アマゾン、アップルが日本を蝕(むしば)む (PHPビジネス新書)

著者 :
  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569792903

感想・レビュー・書評

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  • 2011 7/29読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
    図書館をぶらぶらしていたら目に入ったので借りてみた本。
    アマゾン、アップルが象徴するという「ネット帝国主義」(プラットフォームレイヤーを中心とした垂直支配やクローズドモデルでの囲い込み前提のビジネス)の問題を指摘する本。
    日米の出版文化比較あたりは割と面白いが、そんなに新しい話はないし、問題は指摘しても対処策の記述が浅い。

  • コンテンツ制作者(概ね既存メディアのこと)はネットの被害者であるという主張ゆえネット側からは受けが良くない筆者であるが、本書の提示する観点「プラットフォームがすべてアメリカ製で良いの?」が重要なのも事実。
    同意できない論点も少なからずあるが、日本ではアウェイのグーグルやアップルに対して地の利に勝る日本企業がもっと頑張るべきという応援と考えるべきだろう。

  • 日本の供給業者の保護という視点から書かれた電子書籍業界の解説本です。

    著者の主張をまとめると
    「アマゾンやアップルのような価格の引き下げや顧客利便性の高い最ービスを提供する業者は、コンテンツ製作者にとっては有害でしかない。
    だから、日本ではコンテンツ関連の既得権を持った企業が自分たちの既得権を失わないようなサービスを提供できるようにすべき。そのためには談合まがいのことをしてもしょうがない。」

    20世紀の日本の官僚の考え方を知りたい人やアマゾンやアップルは一方的な悪徳企業だと考える人にはおすすめです。

    アマゾンやアップルや本書で悪役としてよく登場するウォールマートが消費者にどれだけのメリットをもたらしたかを考えずに、供給業者の既得権をいかに確保するかを主張するのでまったく同意できない。

    消費者保護以外にも、映像・音楽・ソーシャルメディアと書籍とのコンテンツ同士の競争にどう対応していくかとう視点にもかけている。

    著者には、官僚時代の思考方法を捨てて、以下の記事のようにアマゾンやアップルがアメリカの出版業者にどのような変化をもたらしたかもう一度考えなおしてもらいたい。

    アメリカ出版界が「デジタル主導」を宣言
    http://www.ebook2forum.com/2011/04/american-publishers-announces-victory-of-digital/

  • 2011年発行の新書なので仕方ないのかもしれないが,主張がなんとも古臭いように思う。そのうえ,一方で批判しながら,他方でフォローする様子が,なんとも小狡い。

  • テクノロジー礼賛に警鐘を鳴らす書。何でもかんでも無条件に受け入れるのは良くないわな。

  • この本には、ネットの普及が社会にもたらす負の側面についてと、電子書籍の問題という、二つのテーマについて書かれています。

    また、日米の出版文化の違いについても詳しく書かれていて、本に対する思いの違いがわかります。

    書籍自体、米国と日本では大きく違って、日本の製本や装幀などの書籍の造りは素晴らしいそうです。



    電子書籍には、まだなじめませんし、紙のページを一枚一枚めくりながらの読書が好きですね。

    インターネット時代のアマゾン、アップル、グーグルや、フェイスブックなどがこれからどうなるのか?

    パソコンでインターネットを使う人と使わない人、これからに時代にどう変化するのでしょう?

    とても面白い本です。

  • 参考になるデータも含まれており楽しめたところもあったが、別にブログで良いのでは……という本。

  • 他の著書と被る面も多々あったが、1つの意見として面白いので悪くはなかった。

  • この本によると、2010年が4度目くらいの「電子書籍元年」だったようです。今となっては実感がないのですが、KindleやiPadが日本国内で販売されるようになったのが2010年ごろで、本格的に使える電子書籍端末が出てきたので、今回こそはという感もあったのでしょう。実際にはコンテンツがそろわず、電子書籍元年は今年か来年か、それともまだ先かもしれません。
    とはいえ、私もソニータブレットを購入し、電子書籍端末としても利用しています。また、勤め先で運営しているサービスを利用する形になりますが、電子書籍の自費出版を行い、作家デビューする話も進んでいます。書籍の電子化の流れは、今後さらに加速し、定着していくことになるでしょう。

    出版、音楽、ゲームなど「文化」と呼べるものは、その裏側にビジネスの側面もあります。著者が主張しているように、文化とビジネスのどちらが大事かという話ではなく、両者が車の両輪として、バランスを保って進んでいくことが発展につながり、ひいては文化を守ることにもなります。その観点で言うと、急速な電子化、IT化はビジネスの側面を強調しすぎており、文化としては発展を妨げられているのではないかと感じるわけです。
    (ゲームを例に挙げたのが違和感があるかもしれませんが、将棋をイメージしています。先日、コンピュータ将棋「ボンクラーズ」が米長邦夫永世棋聖と対局し勝利しましたが、コンピュータ将棋のもつ勝利優先のビジネスライクな姿勢が、将棋文化にどのような影響があるのか、不安な面もあります。)
    文化というと曖昧になってしまうかもしれませんが、コンテンツの質を維持するための活動と考えれば、電子化、ネット化でコンテンツの質を落とさない仕組みを求めていくこと、と言い換えることはできるかと思います。
    利用者としては、囲い込みやビジネスなど関係なしに自由にさせてほしい。とはいえ、完全に自由に使えるようになってしまうと、ビジネスが成り立たないどころか、文化も壊してしまい、次の世代に何も残せなくなってしまうでしょう。そのあたりが考えどころで、ビジネスと文化と顧客満足をどこでバランスさせるかが、電子書籍に突きつけられた課題といえそうです。

    「ネット帝国主義」という表現は、作者が好んで用いているようですが、いかがなものかと思いました。米国のネット企業を十把一絡げにしてラベルを貼ることで、問題の本質を見失ってしまっているようです。人の個性、企業の方針を無視した議論は、暴論に近いものになってしまいます。
    わかりやすい事例で言うと、ネット帝国主義のSNSは本名を要求される、という表現がありましたが、原則本名のSNSはフェイスブック「だけ」といっていい。マイスペースもミクシィも、ツイッターもハンドル利用が標準なのに、その違いを意図的にか無意識にか、無視しているわけです。
    また、帝国主義という表現から連想されるものと、ネット社会が目指しているところとは、大きく異なるものです。ネット社会では情報の寡占、独占が進むために勝者は1社になりがちですが、その点をもってのみ「帝国主義」と言っているのではないかと思いました。

    日本は、米国をはじめ諸外国の事物やシステムをまねて、自分たちの使いやすいように改良していく、優れた力があります。改良したものを国外に広めるのは苦手なのと、普段使って慣れているために改良と気づいていない部分もありますが、ネット社会になってもその傾向は続いています。
    本書にはニコニコ動画の事例がありましたが、音楽は着うたとして、電子書籍はケータイ小説や携帯コミックとして、独自に進化しています。SNSもミクシィはまだまだ終わっていませんし、ツイッターではハッシュタグをお題にして大喜利を行う、少し前だとブログを個人の日記として用いるなど、日本ならではの展開の事例はいくらでも挙げられます。
    なので、プラットフォームの発展については、何も心配することはないのですが、問題はやはりコンテンツの質。私たち受け手側も直感的で刹那的なものを求めてしまい、じっくり考えるということができなくなっているようです。私たちがもっと良質のコンテンツを求め、ビジネス一辺倒にならない姿勢を示せば、コンテンツの質が高まり、文化の発展という形で現れてくるのではないでしょうか。

  • 電子書籍を語る前に、そもそもアメリカと日本での出版ビジネスと書籍に対する価値観が異なることを忘れてはいけない。その上で、ネット企業による電子書籍出版ビジネスの変革を考えるべき。ネット自体がアメリカから産まれたものであることを考えると、アメリカの価値観で作られたビジネスモデルをそのまま日本に導入するのは果たして正しいのだろうか。各々の国や文化に即した方法を模索しよう。

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