今こそ知っておきたい「災害の日本史」 白鳳地震から東日本大震災まで (PHP文庫)
- PHP研究所 (2013年6月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (636ページ)
- / ISBN・EAN: 9784569760285
作品紹介・あらすじ
日本は古代からしばしば大災害に見舞われ、たくましく復興してきた。歴史を追って「災害と時代変化」の相関関係を浮き彫りにする好著。
感想・レビュー・書評
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昔は関東大震災。今は3.11。
それにしても記録で残っているだけでも相当な被害。歴史は主に政治史だがメインで語られないだけで災害が及ぼす影響は甚大である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
天武天皇の御代・西暦684年の白鳳地震から東日本大震災まで、日本を襲った自然災害とそれに対する社会の反応をまとめた本。
それにしても、「日本は地震国」だと重々知っている私たちが思う以上に、この国には本当に地震が多い。特に昭和19年12月と翌20年1月の2度、当時の軍需産業の中心地だった名古屋が壊滅的な被害を受けたのだとか、敗戦間もない21年12月、追い打ちをかけるように大地震が襲ったのだとかいうことは、当時は報道管制が敷かれていたというが、「自由」の世になって久しい今も、どれだけの人が知っているだろうか。
私たちは、現在進行形で煮えたぎる地獄の釜の上で暮らしているのだ。日頃目をそむけている、その事実をつきつけられた。
だからといって他に行く場所があるでなし、「ならば」どうすればよいのか? という点に、願わくはもう少し紙幅を割いてほしかった。一般人に対する啓蒙は、明日への教訓なしには成り立ちえないものなのだから。
最後に蛇足。歴史小説を読まない私は清水義範氏のパスティーシュでしか知らないのだが、このように、
「文章を途中で区切って一部をカッコ書き」
する手法を「司馬遼太郎的」と呼ぶのが正しいのなら、著者の司馬フォロワーぶりがやや鼻についた。
文章や内容にはもの言いたいところもあるが、超一級の素材を買って、1つオマケしての星4つ。
本書に淡々と列記された事実は、冗談抜きに全国民必修のものである。
2014/1/13〜1/18読了 -
一番古いのは684年の白鳳地震から、東日本大震災まで記録が残っている日本の災害(地震、台風、噴火)を、その時代背景やどうやって復興したのかを含めて解説する600pを超える大書。
終戦前後に名古屋近辺で大きな地震が連続して起きているとか、京都付近でも過去に大地震があったなんて、どれくらい知っているんだろう・・
そしてそれが東南海地震であるということも。 -
災害に関する本はこれまでにも数多く出版されています。とりわけ3.11は日本における災害について考え直すきっかけとなり,様々な観点から災害が論じられるようになりました。
本書は,災害を日本の歴史という観点から詳細にまとめられたものです。その歴史も,古くは古代から災害と関連させて述べられており,網羅性が非常に高いです。昔の日本人は,地震や台風といった災害とどのように付き合ってきたのかがよくわかる大変興味深い1冊だと思います。
600ページ以上にわたって詳細に書かれた本書を今読むことは,自然現象という避けられないものとどのように共存していくべきなのかを考える上で大変意義があると思われます。
日本の歴史を学びながら災害の実態がわかる一石二鳥の本だと思いますので,ぜひ。