世界と日本経済大予測2023-24

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  • PHP研究所
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784569853574

作品紹介・あらすじ

的中率90%以上!人気経済評論ユーチューバーが分析・解説する世界情勢&日本経済のゆくえ。

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず切れ味鋭い。日本経済は、『退職予備軍を抱えたブラック企業』(^_^;)

  • 大前研一さんの「日本の論点」的な本。Audibleで聴いた「2022-23年版」が良かったので引き続き「2023-24年版」も読んだ。

    本書で深掘りされているキーワードはどれも自分でも追っているはずなのに、渡邉哲也さんの主張が鮮やか過ぎて、いったい自分は何を見てきたんだ?と反省するとともに驚かされる。この渡邉哲也さんとはどんな人なのか?

    調べてみると、保守系「チャンネル桜」で活躍されている人らしい。書籍をも多い。なるほど、三橋貴明さん、上念司さん、林千勝さんなどの論客に並ぶ人のようだ。このカテゴリーの人たちは弁護士のような雄弁さと芸人のようなキャッチーさをかけ合わせたタレントと認識してる。立ち位置を明確にして、ブラさず、弁論で立ち回る。保守(反グローバリズムなど)、財政出動(MMTなど)、陰謀論(反ユダヤなど)を期待する人たちにとってのアイドル的存在と言える。でも正直、僕はこういう芸風の方々からは距離を取ることにしてる。ダニング・クルーガー効果が働いて「自分だけが知っている(がみんなはまだ気づいていない)という自己重要感」の中毒性があるからだ。実際はダニング・クルーガー効果が示すように「自己重要感(全能感)」は続かない。物事はもっと複雑なのだ。

    だから渡邉哲也さんの主張に目からウロコではあるが、この「世界と日本経済大予測」シリーズくらいに留めておこう。

  •  役に立つ意見もあったけど、少し見方が偏っている。安倍元首相が素晴らしくて、日本の産業は凄いという意見を持つのはいいが、それによって予測するのはどうかな?

  • 渡邊氏の本もだいぶお世話になってきたようで記録を見ると、これが21冊目の本でした。この種類の本は読んですぐにレビューを書くのが重要です、今年(2023)初めに読み終えていたのですが、レビューを書くのが新年度になってしまいました。

    今年は3月にはマスクは自主判断、5月にはコロナがやっと5類(通常のインフルエンザ扱い)となり、通常の生活ができる環境が整ってきました。今までは「コロナだから」という理由で多くの不具合(企業や店の売上など)が仕方ないね、とされてきましたが、これから数年でコロナ下で何に取り組んでいたかの差が明確に出てくる、ある意味では興味深い時期に差し掛かってきます。

    それをこれからリアルで見ることのできる、人生においても数少ない時期を体験できるのはある意味ワクワクします。私も二日前に還暦リーチの誕生日を迎え、次のステップに向けて最終調整をする時期となって参りました。日本経済の動向・予測はそれに大きな影響を及ぼすことになると思います。この本を参考にして悔いのない次のステップの準備をしたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・安倍元首相が外交戦略で掲げた「自由で開かれたインド太平洋」は海洋国家・日本の歩むべき道を示したもので、自由・民主主義・方の支配・市場経済という基本的価値を持つ国々との関係を強化しようという「自由と繁栄の孤」から発展したもの、これが安倍氏の残した最大の功績である(p3)自分の権利を守るために相手の権利を守る、相手の権利を守るのは自分の権利を守るため、これがリベラルの自由でありお互いの権利が対等になる。これはfreedomとは異なる、自由というものを見直し基本的人権と普遍的価値感を改めて日本人に示し、また世界に表明した(p5)

    ・欧州各国はロシアの飛び地(カリーニングランド:第二次世界大戦終結までドイツ領、それ以降はロシア)から親ロシア派を追い出したがっていたが、その念願が実現しそうである、ウクライナ侵攻後、これまでロシアの支援を受けていた自治州、自治地域、飛び地領からロシア軍が撤退せざるを得ない状況になり、軍事空白地帯が生まれている。EUがこの戦争を簡単に終わらせたくない理由がある(p18)

    ・PMC(民間軍事会社)や傭兵をウクライナは紛争地域に投入してきたので、初期の段階でロシアとウクライナには兵力差があり、キーウはすぐに陥落すると思われていたが、首都陥落を防いだ(p22)ロシアの大きな失敗は「黒海の制海権」を握れなかったこと、そのためにはドナウ川河口に浮かぶ蛇島(ズミイヌイ島)を抑えなければならないが、島を占領したものの、その後、旗艦モスクワを失い(沈没)制海権を失った、ボスポラス海峡を封鎖されているので、ロシアは追加海上勢力を送り込めない(p23)2月24日侵攻当日に、ウクライナはトルコに、ボスポラス・ダーダネス海峡の、ロシア船の通行禁止を依頼した(p24)黒海とバルト海の不凍港を事実上失って、ロシアは外洋に出られなくなった(p30)

    ・2015年に中国が作り上げたシステム(CIPS)加盟の銀行の8割はSWIFTとも提携している、したがってCIPSを介した制裁対象の金融機関は直ちに特定され、米欧日との金融機関とは取引できない。するとCIPSは人民元専門の金融機関網となるので、ロシアは自国のSPFSを使うことになるが、米欧日の金融機関に相手にされないのは明らかである。SWIFTからの排除はロシア金融機関にとっては致命傷となる(p36)

    ・今回の経済制裁下でロシアは原油をはじめ資源の決済はルーブルに限定した、ルーブルとリンクした。ロシア産の天然ガス・石油が通貨としてのルーブルの裏付けとなった、このような資源頼みで通貨を保証するのであれば、資源価格は低下する、またはロシア産の原油やガスに対する依存度が低くなるにつれてルーブルの価値は必然的に失われていく。ロシア経済が破綻せずにやってこれたのは「陸つながり」で長い国境のどこかから海外の製品が並行輸入の形で入ってくる、裏ルートで資源を売りながらなんとか外貨を手に入れているから(p41)

    ・米国が利上げをする理由は、国民の資産減少を防ぐため、例えばCPI(消費者物価指数)が10%上昇したとする、給料を現金のまま保有すると金利が0%に近い日本では毎年10%ずつ手持ち資金の価値が目減りする、これまでの金融緩和で増やしたお金を回収するには、利上げを行いそれにより、財・サービスの量と通貨の量を均衡していく作業をしなければならない、これが米国の利上げとテーパリングの原理である(p46)

    ・円は2022年10/20には1ドル=150円にまで値下がりし、32年ぶりの円安水準となった、だが米国で利上げが止まる、あるいは利下げが始まることがあれば、日本円は再び安全資産として信用を取り戻すだろう(p51)

    ・SOSsは環境保護のために豊かさを犠牲にするものに過ぎず、持続可能な開発どころか「緩やかな自殺行為」でしかないのが事実である、SDGsの美名の下で私服を肥やす業界や活動家がいることもまた事実である(p62)

    ・2022年10月、米国が半導体技術の対中国禁輸を発表した、米国の技術を使って第三国で製造された半導体も規制対象となる、2023年4月以降、外国メーカが中国で組み立てすらできなくなる可能性は高く、この影響はほぼ全産業分野に及び、AIを多用する自動運転技術を用いたEVやスマホなどの生産に大きな影響を与える(p91)

    ・中国にとって日米豪印のクアッドが脅威になる、インド洋と太平洋において、北を日本の自衛隊と米軍、南をインドとオーストラリアに封鎖されると、上下で蓋を閉じられることになり、中国は外へ出れない、これは石油の流れが止まることを意味する、中国は平時で備蓄30日しかない、戦時では2週間は持たないと言われている(p94)

    ・2020年サウジアラビアのリヤドで行われたリモートG20サミットにおいて、中国は国際枠組みに従うことを約束させられた、国対国の借金はパリクラブ、国対銀行・国際金融機関はロンドンクラブが一種の破産裁判所になっており、その枠組みに中国も入ることになった。これで「債務の罠=返済不能となったら咀嚼した港の運営権を奪う」はなくなった(p97)

    ・自動車産業を見ると欧米ではEV一色だが、トヨタは内燃機関から完全にEVへシフトすることはない、内燃機関という日本の持つ最大の特長を自ら捨てる必要ないから、また水素エンジンも二本しか作れない技術である。燃料電池は発電したモータを動かし、水素エンジンは水素を直接燃やす、どちらも水素燃料から考える発想では共通している。トヨタとしては、これからEVだけでなく、内燃機、ガソリン、ハイブリッド全てやる。その上で最適解の事業に集中するという動きに見えるが、それでもEVは可能性は薄い、電力がない。(p171)

    2023年1月20日読了
    2023年4月2日作成

  • 地政学的観点から予想されており興味深かった。一方で、広く当てはまるような言い方や表現を使っているところが残念だった。(「私の占いはよく当たるんです。仕事において重大なことが今年中にあるでしょう。」と言っている占い師みたい)

  • ●EUが狙うカリーニングラード。戦闘長期化でロシアの弱体化を。
    ●核を使わなければプーチンのメンツが潰れる。
    ●SWIFTからの締め出しに対し、中国を利用した決済で対抗した。
    ●物価上昇。リモートワークが行われたが、実際どれほど仕事をしていたかはわからない。収入が保障されるが経済活動は止まっていたので通貨量が増えていった。
    ●雇用の最大化は、労働者の「働きたい」と言う意欲が前提にある。職はあっても、働かなくても良いと言う人が増えれば、人手不足はいつまでも改善されない。
    ●半導体不足。これからは世界的に余る大丈夫。
    ● SDGsは環境保護のために豊かさを犠牲にするものに過ぎず、持続可能な開発どころか「緩やかな自殺行為」でしかないと言う事実。また私服を肥やす業界や活動家がいるのも事実。
    ●日本としては、中国は台湾も領土であると主張し、日本は台湾を放棄した。中国の言い分はわかった、その言い分を尊重しようと言うものに過ぎない。

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著者プロフィール

1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。海外の経済情勢に精通すると同時に内外の経済・政治状況のリサーチと解析に定評があり、2009年に出版した「本当にヤバイ!欧州経済」(彩図社)で欧州危機を警告してベストセラーになる。
近著「山口組分裂と国際金融」「パナマ文書」(徳間書店)「トランプ! ~世界が変わる日本が動く」(ビジネス社)「貧者の一票」(扶桑社)など。

「2017年 『平和ボケ お花畑を論破するリアリストの思考法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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