お父さんはユーチューバー

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 626
感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575242515

作品紹介・あらすじ

宮古島のゲストハウス「ゆいまーる」のひとり娘、小学五年生の海香は絵を描くことが大好き。将来は東京の美術大学に入りたいと思っていた。そんなある日、父親の勇吾が宣言した。「俺はユーチューバーになる!」 宮古島の自然とゲストハウスに集う人々を通じて描く、家族小説。

感想・レビュー・書評

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  • 沖縄県宮古島でゲストハウスを営む家族とその仲間の物語。タイトルから、コメディータッチの軽快な話かと思いきや、読み進めるうちに家族や仲間とのつながりが中心になっていることがわかった。もともと祖父がやっていた民宿を引き継いで営む勇吾は、素晴らしい海を臨むゲストハウスで毎晩宿泊客の人とわいわいする生活を送りつつ、ユーチューバーに挑戦。かつて勇吾は東京に出ており、東京の過去と宮古島の現在が交互に綴られていく。一見ふざけてばかりの勇吾だが、東京の過去とともに、ひとつひとつの行動の理由やなぜユーチューバーになったのか、そして、宮古島の仲間のつながりも明らかに。人とのつながりの尊さが実感できる一冊。

  • 宮古島の〈ゲストハウス ゆいまーる〉で暮らす、海香。
    父親の勇吾はいつも、思いつきに飛びついては、失敗を繰り返していて……。

    侮っていたYouTubeに玉砕してから、試行錯誤を繰り返して成長していく、勇吾たち。
    コミカルなやり取りの中に、人々のあたたかさがある。

    家族の物語で、最後はじーんときた。

  • サラリーマンの私にとって、ユーチューバーという仕事が
    あまりにも異質な存在だったので、興味を持ち手に取った。

    ・毎日の撮影・アップロードにこまめな編集
    ・自分らしさを出すための創意工夫、
    ・社会的影響を考慮したコンテンツ、
    ・炎上リスク
    などなど、youtuberを職業として捉えると、その自由なイメージとは
    かけ離れていて、地道な努力が求められることが分かった。

    とまあ、お仕事小説かと思いきや、実際は心温まる家族の物語だった。
    ちょっと考えが浅いけれども、行動力があり実直な父親「勇吾」は憎めない。
    いろんな人たちの懐に入って、信頼を得てきたのだろう。
    だから彼のもとには、いろいろな人が寄ってくるわけである。
    まるで穏やかで色彩豊かな、宮古の海みたいな存在である。

    ただし、海には明るく綺麗な側面(光)と、底知れず深い側面(影)がある。
    正樹をはじめ、どの登場人物も「光と影」を抱えながらも
    笑顔で生きている様子が描かれている。

    素晴らしい大人たちに囲まれて、海香が精神的に強くなり、
    感受性豊かな女性に育っていく様子がとても分かる。
    ただし、小学校5年生にして、自分の出自の秘密を聞かされて
    落ち着いていられるというのは驚きである。

  • 「ドタバタコメディか。
    まあ、たまにはいいかな。」
    と思ったけど、
    予想外に心温まるお話。

    読んだ良かった。
    少し優しい心になった気がします。

    沖縄行きたい。

    P239の14行目
    「虎太郎」が「虎大郎」になってる。
    どうしたら、こんなことに?
    電子書籍もそうなのかしら??

  • とても良い作品でした。

    父親 勇吾さんがこんなにも人との繋がりを大切にする人だと出だしからは想像もつきませんでした。ユーチューバーをするほんとうの理由に勇吾さんの海香ちゃんに対する思いがとても伝わりました。
    空港で勇吾が本音を叫んだ場面は、思わず目頭が熱くなりました。

  • YouTubeを見る人と本を読む人が
    いい塩梅に重ならないだろうから
    これくらいのボリュームがちょうどいいと思いました。
    内容も知識もストーリーもちょうどいい

  • 「ユーチューバー」という語から感じるノリの軽さを感じさせる父親と娘の話。
    破茶滅茶なストーリーの後には感動の物語が。
    落差が大きい分、感動も大きかった。
    だれにでもおすすめできる本です。

  • 「こういう話なんだろうな」という第一予想は外れ、「こういう流れになるのか」という第二予想も外れ、「あぁ、そうか、そっちか」という第三予想が当たった。当たったのだけど、その当たってからの感情大崩壊たるや!
    「ユーチューバー」と「親子の愛情」というあまり親和性がなくみえるテーマが宮古島で一つの太い糸となる。
    ユーチューバーに対してあまりポジティブなイメージを持ってなかったから最初ちょっと引き気味に読んでたんだけどね。いや、そうきたか!と。

    方言小説好きにはたまらない宮古島の優しい言葉たち、その響き、温かみ。
    広い海、優しい風、そこにいる人の体温、そんなすべてが感じられる心にしみる一冊。

  • さらさら読みやすかった
    宮古島に行きたくなったし
    こんな綺麗な場所で子供時代送ってみたかった
    嫌な人がひとりもでてこない

  • このタイトルは、単行本で出版された時から知ってました。
    知ってましたが、タイトルの感じが苦手で、それも父親と娘の話っていうのも苦手で、苦手が重なった本のために読もうかなと迷うこともしませんでした。
    今回文庫本になったということで、作者さんのnoteを読むようになっていたこともあって買って読むことにしました。
    この本を読み始める、ちょうどその時、家族みんなでコロナになってしまいました。
    なのでこの本の続きを読みはじめたのは、熱が下がって、体が少しマシになってからになりました。読みやすい文章で、すらすら読めました。
    小学生の読書感想文にもいいのでは、と思います。

    海の絵を描くのが好きな海香は、小学生。海の近くのゲストハウスを父親の代から受け継いで経営している父親と、彼を慕う一休、元気、と暮らしています。
    そこに父の友人の虎太郎も加わり、毎日お客さんも入れての大宴会。
    海香は大学は美大に行くことを目指しています。
    しかし、いつも思い付きで商売を始める父親の勇吾には、そんなお金の蓄えができそうにありません。ただでさえぎりぎりの経営のゲストハウスで、将来の心配が膨らむばかりです。そんなある日、海香は学校で話題のユーチューバーの話を家でします。それを聞いた勇吾は自分もユーチューバーになると言い出すのですが、、、

    現在で進む勇吾のはちゃめちゃなユーチューバーへの道のりと、勇吾の目線で語られる過去の東京での日々のことが交互に描かれていきます。

    正直、私は胸に響くものはありませんでした。
    お話の流れは読みやすいし、海香の振り回され方が気の毒すぎるのと、もっと他の方法もあっただろうさ、、、という気持ちと、、、
    ちょっと児童書っぽいなと感じる読み心地でした。
    そしてやっぱり私は父親と娘のお話は苦手だな、、、

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著者プロフィール

1979年奈良県生まれ。2010年、『アゲイン』(文庫時『もういっぺん。』に改題)で第5回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞しデビュー。放送作家として『ビーバップ!ハイヒール』などを担当。他の著書に『22年目の告白-私が殺人犯です-』『廃校先生』『シンマイ!』などがある。

「2021年 『ゲーム部はじめました。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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