うそじゃないよと谷川くんはいった (PHP創作シリーズ)

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  • PHP研究所
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (118ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569585192

感想・レビュー・書評

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  • 岩瀬成子は、いつ、どれを読んでもいい。
    子供のころに感じた生きにくさ、憧れ、切なさ、大人への思いがまざまざとよみがえってくる。
    これも場面緘黙症の5年生の少女るいとネグレクトされている少年谷川くんとの心の交流を描く。
    学校で同級生といても、金魚鉢の中にいるみたいな感じがする、るいの孤独と、家庭の問題を嘘をつくことでないことにしようとする谷川君。
    二人が惹かれあうのは、もちろん恋ではない。さびしい心が感応するという感じ。
    その描写が、本当に上手い。
    子どもが生きていくのだって大人に負けないくらい大変。その辛さを忘れないようにしたいなと思った。
    しかし、これを読んだ4年生は「不思議な話」と言っていたので、ちゃんと読みとれるのはもう少し上の子か、同じような気持ちを抱いている子なのかもしれない。
    まあ、幸せいっぱいの家庭で育った子どもには一生わかんないかもね。

  • 学校では口を聞かない女の子、るいの前に現れた転校生の長谷くん。二人を中心に流れて行きますが、何とも不思議な話でした。これも、おとな向けの本なのかもしれないですね。

  • 小学館文学賞、産経児童出版文化賞、国際アンデルセン賞オナーリストノミネート。
    「主人公るいのクラスに転校してきた谷川くんは、おしゃべりで明るくて、すぐにクラスの人気者になります。両親は学者で世界中を旅しているらしく、谷川くんはいろんな国の話をしてくれます。
     一方、るいは小学校に入ってからずっと、クラスのだれとも口がきけない女の子。家族の前では話せるのに、学校ではだめ。そんなるいに、谷川くんはやさしく声をかけてくれます。「ぼくとは話せよ。」
     でも、谷川くんは、けっしてだれにも、どこに住んでいるかを教えません。ある日、谷川くんの本当の境遇がわかったときに、るいは・・?
     それぞれに悩みを抱えた子どもたちの出会いと別れを丁寧に描いた物語。」
    (『大人のための児童文学講座』ひこ・田中著 より)

  • Z会小学生国語の読み取り問題で一部を抜粋されており、続きが気になって図書館で借りて読んだ。

    転校生の谷川くんと、家族前では普通に話せるが、学校に行くと言葉が出なくなってしまう、るいとの交流が書かれているのかと思いながら読んだが、まさかの展開でびっくりだった。

    るいは、極端な人見知りなのか?と思いつつ、他の方のレビューで、るいが場面緘黙症であると書かれているのを読み、意味を調べて納得した。失礼ながら、そういう症状(特性?と言ったほうがいいのか?)を全く知らなかった。

    谷川くんは、帰国子女と思いつつ、読み進めるうちに、「ん?」となり、途中でまさかのネグレクトされている兄妹ということがわかった。
    谷川くんは、お母さんをかばって、児童2名の置き去りを内緒にしてほしいとるいに頼む。母が恋人の男性と逃亡してしまい、最終的にあきらめて福祉に助けを求めて、施設に入る。それでも、お母さんは、また連絡してくると信じている。それが、とても切なかった。谷川くんの性格が大人っぽくて達観した感じだから、よけい切なかった。

    るいは、自分に向けられる心情に敏感だ。心配、同情、哀れみ、からかいや嘲笑。
    谷川くんからは、そのどれも感じない。フラットにるいに寄り添って、僕には話せよな。と言ってくれる。そして強要もしない。それが、心地よかったのかな。
    「自分がいつしゃべるかは、自分で決める!」と両親に強く主張する場面が2回ほどあった。そこに、るいのいら立ちやもどかしい気持ちを感じる。
    両親は、ゆっくり見守っているスタンスで構えているが、実際の心情は、かなりもどかしく、心配し、るいの未来の案じているのではないだろうか?

    これって、児童書だけど、かなり奥が深い。
    背景がわかる大人が読むと、うーん…と考えさせられるが、自分が小学生のとき読んだら、不思議な話だなと思う程度だったのかな?とも思う。

    最後に灰田くん、すごい嫌な奴だけど、るいのことが好きの裏返しで意地悪するのかな?と思った。
    でも、結局、それは嫌われてしまうのだけど。

  • ちょっといろんなことが消化しきれてないかなあと思って辛めの評価。

  • クラスではほとんど口を聞く事のない女の子のるいに、転校生の谷川くんは大して気にする事もなく「俺とは話せよ」と声をかける。
    その言葉に引き寄せられるようにるいは家に帰っても 谷川くんの事を考えてしまう…
    一見するとクラスでの二人は対照的(口をきかないるいとは反対に谷川くんは外国にいた時の話、お父さんが暮らすはるか遠い国のことをクラスメイトに話して聞かせる)だが、だんだんと互いの中に共通点がある事を感じ始める。
    やがてるいは谷川くんの暮らしを知ることに…

  • 少し前に読了。最近読むことの多い岩瀬さん。
    読んでいて、「もうちょっとだけ子どもでいよう」の新くんを思い出した。るいと谷川くんとか、咲と新くんみたいな距離感が、岩瀬さんの気になるところなのだろうな、と思う。谷川くんの置かれた状況は、一見新くんよりシビアに思えるのだけど、でも谷川くんの妙な悲壮感のなさとか、なんで谷川くんはるいを気にかけたのか、とかを思うと、咲と新くんの関係性よりはシビアさが抜けている気がしなくもない。それが対象年齢に関係する配慮だったりしたら、ちょっと嫌だな。
    90年代の岩瀬さんの作品は、ちょっと気になる。

  • やるせない

  • しゃべらない宇宙好きの女の子と
    色々事情がある男の子の話

    うーん
    なんとも言えない‥

    岩瀬さんてあんまり意味分かんない話ばっかりだな~
    わたしがわかんないだけかな

  • 低学年、中学年向け

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著者プロフィール

1950年、山口県生まれ。
『朝はだんだん見えてくる』で日本児童文学者協会新人賞、『「うそじゃないよ」と谷川くんはいった』で小学館文学賞と産経児童出版文化賞、『ステゴザウルス』と『迷い鳥とぶ』の2作で路傍の石文学賞、『そのぬくもりはきえない』で日本児童文学者協会賞、『あたらしい子がきて』で野間児童文芸賞、『きみは知らないほうがいい』で産経児童出版文化賞大賞、『もうひとつの曲がり角』で坪田譲治文学賞を受賞。そのほかの作品に、『まつりちゃん』『ピース・ヴィレッジ』『地図を広げて』『わたしのあのこあのこのわたし』『ひみつの犬』などがある。

「2023年 『真昼のユウレイたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岩瀬成子の作品

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