけれど、けっして悪い人ではない。
    女の子たちが素敵な女性になるために一所懸命おてつだいをしてるだけ。
    だけどその一途な狭い価値観を内面化した女の子たちは、完璧じゃない自分に絶望しつづける。
    女の子たちがたったひとつの価値基準を真に受けてしまうのは、他の基準ではかってくれる人が周りにいないからだ。
    ボニーのママみたいに「完璧じゃなくても魅力的だし、たとえ美しくなかったとしても私はあなたが大好き」と言ってくれる人がこの子たちにはいないんだろうとセリフから想像できる。

    私は「おしゃれ」でこれをやる側にはならないけれど、他の価値観では先生みたいなことをやっちゃうタイプだなと思った。
    自分の倫理に合致しないものへの許容範囲が狭くて、「悪いもの」は完全に排除したいから。
    まじめな教員夫婦の子供がぐれるのもこういうパターンがありそうだ。
    自分が縛られていると他人まで縛ってしまうってことはついつい忘れがちだ。

    最後のママの章が良かった。
    ここを見て、そういえば人間関係は相互のものだと思い出す。
    読み終わって「ああ面白かった」と閉じられる良い本だった。



    キラキラひらひらした服はまじめにみえない。男性やまじめな公務員は黒いシンプルな服を着る。でも。
    という部分に、『大奥』で吉宗が「まつりごとは男名前でやる」ことに疑問を感じてたのが浮かんだ。
    ちゃんと「でも」があるのが良いところ。

    悪いファッション観としては『ファッション・ライフのはじめかた』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4005006671を思い出す。
    あれで感じたいらいらが、これを読んで解消された。


    絵はあんまり「お人形のようなおしゃれさん」らしくない。
    けど漫画系の可愛い絵や今風スタイリッシュじゃなくて良かった。
    この本には合ってる。ボニーの可愛くなさが可愛い。

  • 預け先がないため、カルチャーセンターのおしゃれ教室にあずけられたおしゃれに興味のない女の子の1日。期待していた展開とは違うかったかな。

  • ふぅん、だな。
    はまる子いるかなぁ。

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