この まちの どこかに (評論社の児童図書館・絵本の部屋)

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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784566080676

作品紹介・あらすじ

大都会に、小さな子どもがひとり。行方不明の飼い猫を探して凍てついた街をゆきます。雪が吹雪になるころ、たどり着いた家で、「きみは きっと だいじょうぶ」そう祈る願いごと家族に抱きとめられるとき、冬の街さえも、あたたかいものとしてわたしたちの心にせまります。
文字のない絵本『おはなをあげる』(ポプラ社)でカナダ総督文学賞、ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞などを受賞。『うみべのまちで』(BL出版)で、2018年のケイト・グリーナウェイ賞、産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞するなど、「物語る絵」に定評のある著者が、初めて絵と文章の両方を手がけた作品です。2019年のニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞、2020年のエズラ・ジャック・キーツ賞などを受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 男の子が一人バスで都会へ。絵の雰囲気が独特でいい。やっぱり外国の絵本だねえ。だんだん雪になって来るのもいい雰囲気。

  • 不安げな男の子の表紙、最初のページを繰るとバスの窓から彼が見ているらしい街並みの風景が次々に表れる。男の子にとって、おそらくひとりで初めて来た都会なのだろうか。両親と喧嘩をして勢いで家を飛びだした家出少年の話かな? 「きみは大丈夫」と繰り返されるフレーズは、少年を励ましている言葉だろう。しかし読み進んでいってもあれ?と疑問が続出し違和感がふきでる。知らない街を歩く男の子の心象風景を描いているのか・・・イラっを抱えたまま最後まで読み終える。想像はついたが、”してやられた”より釈然としないもやもや感が残るのも正直な感想です。
    『SMALL IN THE CITY』という原題を考慮すれば、おかしくもないのかもしれないが・・・。
    2019年のニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞と2020年のエズラ・ジャック・キーツ賞を受賞している本作だが、著者のシドニー・スミスさんは、初めて絵と文章の両方を本書で手掛けたらしい。絵が素敵で、絵だけの他の絵本も読みたくなった。

  • 作品紹介に大体のあらすじが書かれているのが残念。前情報なしで読むことを、強く勧めます。
    なぜなら、その方が文章の意味合いを二重に感じられて、ストーリーテリングの巧みさや素晴らしさ、嬉しい驚きを、より味わえるからです。

    ただ、そうでない場合でも絵本というか、アートとしても十二分に楽しめます。

    例えば、主人公をあまり中心に据えない、遠目の視点を多くすることで、主人公の存在の儚さや寂しさを表していたり、影の濃淡で天気の違いを表現していることなど。

    特に圧巻なのが、徐々に天候が変わっていき、しまいには主人公を飲み込んでしまうかのような、吹雪の描写。ただ、その中で、顔を上げて凛と佇む主人公の姿には、大切なものを思うからこその、挫けない芯の強さを感じられました。

    その後の結末が、また雰囲気変わっていいんですよね。タイトルもストーリーも上手く噛み合っていて、ちゃんと意味がある。数々の賞を受賞されたのも納得です。

  • くもりガラスのバスの窓から見える都会の雑踏・・・見知らぬ人たちばかりが行き交う、雪の舞う街に降り立つ。 タクシ-のクラクション、あちこちで鳴り響くサイレン、壊したり叩いたり掘り返したりする工事の音、頭がパンクしそうになる・・・でも大丈夫、街の中の何処かで探しものが見つかるよ。 暗い裏通りや大きな犬のいる家には近づかないで。 桑の木の下の隠れ場所、クルミの木の上、ピアノを弾く家、コーラスがながれる教会、公園のベンチとか・・・お母さんの声が聞こえてくる「帰りたいと思ったら、まっすぐ帰っておいで」・・・

  • まちのなかでちいさなものは、どんなきもちでいるだろう。しらないかお、タクシーのクラクション、なりひびくサイレン、とおりはいつもさわがしい。あたまがパンクしそうになるだろう。でも、しんじてる。きみはきっとだいじょうぶ──。
    『おはなをあげる』『ぼくは川のように話す』をきっかけに読了。バスから見つめる景色は写真家ソール・ライターを彷彿させると思ったら、既に同様の感想を書いている方が数人いました。子どもへ語りかける母の言葉と思いきや、後半で分かる意外な展開で、つい繰り返し読みたくなる良作です。大人向け。

  • はじめは少年が誰に語りかけているのかわからない。途中から少年が探しているものがわかる。

    愛する存在が消えたときの悲しみ、空虚さ、それでも無事でいてほしいという気持ちが、寒々とした景色の中をさまよう少年の姿から、くっきりと伝わる。
    何より心打たれるのは、彼が、失くしたものが自分のところに戻ってくることより、今安全で幸せでいることを祈るところ。エゴではない、本物の愛。

    ラストで、彼のことを愛して見守ってくれている人がちゃんといること、そして探しものと、きっと再会できることが暗示される。この、あたたかさ。希望。
    子どもにもよいが、大人の心も柔らかくする優れた絵本だと思う。

  • 画力がすごい
    写実的とかではない、明らかに絵なのに、
    受ける印象が写真を見ているみたい

    テーマも強く繊細で美しい

  • 優しい絵がいい。
    ひとりで街を歩く子どもはきっと自分ともっと小さな者とを重ねて街の中にある様々な不安と期待を感じているのだろう。
    なぜ、ひとりで雪の街を歩いているのかは色々考えられる。
    最後の場面、いいね。

  • 最初、「ちいさなもの」って何だろうと思いながら読み進めました。
    途中で猫だと気づき、雪の中、どんなに寂しい思いをしているかと思うと胸が熱くなりました。

    正直に言うと、最初は猫を捨ててくるよう言われた話だと思いましたが、出版社の解説を読んでもう一度読み返してみると、確かにカバンから猫を探すポスターを貼っていることがわかり、自分の理解のなさを反省。

    子どものとき、飼っていたインコを逃してしまったときの感情がよみがえりました。

    読み終わったとき切なくなるので、泣きたいときにおすすめ、かな。

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著者プロフィール

1980年生まれ。カナダの画家。
『おはなをあげる』(ジョナルノ・ローソン作)によりカナダ総督文学賞、『うみべのまちで』(ジョアン・シュウォーツ文)によりケイト・グリーナウェイ賞、初めての自作絵本『このまちのどこかに』によりケイト・グリーナウェイ賞とエズラ・ジャック・キーツ賞を受賞。上記3作と『ぼくは川のように話す』はすべてニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞を受賞している。

「2023年 『おばあちゃんのにわ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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