漫画貧乏(まんがびんぼう)

著者 :
  • PHP研究所
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569803838

感想・レビュー・書評

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  • Kindleだと無料。そう(無料という意味)考えると素晴らしい内容だなと。漫画家を目指すなら必ず読んでおくべきなのかも。
    本書は発売から約3年経過してるし、電子書籍の浸透具合はだいぶ変わってきてる感じがする。でも、漫画 on Webはさらに進化しているようで(最近のニュースだと)今後が楽しみですね。

  • 4〜5

  • 本の内容的に、私も共感した部分もあれば、ちょっと違うんじゃないかと思った部分もあります。
    若干、客観性というか意見の多様性というかが少ない気がします。
    少人数で企画・編集・出版した本、良くも悪くも若干独白気味という気がしました。
    論理的に書いてはいるのですが、こう、なんか、そんな印象を受けてしまいました。

    しかしながら、漫画家の実態が少しわかった気がします。

    連載ものでは赤字。
    コミックの印税が入るようになれば生計が立つ。
    アシスタントは徒弟。
    編集部は高飛車。

    といった感じ。

    編集力というのは非常に曖昧だが、一つ言える事は
    会社に属している編集員はリスクをほとんど負わないということ。

    自分が担当した本が売れなくても給料は貰える。
    しかも相当高給らしい。

    本書で紹介されているサイト:漫画 on Web

    払ってもいい金額:900円

  • 周囲とケンカしながらも新たな挑戦を続ける姿勢が素晴らしい。先駆者が叩かれるって本当なのね。

  • 小さな頃から漫画が大好きで「いつか絶対漫画になってやる」と心に決め、23歳ぐらいで初めて原稿に描いた漫画を集英社に持ち込んだ。ボロクソに言われるかと思いきや「何か才能的なものは感じる」風なことを言われ、普通なら喜んで更に漫画家になろうと決意を固めるのでしょうが、私の場合は満足してそこで試合終了した。それでも心のどこかで「あの時、漫画家を本気で目指していたらどうなっていたのだろう…」とノスタルジックな気持ちになることも多々あったのですが、この本を読んで、やはり漫画家にならなくて正解だったと確信しました。
    それほど現実は厳しい。生半可な私の決意では簡単に折れて路頭に迷っていたでしょう。あの誰もが知ってる映画の原作者である著者がこれほどの苦労を強いられていたとは露程にも思わなんだ。
    漫画家を目指している人にこそ読んで欲しい一冊。
    あなたはこれを読んでもまだ漫画家目指しますか?

  • 出版社には出版社なりの言い分があるのだろうが、出版社が漫画家を”搾取”している構図であることは間違いない。
    Win-Winの関係でない限り発展はないにも関わらず、出版社が優先的地位の濫用を続けている限り、現在のジリ貧状態はむべなるかなである。

  • どこまで本当のことなのか、という問題はあるにしても面白かった。

    『海猿』『ブラックジャックによろしく』などで知られる佐藤秀峰さんによるエッセイ。内容自体はツイッターやWebで語られていることを、再度まとめたような感じ。語り口は面白いし、リアルな「バクマン」漫画も読めるし、なかなか価値のある本だと思う。

    帯には「10年後も漫画はあるのだろうか?」とあるように、赤字体質の漫画雑誌の状況、出版社との契約(おもに原稿料)の不備、Web漫画立ち上げのあれこれの理想と現実……などなどが切々と語られている。特に、原稿料については大手出版社であっても口約束と搾取の構造で成り立っているようで、これは漫画という出版社の主力商品に対する姿勢としても恐ろしいことだと思った。ぺーぺーの三流漫画家ならともかく、それなりに名のあるタイトルを持つ漫画家であるなら、原稿一枚にかかる原価を計算して原稿料を出してあげるべきだよねぇ。それがなっていなかったという不思議。

    要するに、ここに書かれていることは「破綻したビジネスモデルの物語」なわけで、今は例えばワンピースが大人気とかで表面上は豊かに見えても、実は空洞化が広がっているのだということが良く分かる。でも、じゃあ新しいビジネスモデルを構築しようとしても、それを一から作り上げるには漫画家一人の力量では如何ともしがたい部分があるみたいだ。新しいビジネスモデル、というのは死屍累々の上に立つ一本の棒のようなものだから、現状がダメでも誰かが新しいアイデアを生み出すかもしれない。というわけで、進んで人柱になろうという佐藤秀峰さんという奇特な人を、私たちはみんなで応援してあげないといけないと思うんだよねぇ。

    将来的にはオタキングこと岡田斗司夫がやっているような、個人の企業化みたいな形態が漫画家を支えていくような気がする。ファンが毎年千円でも1万円でも払って、その金で活動するような感じ。そうなるともはや漫画家ではいられないかもしれないけれど、一つの在り方だとは思う。とにかく日本の今の状況は、漫画業界に限らず「焼き畑」的な手法が罷り通っている。今が売れればいい、今が利益でていればいい、将来のことは知らない、というような状況。これも一種のバブルではないだろうか。もっと持続可能なシステムを作ることこそ求められているのに、誰もそこに手をつけたがらない。

    この本を読んでみると、日本のクリエイターが置かれている立場がいかに過酷かが良く分かる。大手でさえ売れっ子漫画家にこういう態度に出るのだから、pixivに投稿している絵師なんて十把一絡げで使い潰そうとするのも当たり前のような気がする。これまでは市場そのものが右肩上がりで問題を叩き潰すことができたけれど、市場が右肩下がりになると問題を放置することもできなくなるだろう。でも、今のシステムに乗るのなら搾取の構図から逃れられないだろうけれど、もっと広い視野に立てば、別にこのシステムに乗らなくても自由に活動できるし、それなりに稼げるようになるとは思う。

  • 売れてない時の編集者の言動がその後のルサンチマンへ募っていったのかな。
    マンガ雑誌の編集者は決してマンガ好きじゃない、というところにも断絶が生まれやすいといえるでしょうね。
    あの「ドラえもん」でさえ初期のころは世界一安い原稿料で冷遇されていたのだから、出版社の考えることは明確だとも思える。
    ちなみに、藤本先生自ら出版社に訴えかけてやっと単行本化の運びになったことはあまり知られていない事実だ。

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