朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作 (PHP新書)

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569843490

作品紹介・あらすじ

朝鮮戦争の裏の狙いは日本の共産化だった! 韓国侵攻と時を同じくして起こる日本国内の暴動。保守は赤化の危機をどう乗り越えたのか?

感想・レビュー・書評

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  • タイトルはIF物ではなく昭和22年から27年までの
    ソ連を中心とした活動を最新研究成果から列記した
    ≪極東コミンフォルム(国際共産主義運動司令塔)≫
    (1)22.9中国共産党・日本共産党・朝鮮労働党
    ※北海道国際連絡局(千島経由モスクワ連絡ルート)
    (2)22年、2.1ゼネスト(すわ、人民政府誕生?)
    ※日本共産党の敗戦革命工作(1.31GHQ停止命令)
    (1.6日共声明「民主人民政府樹立のために…」)
    (3)23.2南朝鮮労働党(共産党系)反米ゼネスト
    ※4.3済州島大暴動、10.19韓国第十四連隊反乱
    (4)23年、在日朝鮮人暴動(共産党と神戸・大阪)
    ※日本共産党指令71号(占領期初占領軍非常事態宣言)
    ≪革命戦士の養成≫
    (5)21.12シベリア抑留者(共産革命戦士)帰還
    ※ラストボロフ事件(志位委員長伯父他工作員36人)
    (6)29.4日本共産党中央党学校(馬列学校)
    ※33.3革命教育修了者1500人の活動家日本帰国
    (34~35六十年安保闘争における簡体字ゲバ文字)
    ≪ソ連「朝鮮戦争と台湾侵攻」≫
    (7)24.8許吉松(コミンフォルム工作員)
    ※100人規模北朝鮮スパイ網(在日朝鮮人連盟解散)
    (8)25.1スターリン日本共産党の平和革命論批判
    ※日本共産党への武力(暴力)革命指示
    ※金日成がスターリンへ韓国武力攻撃の許可を要望
    (9)南朝鮮への武器輸出反対デモ(韓国侵略準備)
    ※GHQ察知し25.6レッドパージ(野坂ら地下潜行)

    ・・・日本が日本でいられたのは偶然だな(´・ω・`)

  • インテリジェンスの観点から、朝鮮戦争/中国共産党による台湾侵略の裏側を理解できました。

    また、日本共産党とソ連/中国共産党との関係も分かり、これまで描かれてきた歴史とは違った観点で当時の時代背景を把握することができました。

    インテリジェンス研究に興味がある方は、是非読んでいただきたいです。

  • 物心ついたのは冷戦下、ソ連は中国と共に鉄のカーテンの向こう側で、日本はアメリカべったり。自民党の保守政治は長期にわたって続き、反対に知識人層や言論界では左派的な主張が主流という時代に私の価値観は出来上がった。平成が終わって、そうしたマッピングは完全に過去のものになってしまったと感じる。

    その中で本書を読んだ。終戦直後からサンフランシスコ講和、そして朝鮮戦争期の日本と極東の状況が、政治学的見地から押さえられている。この混乱期のことは何となくは把握していたつもりだが、内容があまりに生々しいことに強烈な印象を受けた。

    中国共産党が台湾に攻め入る寸前で朝鮮戦争が起こり、辛くも国民党が生き延びたこと。在日米軍が朝鮮に出払ってしまった後、日本国内ががら空きで、ソ連進攻の危険性があったこと。アメリカは、ソ連が攻めてきたときには、一時的に北海道を放棄する戦略を立てていたこと。実際にソ連はコミンテルンなどを通じて朝鮮・中国・日本にしきりに工作活動を行っていたこと。そうした工作活動が日本でも朝鮮でも成功しなかった背景に、共産主義革命の理念が予想に反して一般にまで広がらなかったことなどがあげられている。

    面白いのは大戦終戦直後にはアメリカが共産工作に対しては大甘で、情報もソ連側にダダ洩れだったという事実。中国共産党が劣勢を挽回し、国民党を台湾に追いやったのは、アメリカが国民党の支援をやめ、また日本軍が大陸に残してきた大量の重火器をソ連が中共に渡したからだという指摘も痛烈だった。アメリカは途中で敵のプロパガンダに気づき、慌ててレッド・パージを行うのである。この判断がもっと早かったら、あるいは遅かったら、今の地勢図は全く異なったものになったはずだ。

    新書ですっと読めるし、取り上げられている一つ一つは事実なのだろうが、緻密な学術的議論ではないので、あくまで一つの見方として受け止めた。なので星4つ。

    ところで、紆余曲折がありながらも結果的にこの時代にできた枠組みが現在も続いているのは、半世紀の間、とりあえず極東が平和だったということで、実に結構な話なのだが、その先行きが怪しくなってきているように感じる。

    半世紀にわたる天下泰平の世の中で日本人はすっかり平和ボケしてしまった。戦後74年。戦争は起こしてはいけないが、平和は唱えるだけでは維持もできない。そんなことを感じている今日この頃である。

  • 「〇〇労働組合の歴史は共産党との戦いの歴史だ」

    上記は某巨大企業の労働組合の副会長をやっていた元上司の言葉である。

    私は物心付いた時から共産主義アレルギーだったので日本の社会主義者も結局は同じと思っていたが、日本社会主義者たちは社会主義の経済政策によって労農の地位向上、労働環境の改善、賃金アップ等々を目的としているだけであって、やれ反国家権力や政権打倒、況してや「武力革命」などのイデオロギー闘争を目指してた訳ではないことを元上司から聞いた。

    しかし、共産主義者たちが労働組合へ潜り込み社会主義を騙って暴力革命に導き国家転覆などを組合の中で散々煽るので組合の社会主義者たちはこれを排除するのに必死だったそうだ。なので冒頭のセリフとなる。

    本書でも後半、日本社会党右派が左右の全体主義者たちと戦い日本の議会制民主主義をいかに守ろうとしたのかが描かれている。

    当時(戦前戦後共に)、社会問題に対して憂い労働者たちの立場を代弁して戦おうとした労組や社会主義政党の人たちが、共産主義者たちを抑えてくれてなかったら今頃日本は共産主義国になっていた可能性があることを本書では克明に書かれている。

    巨大企業の労働組合副会長だった元上司の言葉が裏付けられ、しかも非常に重い言葉であったことが本書を読んで理解出来た。

  • 2020-5-28 amazon

  • 日本侵攻の橋頭堡として朝鮮半島の共産化を目論むスターリンは金日成の南進を許可する反面、毛沢東の台湾侵攻に反対する。

  • 今回は1945年から1950年代の前半までの、おもに中ソの日本における活動とその対応について。

    期間としては短いものの様々な出来事が矢継ぎ早に起こした出来事を追っていくのでスリルがあって読み応えある。

    この時期の「プロパガンダ」をいまだに「正しい」と考えている人がそれなりにいるのだけど、そうしたプロパガンダを誰がどのように広め、何を目的としていて、過去どのように政府と国民が抵抗してきたのか、を数時間でまとめて読めてしまうって最高。

  • 2020/09/20U図書館

  • 江崎先生の本にはいつもゾッとさせられる。

    敗戦革命をギリギリかわした日本が、朝鮮戦争前後でこんなやばいところにあったのか。
    シナが先に台湾を落としていたらどうなったか。
    戦争のソ連が実際に北海道を取りに来ていたらどうなってたか。

    そうならなかった因子の一つは、米国の日本占領方針転換ではあったけども、敗戦後も、日本を、台湾を守るという、歴とした日本人がちゃんといたから。

    んで、ソ連も、シナも、日本が怖くてしょうがなかった。
    だから潰しに来たんだが、だからこそ最後に手が出せなかった。

    そこで、当時の社会党が、共産革命から日本を守った大きなファクターであったことは驚き。

    今の、みずほ党ではない。これは腐った残り香。
    そういや、民社党ってあったよな。

    数十年かけて、日本の気骨は骨抜きにされた。

    果たしてどうなる。

  • 戦後の中ソと共産党がいかにして日本を赤化しようとしていたかがよく分かった。
    共産党マジでヤバイ(語彙力)
    それで、発足当時の社会党が今の社民党とは比べ物にならないくらいマトモでビックリした。

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著者プロフィール

江崎道朗(えざき みちお)
評論家・情報史学研究家、麗澤大学客員教授。1962(昭和37)年東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフを務めたのち、現職。安全保障、インテリジェンス、近現代史などに幅広い知見を有する。2019年第20回正論新風賞受賞。オンラインサロン「江崎塾」主宰。
著書に、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』(以上PHP新書)、『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ、第1回アパ日本再興大賞受賞)、編訳書に『米国共産党調書』(育鵬社)など多数。

「2023年 『ルーズヴェルト政権の米国を蝕んだソ連のスパイ工作-ー「米国共産党調書」を読み解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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