なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか (PHP新書 379)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569645339

感想・レビュー・書評

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  • なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか
    著:若松 義人
    PHP新書 379

    トヨタ流「人の育て方」それは、考え抜く力をつくること

    ・人間の能力にそれほど大きな差はなく、あるのは悩む力、つまり、悩力の差ではないかと思えてならないのです
    ・人間は、困った状況に追い込まれると、なんとか状況を打開しよう、楽になる方法はないものか、と必死に知恵を出すものです
    ・困難や問題を、知恵を出すチャンスだ、ととらえ、楽になる方法はないか、と必死に知恵を出してみてください、知恵を出すことが日常になります

    気になったのは、以下です

    ■平伏させず心服させる

    ・トップは言うだけでなく、みずから率先して改革に取り組む気概が必要です
     トップが先頭に立って、一つ一つ改善を積み重ねていくのです

    ・相手がトヨタ生産方式を完全にマスターし、きちんと成果を上げるまで、根気よく言い続ける
     決して、途中で投げ出さない
     それが大野氏の信念であり、トヨタ流の人づくりだ

    ・人づくりには忍耐がいる
     こちらが答えを知っていても、まずは相手に考えさせるという意味での忍耐だ

    ・答えは自分で見つける

    ・人づくりは権限でやるものではない
     仕事は権限や権力でやるもんじゃない
     自分の職務権限を大きくしたって、いいモノができるわけではないんだ
     仕事は、現場の人たちに対する粘り強い理解と説得で進むんだ

    ・今日のことは今日やる
     明日までにやろう、などと考えても、そうそういい知恵は出てこない
     明日のことも考えず、とにかく、今日に全力を尽くす

    ・モノづくりの基本は、安全と5S(整理・整頓、清掃、清潔・しつけ)である

    ・ジャスト・イン・タイム:必要なモノが必要なとき、必要なだけ

    ・仕事を進めるうえで、標準作業、を決める
     標準のないところに改善はない

    ・形を持つ人が、形を破るのが型破り、形がないのに破れば、形無し

    ・基本的なことができていないのに、ほかのことをやろうとしても、お客様に来てもらえるわけがありません

    ・トヨタ生産方式で大切なのは、ムダと仕事をはっきり見分ける目だ
     現場を見て、ムダじゃないか、仕事に関係のない動きじゃないか、をきちんと見分ける
     そのうえで、改善を行うのだ
     だが、改善をしたら、また新たなムダが生まれてくるものだ

    ■人と環境を同時に育てる

    ・自分の意見に固執するのではなく、やってみた結果を重視することだ

    ・人づくりに大切なのは、思いつきでものを言うな、対案なしに反対するな、ということだ

    ・大野氏は、前工程がつくったモノを後工程へ流していく、という一般的なやり方をひっくり返した
     後工程が必要なモノを前工程に引き取りにいう、という脱常識のやり方を考案したのだ

    ・百聞は一見にしかず、百見は一行(行動)にしかず

    ・いい品質のモノは、工程でつくり込んでいかなければならない

    ・見える化:成功も失敗も、そのプロセスをみんなに見える形にして共有することだ

    ■小さなミスに大きく学ばせる

    ・失敗を評価しなければ人は伸びない

    ・失敗したときには、なぜ失敗したのかを必死に考えます
     考えると、理由に思い当たる
     すると、途端に自分の能力、ポテンシャルがポーンと一段上がる
     そんな経験を繰り返すことで人は成長するし、私自身もそうやってきた

    ・危機はみずからを変えるチャンスである
     指導する側もされる側も、相手のせい、にしているばかりでは、互いに伸びていくことができなくなる

    ・なぜ、を五回繰り返して真因に迫り、本質的な解決を図るのがトヨタ流である

    ・いかなる変化も突然起きるわけではない
     必ず変化の前兆がある
     前兆を早くつかみ、対策を怠らない人にとっては、変化は自らを改善するチャンスとなる
     だが、前兆に気づかない人には変化はいつも、ある日突然だ
     起きてからあわてても遅い

    ・自分自身の目標を心に強く持ち、全力を尽くせば、目先の結果が悪くてもきっと次には活かされるはず

    ・ものごとは新しく始めるのも大変だが、撤退するのはもっと大変だ

    ・仕事は一つ一つ決着をつけていく
     いったん取りかかったことは、とことんフォローアップして結果を見届けることが大切だ

    ■ケタの違う発想を引き出す

    ・仕事は部下との知恵比べ:部下に指示や命令を出した以上、一緒に苦しむ、一緒に考える、ことが大切だ

    ・トヨタの上司は、部下をよく見ているし話を聞く
     正解は教えないが、相談すれば必ず、一緒になって考えよう、と言ってくれる
     そこから上司と部下の一体感が生まれ、モチベションも上がる

    ・考えることを部下に丸投げするようでは管理者の資格はない
     仕事は、自分の頭で考えて、自分の目で見て、自分の責任で行動するもものだ

    ・前工程は神様、後工程はお客様
     協力会社は、自分たちにできないことをしてくれる
     だから、前工程は神様である

    ・トヨタ流の基本は、知恵を出すこと、まずやってみること、だ

    ・改善は質より量を出せ
     量をこなしていくと、質に変化が起きますから

    ■呼びつける前に現場に出向く

    ・トヨタ流人づくりに、マジック、はない
     当たり前のことを当たり前にしているだけのことである

    ・難クレームのときは、上司みずから行け、台風や地震のときは、部下の報告を待たず、上司が現場にいけ

    ・仕事は誰も見ていないようで、誰かが見ているものだ
     どうせ誰も見ていないから、といい加減な気持ちでやっていると、そのいい加減さが仕事に現れる
     誰も見ていないときにどんどん仕事をするかで、その人の真価が問われることとなる

    ・情報収集の手段は2つ
     読書と人脈というオーソドックスなものだ

    ■自分の部下を会社の財産に育てる

    ・人づくりは10年単位の仕事、じっくりと立て直す

    ・モノづくりは人づくり

    ・安全第一、営業第二

    目次
    人づくりとは「考え抜く力」をつくること はじめに
    第1章 平伏させず心服させる―人づくりは信頼改善である
    第2章 人と環境を同時に育てる―人づくりはシステム改善である
    第3章 小さなミスに大きく学ばせる―人づくりは問題改善である
    第4章 ケタの違う発想を引き出す―人づくりは発想改善である
    第5章 呼びつける前に現場に出向く―人づくりは現場改善である
    第6章 自分の部下を会社の財産に育てる―人づくりは自分改善である
    おわり

    ISBN:9784569645339
    出版社:PHP研究所
    判型:新書
    ページ数:208ページ
    定価:700円(本体)
    2006年01月09日第1版第1刷
    2006年07月25日第1版第13刷

  • トヨタの人材育成ノウハウをまとめた物。
    よく使うのはなぜんぜ分析だけども、それ以外にも色々ためになる本です。

    時々これらのことを忘れてただ命令出して、出来ていないことを叱ることがあるので反省せねば。

  • 著者は、トヨタ自動車に勤務し、退社後も「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に務めている方です。
    本書は、その著者が「モノづくりは人づくり」というトヨタに語り継がれてきたひとづくりへのこだわりを書き綴った本です。

    人づくりを「信頼改善」「システム改善」「問題改善」「発想改善」「現場改善」「自分改善」という6つの改善からアプローチしています。
    自分としては、これらの改善の底辺にあるのは、けっして指示・命令をすることなく「まず聞く」「考えさせる」「一緒に考える」「やってみせる」というみんながみんな当事者思考でいることだと感じました。

  • ★なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか(若松義人:PHP新書)

    能力の差⇒悩む力(悩力)の差

    知恵のついた現場は強くなる。知恵を出すことを覚えた部下は大きく成長する。

    ■第1章:平伏させず信服させる
    •「まず自分のやるべきこと」を見つける

    •問題を指摘するだけなのは仕事ではない。問題を解決して初めて仕事をしたといえる。人づくりも決してあきらめず、根気よく言いつづけることが重要。

    •人は権限だけでは動いてくれない。「この人とだったら組んでいい仕事ができる」という信頼関係が欠かせない。信頼関係は、時間をかけて説得し、納得さすぇることから始まる。

    •「やってみせる」は言葉より雄弁に人を説得する

    ■第2章:人と環境を同時に育てる
    •「一度決まったことだから」は免罪符にならない。間違いや非があれば素直に認めてすぐに直す。

    •考えることを部下に丸投げしてはいけない。仕事に批評家はいらない

    •「守・破・離」
    •「百聞は一見にしかず 百見は一行(行動)にしかず」

    ■第3章:小さなミスに大きく学ばせる
    •「失敗したときには、なぜ失敗したかを必死に考える。考えると理由に思い当たる。すると、途端に自分の能力・ポテンシャルが一段上がる。そんな経験を繰り返すことで人は成長する」

    •原因の背後には真因がある。ミスが起きたとき、表面的な問題(例:注意不足)だけを見るのではなく、「なぜ」を5回繰り返して真因に迫り、本質的な解決を図る。小さなミスを軽視して応急処置や注意喚起を促しているだけでは本当の解決にはならない。

    •「百聞は一見にしかず 百見は一行(行動)にしかず」

    ■第4章:ケタの違う発想を引き出す
    •人間の知恵の可能性を信じる。人の可能性を追及する。

    •部下から相談されたら必ず手を止めて話しを聞け。無理ならいつ話を聞くのかその場で決めろ。

    •考える社員を求めるのなら、上司自身が自分の頭で考え、適切なアドアイスのできる存在でなければならない。

    •まず自分から変わる。言う人が率先してやるからこそ、説得力が増すのだ。

    •丸投げは厳禁。当事者意識を持って考えよ。

    •会議には、自分の考えをしっかり持って出席し、議論に積極的に加わり結論にも責任を持つことが必要。参加ではなく参画。

    ■第5章:呼びつける前に現場に出向く

    •部下だけでなく、上司自身が現場をよく知っていることが必要だ。データや報告だけではなく、自分の眼で現場を見て確かめる。事実の奥にどんな問題点が潜んでいるかを自分の目で発見する。その力がなければ管理職とは言えない。部下を鍛え、育てることはできない。

    •信頼は日々の積み重ねによって生まれる。相手の言い分に耳を傾け、自分の意見もしっかりと言う。嘘をつかず難局からも逃げない。そういう人が「頼りとなる親方」となる。

    •修羅場が妙案を育てる。「お前は運がいいよ。こんな問題にぶつかったのはむしろ運がいいと思わなあかん。局面を自分の力で乗り切る絶好な気化じゃないか。なんとしてでもやらんといかんぞ。」

    •難しい局面に追い込まれたとき、音をあげるか、知恵を出して頑張るかで人間の値打ちは決まる。

    •データは重要だが、安易に鵜呑みにするのではなく、その奥にひそむ問題点を自分の目で発見し、自分の手で改善をする。

    •スタッフは「生産ラインに飯を食わせてもらっている」

    •「できない」のは周りが手を引いているからだ。腹を決めてやれば、まわりの協力が得られ、必ず道が開ける。

    •仕事は「気持ち」でやれ

    •どんな状況に置かれても、決してあきらめず努力を惜しまない。やがて努力が報われるときがきて、飛躍・成長できるものだ。

    ■第6章:自分の部下を会社の財産に育てる

  • 企業風土なんでしょうね。

  • ウチでもこれだけミスが頻発するとそろそろ朝礼や掛け声や形だけのアリバイ作りだけでは何も解決しないと管理職が理解しないといけないレベルにきてると思います。
    それでも形だけの話を上司にあげようとするので管理職はそろそろ現場に手を突っ込み汗をかかないとあかんのちゃいますかと伝えました。
    が、あまり伝わってないようですσ^_^;
    明日は嵐やな…
    話が飛んできたら僕なりの答えとして、できてる人の行動分析を提案しようと思います。
    できない人はできない理由がありできる人はできる理由があります。
    ある程度気づいてますが本当は現場が現場で答えを出すものなんですけどねσ^_^;
    もう1つこの本から学んだのは肚を括って仕事してる人には味方が現れるということです。
    ウチの代理が典型ですねσ^_^;
    僕もそうじゃなかったら総務に来てなかったと思いますし…

  • たしかにいってることはその通りなのだが、なかなか難しい。
    答えを言わずに部下に考えさせる。
    この本を意識してコミュニケーションをとったのだが、大変さを痛感した。
    俺なんかを一瞬で超えてもらわなければいけないのである。

  • モノづくりは人づくり
    人を育て、自分を育て、会社を大きく育てるトヨタのノウハウが記載されています。(自分も育てなくては・・・)

  • 仕事をする上で意識すべきことが端的なメッセージで書かれている。仕事への取り組み方、モチベーションの高め方に迷った時には、また読み返したい。

  • 2014/3/2

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著者プロフィール

カルマン社長

「2015年 『「トヨタ式」大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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