ドラッカーとオーケストラの組織論 (PHP新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569809496

作品紹介・あらすじ

マネジメントの父と呼ばれるウィーン生まれのピーター・ドラッカー(1909〜2005)は、オーケストラに"未来の組織"を見ていた。なぜドラッカーはオーケストラという組織に注目したのか?さまざまな楽器を受け持つプロの演奏家集団が、指揮者のもとで高度にマネジメントされた組織になったとき、一人の巨匠演奏家の限界をはるかに超えた音楽を作り出すことができる。そのことをドラッカーは理解していた。指揮者の役割、リハーサルの舞台裏、各地のオーケストラの歴史や新しい試みなどからマネジメントの本質が浮かび上がる意欲的な論考。

感想・レビュー・書評

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    ── 山岸 淳子《ドラッカーとオーケストラの組織論 20130218 PHP新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4569809499
     
    “一人の指揮者の下で、数百人の音楽家が共に演奏できる”
     一部の名門オーケストラを除いて、数百人のメンバーは存在しない。
    …… 1887年創立時の略称は藝大、東京藝大、TUA。1949年大学設置。
    国立大学法人法(および旧国立大学設置法)に基づく法的な正式名称は
    「東京芸術大学」である。旧字体の「藝」も通称として使用している。
     |
    …… ウィーン国立歌劇場のオーケストラであるウィーン国立歌劇場管
    弦楽団(6管編成・150名ほど)の団員から選ばれたメンバーによって構
    成されたオーケストラ(5管編成・120名ほど)である。ウィーン独特の
    楽器や奏法などを歴代の名手たちが後輩に伝えることで長年受け継がれ
    てきた[3]。大型の編成を求められる曲(マーラーなど)では、国立歌
    劇場の団員もエキストラとして出演する場合もある(Wikipedia)。
     
    …… 楽譜――明確で共有可能なルール「一人の指揮者の下で、数百人
    の音楽家が共に演奏できるのは、全員が同じ楽譜をもっているからであ
    る」(「情報が組織を変える」)
     
     マネジメントの父・ドラッカーが語る「理想の組織=オーケストラ」!
    より、山岸 淳子(日本フィルハーモニー交響楽団 特命)
     
    ♀Yamagishi, Junko     19‥‥‥ 長野 /東京藝術大学音楽学部
    楽理科卒/財団法人日本フィルハーモニー交響楽団入団。広報宣伝部長、
    企画制作部長等を経て、現在特命担当。アレクサンドル・ラザレフの
    首席指揮者就任およびピエタリ・インキネンの初招聘と首席客演指揮者
    就任、五〇周年記念コンサート公演制作、ボランティアやインターン制
    度の発案導入などを担当。在勤中に慶應義塾大学大学院文学研究科美学
    美術史学専攻(アート・マネジメント分野)修了。オーケストラと社会
    の関わりに関心を持ち、大学のゲスト講師、文化関係団体や地域での講
    演なども務める。NPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク評価委員
    会委員。日本文化政策学会、日本アートマネジメント学会会員。
    https://koemigaki.com/teacher
     
     Drucker, Peter Ferdinand 19091119 Wien America 20051111 95 /
     
    ……「マネジメントの父」ドラッカーは、ウィーンで生まれ育ち、音楽
    への深い造詣の持ち主でした。その証拠に、ドラッカーの著作の中には
    たびたび音楽にまつわるエピソードが登場します。
     
     そのドラッカーが「理想の組織」であり、かつ「未来の組織」である、
    と語ったのが“オーケストラ”。さまざまな楽器を受け持つプロの演奏
    家集団が、指揮者のもとで高度にマネジメントされた組織になったとき、
    一人の巨匠演奏家の限界をはるかに超えた音楽を作り出すことができる
    ――そのことをドラッカーは理解していたのです。
     
     本書は、日本フィルハーモニー交響楽団でオーケストラの組織・マネ
    ジメントを肌で感じてきた著者が、ドラッカーの言葉から、オーケスト
    ラの真の姿とともにマネジメントの本質を浮かび上がらせる意欲作です。
     
     ドラッカーの言葉でわかる! オーケストラのココが「理想の組織」
     
    【主な内容】
     
    ● 経営管理者は指揮者である
    「経営管理者は、部分の総計を超える総体、すなわち投入された資源の
    総計を超えるものを生み出さなければならない。例えていうならばオー
    ケストラの指揮者である」(『現代の経営』)
    ● 「情報化組織」としてのオーケストラ
    「情報化組織における主役は、専門家であって、トップ経営者でさえ仕
    事の仕方については口出しができない。指揮者はある楽器の演奏方法が
    分からなくても、その楽器の奏者の技術と知識を、いかに生かすべきか
    を知っている」(「情報が組織を変える」)
    ● 楽譜――明確で共有可能なルール
    「一人の指揮者の下で、数百人の音楽家が共に演奏できるのは、全員が
    同じ楽譜をもっているからである」(「情報が組織を変える」)
    ● 専門性の獲得と維持
    「ピアニストは、何か月も飽きることなく音階を練習する。技能はごく
    わずか向上するだけである。だがこのわずかな向上が、すでに内なる耳
    によって聴いている音楽を実現させる」「成果をあげる能力とは、積み
    重ねによるものである」(『ポスト資本主義社会』)
    ● 非営利組織(オーケストラ)のミッション
    「非営利組織は、政府や企業とは違う何かを行う(略)。非営利組織が
    生み出すものは(略)変革された人の人生である」(非営利組織の経営)
    ● オーケストラの「顧客の創造」―― ニューヨーク・フィルの教育
    プログラム…。「企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしか
    ない。顧客である。顧客によって事業は定義される」(マネジメント)
    ● 聴衆もオーケストラの一員「コミュニケーションは、送り手ではな
    く受け手からスタートしなければならない」(マネジメント)
     
    【目次】
     
    第一章 ドラッカーの言葉とオーケストラ
    第二章 オーケストラ組織論①――プロフェッショナルとしての演奏家
    第三章 オーケストラ組織論②――リーダーとしての指揮者
    第四章 ドラッカーの見た都市とオーケストラ
    第五章 マネジメント
    第六章 「未来の組織モデル」としてのオーケストラ
     
    ■判型:新書判並製 304頁 ISBN:978-4-569-80949-6
     
    http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-80949-6
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    http://www.amazon.co.jp/dp/4569809499
     
     株式会社PHP研究所(京都市南区・代表取締役)
     清水 卓智 代表取締役社長 19‥‥‥ ‥‥ /20200928 辞任、特別顧問
     瀬津 要  代表取締役社長 19‥‥‥ ‥‥ /20200928 就任
     
    【本件に関するお問合せ】株式会社 PHP研究所 Web広報部
    TEL:03-3239-6229 FAX:03-3239-6248
    E-mail:prinfo@php.co.jp
    URL: http://www.php.co.jp/
     
    (20240226)

  • ドラッカーと音楽に興味のある人には、とても勉強になると思う。

    興味津々で、読み進めた。

  • オーケストラは確かに理想の組織だと思う、しかし非営利組織が目指すものって一体なんだろうか?それはとっても難しい。

  • オーケストラとは情報化組織。最高の結果を生み出すために練り上げられた組織形態であり、ビジネスにも通ずる。オーケストラの組織論や各役割を知ることで活かせるものが多く大変興味深い。

  • すっごく読みが進まない本でした(^_^;)
    ドラッカーに精通してる人だと面白いのかな。
    なんかこう、いろいろよく体に入ってこなかった…。

    非営利組織たるオーケストラは自律したプロ集団からなる組織であるという面に置いて、理想的組織である、と読み取りました。
    が、これはまあ、楽譜という唯一無二な、問答無用の設計図、マニュアルがあるから成り立つことであって、おそらく世の組織のリーダーは、この「楽譜」が作れないから苦労しているのではないかと思われます。
    一番の問題はリーダーでもなく、方法でもなく、この「楽譜」をどう作るか、もしくは見つけてくるか、なんだと思う。

    それにしてもラトルのやり手っぷりに衝撃。
    ただのフワフワした(髪の毛だけど)おじさんじゃないのね。

    音楽で食べてくのって大変だよねー。
    ほんと、趣味でやってくのが一番と思うわ。

  • ドラッカーの組織論からみたオーケストラ。
    21世紀の情報組織のモデルはオーケストラにあるのではないか?と。情報化組織としてのオーケストラを考察した本

    ドラッカー自身もウィーンでオーケストラに囲まれて育った。
    オーケストラはスペシャリストの集団である。
    もともとはバッハという万能の天才、巨人をハイドンがこえるためにアンサンブルを発明したことに端を発する。
    専門集団は天才をこえる。
    「ハイドンの小さなんオーケストラがいかなるオルガンの巨匠をこえるものを表現した」

    そのほか印象的だったのは「コミュニケーションとは知覚すること。無人の森で木が倒れた時に音は存在するか?否。誰も知覚しないから。」。

    オーケストラは優れた演奏家の集団である。しかしそれを共通の目的にもっていく優れた指揮者が必要だ。
    ドラッカーはそのことを以下のように書いている
    「情報化組織には具体的な行動に翻訳される明確で単純な強雨痛の目的が存在しなければならない。
    情報化組織における主役は専門家であって、トップ経営者でさえ仕事の仕方については口出しができない。指揮者はあらゆる楽器の演奏方法がわからなくても、その楽器の奏者の技術と知識をいかに活かすかをしっている。これこそあらゆる情報化組織のリーダーが身につけるべき能力である。」

    そして「演奏におけるビジョンの基となる情報が示されている楽譜」である。
    が楽譜には解釈が存在する。ゆえにリハーサルを通じて指揮者は共通の目的に向けてそれぞれの奏者の解釈を修正していく。

    非営利の機関は人と社会の変革を目的としている。

  • オーケストラはこれから必要とされる理想の組織。おもしろい観点での組織論の話。

  • なぜドラッカーとオーケストラを組み合わせたのか。
    オーケストラを語るのに、ドラッカーをわざわざ引き合いに出す必要はないのではないか。とくに4章なんて。
    数年前に売れた、ドラッカー本の後追いか? と思ったが最後まで読んで違うとわかった。著者がオーケストラの存在意義について考えて、その結論がドラッカーにあったのだ。

    そういう点では、むしろ1〜3章なんかは不要?
    でも、そこがないと売れなさそうだしね。
    内容としては、全編にわたり面白く読めた。
    オーケストラの社会的役割はとても参考になったし、プロオーケストラがどんな姿勢で音楽をやっているのか(楽譜の管理の話、やっぱり某指揮者が教えてくれた通りじゃん!)も、とても勉強になった。

  • 組織論、、、というには組織についてはあまり語られていない。ドラッカーをオーケストラとの関わりという観点で読んでみては?という提案にはいいだろうけど、同じ時間でドラッカーを読んでたらそれで十分な感触もある。オーケストラについて語りたいのかドラッカーについて語りたいのか、立ち位置が中途半端。

  • ウィーン生まれだったドラッカーが交響楽団に興味を持つのは考えてみれば当然だった。既に「現代の経営」からオケのことに触れている。「指揮者は全体の音とともに第2オーボエの音を聴く」。そして楽団のコンサルタントも行っていた。音楽の専門家が書いた著作だが、オケにおいていかに指揮者のリーダーシップが重要な位置づけにあるかを音楽家がいかに痛感しているかがよく分かる。プロ集団を中間管理なしに1人で率いる指揮者の大変さを思い知らされる。ドラッカーが引用したブルーノ・ワルターの全団員への手紙の言葉が味わい深い。「リハーサルではあの難しい節の演奏であなたから色々なことを学びました。ところで、あなたの方は今シーズン一緒に仕事をしてどのようなことを学びましたか」東京芸大学理科出身で日本フィルのマネジメントなどをしてこられた著者の特徴が生かされた珍しい貴重な本である。オケについて目が開かれる記事が多い。ドラッカーの「非営利組織の経営」の引用が印象に残る。「非営利の機関は人と社会の変革を目的としており、固有の使命のために存在する」これをしっかり共有化しているオケが素晴らしいオケなのだ。

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