法律家のためのキャリア論 変わりはじめた弁護士・役人・学者の世界 (PHP新書)

著者 :
  • PHP研究所
3.02
  • (1)
  • (5)
  • (33)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 89
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569645346

作品紹介・あらすじ

弁護士は「とりあえず取得する資格」となる!?法科大学院創設により、法曹人口の量産時代が到来。司法制度改革は法律を扱う職業のあり方を大きく変えようとしている。有力弁護士は役人の中枢ポストに就き、学者としても活躍の場を広げる。弁護士の中でも多様なキャリアや経済的格差が生まれるだろう。従来、法律にまつわる職業は、「参入規制」と「すみわけ」で守られ、独特の世界を築いてきた。本書は、その実態と今後の展望を独自の体験を交えて描く。これから目指す人も必読の一冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 国内弁護士、渉外弁護士、キャリア官僚、法律学者、企業法務といった、法律関係の職業の概要と、法科大学院の新設による変化について。
    仕事上お付き合いした人たち(これからもなんらかの接点はでてくるだろう)の実態を少しは理解できた。

  • 最後の「第五章 理想のキャリア」は、よかった

  • 中々弁護士学者官僚のキャリアを網羅した人はいないと思うので興味深かった

  • 2005年と若干古い本だが,特に官僚や大学教授のキャリアについて,参考になった。

    「弁護士業務が法律サービス全般を提供するものとするならば,司法修習による法廷技術の習得を,大幅に増やした司法試験合格者全員に義務づける必要はない。」(170頁)
    最近囁かれる司法修習不要論について,数年前からも指摘がされている。
    自分としては,司法修習は非常に貴重な体験であり満喫したいと思うが,貸与制で1年間も無収入の状態に縛り付けるのであれば,望まない人に強制する理由に欠けるのではないかとも思う。

    「新制度は弁護士に対する基本的位置づけについてあいまいな立場になっている。」(同)
    やはり,制度設計の時点で,既に矛盾を多く孕んでいたのだろうかな。

    法学者育成システム(189頁前後)については,こんなにうまくいくかなぁ,という印象。法科大学院が,博士課程の一部を代替しうるとは思えないんだけど…。優秀な人は,法科大学院の授業や課題はさっさと終わらせて,自分の研究に没頭できるんだろうか。

    「職業人としてのベストの時期は三十~四十歳代」(210頁),「三十~四十歳代に数回転職をしてでも専門能力を高めるほうが確実な生き方になる可能性が出てきた。」(227頁)
    うーん,転職するとしたらどのタイミングなんだろう…。

  • [ 内容 ]
    弁護士は「とりあえず取得する資格」となる!?
    法科大学院創設により、法曹人口の量産時代が到来。
    司法制度改革は法律を扱う職業のあり方を大きく変えようとしている。
    有力弁護士は役人の中枢ポストに就き、学者としても活躍の場を広げる。
    弁護士の中でも多様なキャリアや経済的格差が生まれるだろう。
    従来、法律にまつわる職業は、「参入規制」と「すみわけ」で守られ、独特の世界を築いてきた。
    本書は、その実態と今後の展望を独自の体験を交えて描く。
    これから目指す人も必読の一冊。

    [ 目次 ]
    十年後の世界
    第1章 体験的職業論―国内弁護士、役人、学者の世界
    第2章 人気上昇中の法律家―渉外弁護士、裁判官、企業法務担当者の仕事
    第3章 法科大学院が変える法律家のキャリア―国内弁護士、役人、学者の将来像
    第4章 私の職業生活―独占禁止法の専門家へ
    第5章 理想のキャリア―人材流動化の時代

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ある仕事・職業の実態を知るには、それらの仕事を実際に体験した人から情報を得るのが一番だと思う。


    筆者は、弁護士・役人・学者のいずれも経験しているので、説明がリアルで具体的なだけでなく、主張に説得力があった。同世代の大企業のサラリーマンなどとも比較しているのも良かった。


    ただ、法科大学院構想など一連の司法改革の今後の展望は、多少大胆すぎるかなと思いましたが…。

    進路について考えている法学部生は一度目を通すといいと思います。

    若干古い「新書」ですが、ブックオフで105円で買った価値は間違いなくありました。

  • そういえば先日であるが、ある企業に内定した。配属部署はまだ正式には決まっていないのだが、法務部門に配属されそうなので、今後のキャリアを考えるために購入した。

    ちなみにビジネス法務の本も購入し、目下勉強中である。

    さてこの本の概要であるが、著者は官僚、弁護士、学者とめずらしい経歴を歩んだ方であり、その経歴を活かして、それらの職業のメリット・デメリット、そしてこれからの展望について書いてある。

    もっとかいつまんでしまうと、
    「これからは‘弁護士‘という資格は、コモディティ化する。そうであるならば、学者や官僚にも目を向けよう。給料は安いけどさ」
    といった主張がなされている。

    企業の法務部門はこれから人気が高まるであろうとのこと。理由としては、給料が保障されて、仕事としてもエキサイティングだから。

    社会に出る前に、読んでよかったと思える本だった。法律という学問の特性上、これからも勉強し続けなきゃいけないんだなと気持ちを新たにした。

  • 村上さんの本。

    「第2章 人気上昇中の法律家—渉外弁護士、裁判官、企業法務担当者の仕事」、「第3章 法科大学院が変える法律家のキャリア—国内弁護士、役人、学者の将来像」が特に、色々イメージが湧いてよかった。。

    学者はやっぱり無理かも。
    大手渉外事務所で働くのは企業法務に極めて近くなるんだってわかった。
    やっぱ訴訟とかやりたいよね。人に触れたいし、話したい。
    町弁は微妙だけど、国内の専門事務所が一番いいと思わせるような書きぶりだった。

    あと、競争激化。。。

    あと、ロースクール出て、司法試験落ちたらどうすればいいか、ちょっと希望が出てきたよー。

  • 著者は、弁護士→米ローファーム→公正取引委員会(役人)→大学教授(学者)と、企業法務以外の法律職の殆どすべてに携わった特異な経験をもつ村上政博氏。

    「弁護士は一生変化のないエンドレスな仕事」

    「役人は仕事にやりがいは感じるが、長時間労働等で犠牲にするものは多い」

    「学者は最初に師とする教授のあたりはずれで一生がきまる」

    など、経験者ならではの実感溢れるキャリア観が語られています。おそらく、教授として大学の生徒たちに将来のアドバイスをするために、この本を書かれたのではないかと推測します。

    そんな著者曰く、今後法律家のキャリアの選択肢としての企業法務担当者の人気は向上するだろうとのこと。

    渉外事務所の人気が急上昇し事務所内での競争がより激しくなる一方、法曹人口の拡大が渉外事務所の待遇低下を招く結果、企業法務という現場よりの面白い法律事務ができかつ給与も保障される企業法務担当者の人気が相対的に高まるというのが、その理由。

    一見私の持論(企業法務部は衰退する)とは反対のことを言っているようですが、つまるところ、何の専門性も持たないままただ法務部にいるようでは、渉外事務所から流出してくるプロフェッショナルに勝てず居場所がなくなるという意味では、私の危機感と一致しています。

  • 癖がなく読みやすい。というのも自分の経験を主に書いておられるからだと思うが。

    これからは弁護士もいろんな領域に進出していかなくてはなりませんね。いまオレはまさにロースクールに行こうとしている。とてもやる気が出たと同時に、不安も増えた。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

成蹊大学法学部特任教授・弁護士(TMI法律事務所)。(2022年9月現在)

「2022年 『独占禁止法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村上政博の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×