夜行秘密

  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575244212

作品紹介・あらすじ

――それは、彼女と僕だけの秘密です。

『明け方の若者たち』著者渾身の第二作は、世界に隠された恋と後悔の物語。


『明け方の若者たち』で鮮烈なデビューを飾ったカツセマサヒコ、
待望の第二作は川谷絵音率いるバンド「indigo la End」と作りあげた、激情の恋愛譚。

最新アルバム『夜行秘密』の収録楽曲14曲をベースに、著者独自の解釈のもと、唯一の物語を紡ぐ。

迷い、悩み、嫉妬し、決断をしては、傷つき合う。
恋の輝きと世界に隠された理不尽を描いた、鮮烈なラブストーリー。


▼著者コメント
indigo la Endのアルバム『夜行秘密』の全14曲を、一冊の小説に書き下ろしました。前作『明け方の若者たち』から一年。自分ひとりでは決してたどり着けなかった物語の世界に、indigo la Endが連れていってくれました。この物語が、誰かの特別になることを願っています。


▼Indigo la End 川谷絵音コメント
indigo la Endの音楽は小説的だと今まで何度も言われたことがありましたが、ようやく夜行秘密という作品で実現しました。
カツセさんが書く夜行秘密はどんなものになるのか、僕も楽しみです。


***
小説『夜行秘密』 

目次
1.夜行
2.左恋
3.夜風とハヤブサ
4.フラれてみたんだよ
5.夜漁り
6.固まって喜んで
7.晩生
8.さざなみ様
9.華にブルー
10.チューリップ
11.夜光虫
12.不思議なまんま
13.たまゆら
14.夜の恋は

感想・レビュー・書評

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  • 読み始めた印象と結末が予想外でいい意味で裏切られました。
    川谷絵音さん率いるバンドindigo la Endの【夜行秘密】を聴きながら読みました。うまいなぁ〜。
    私自身大切な友達を亡くしたばかりで後半は重なる部分もあり泣けました。〜しなければ....偶然なのか必然なのかちょっとした選択の違いで人生が大きく変わってしまうのかもしれない。いろいろ考えさせられる小説でした。

  • 『明け方の若者たち』を読んで、カツセさんの言葉は惹かれるなぁと思い読んだ。帯の『これは出会いを「運命」にしたくて、でも「後悔」にしかできなかった人たちの物語だ。読み終わったいまでも、彼らのいた分岐路で立ち尽くしているわたしがいる。』という町田そのこさんのコメントにも惹かれた。


    重かった。最後まで衝撃だった。途中でなんど「え!」と言ったかわからない。笑
    繋がりある人のそれぞれの視点から物語が進むが、それぞれ思いがあって、ハッとさせられる言葉もたくさんあった。カツセさんの文章や言葉選び、情景描写が好きだなと改めて思った。
    バンドの方は知らなかったが、これから聴いてみようと思う。




    ★本来、罪人に与える罰というものには、罪を省みさせて、更生させる側面が存在しているはずです。しかし、現代社会においては、一度でも世間が「悪」とみなした対象は、余程のことがない限り、ずっと「悪」として捉え続けるのです。

    ★それっぽいことを、それっぽい説得力を持って述べる。人は話し方が9割。人は見た目が9割。第一印象が9割。新書のタイトルにありそうな情報本気で信じているようなコメンテーターたちは残りの1割に全く興味を示さない。

    ★権利を主張するのはいい。この人たちが生きやすい世の中になればいいと思う。でもナツメは、その活動がマイノリティ全員の声だと思われるのだけは違和感があった。

    ★いつも意識高く、弱者の権利だとか、人権の尊重だとか言っていた人たちが、被害者の自己責任論を語りだす。時代の最先端みたいな顔しておいて、結局誰も救うつもりがない。立ち上がれとか、ニコニコすんのこれとか言っておいて、瀕死の人間を戦場に送り思うとしているのは、あんたじゃないか。

    ★鮮度を失うと、醜いところばかりが目についていく。それをきれいだと思えなくなった2人は、枯れ落ちた花弁のように、二度と元には戻れない。

    ★人は、変わる。どれだけ固い信念を持とうが、どれだけ高い目標を掲げようが、人は時の流れに飲まれて、やがてたやすくその決断を手放す。

    ★「いや、誰もが人生で1番好きな人と結婚できるわけじゃないじゃないすか」

  • 視点がどんどん変わっていくのですが、話は繋がっているという面白い体験ができた作品でした!
    でも話は重くて重くて。DV関係は読むのがつらい!



  • 想像して読み始めた内容と
    結末が全く違っていて予想外で驚きました。

    一瞬の出逢いが接点になり、
    誰かの人生の核になる。
    そんな存在に出会うこと、
    出会ったことで人生が変わることを
    教えてくれて小説でした。
    勿論、良いことも悪いことも含めて。

    小さな接点が生んだ、切ない夜の物語。

  • 思ってたよりヘビーだった

    救えるわけもないのに
    自分を救うために
    救いたいと思う

    そんな共依存

    こわい

  • 明け方の若者たちも好きで、indigo la endも好きだったので読むしかないと思って購入した。
    最後の最後忘れかけていた頃に帯に書かれていたあの言葉が出てきた時鳥肌が立った。人間同士の醜さと後悔が如実に描かれていて、自分自身の人生の後悔をも思い出してしまう作品だった。
    一晩で読み切ってしまうほど面白かった。

  • indigo la Endのアルバム「夜行秘密」をベースに作者の新たな解釈で構成された恋愛の群像劇です。

    脚本家としてブレイクし、その後幅広く広告を制作する宮部あきらを中心に様々な人物の視点から、あらゆる心の揺れ動きを垣間見ることができます。

    思った以上にエグい展開で、気持ちとしては辛くなるばかりでした。
    「あの時、これを選択していたら・・・」
    「あの時、別の選択をすれば・・」
    などあらゆる後悔が渦巻いていて、なんでこうなってしまったんだろうと思うばかりでした。

    様々な登場人物が、この人と一緒に生きたいという願望があり、最初は状況は色々あれど、幸せな生活を送っていきます。
    しかし、段々と歯車が狂い、多くの人物が「一人」になっていきます。

    「一人」になったからこそ実感してくる孤独感、幸せだったからこそ芽生えてくる空虚感が、後半からは顕著に現れてくるので、色んな意味でお腹いっぱいでした。

    人間って弱い生き物なんだとじわじわと感じてしまいました。幸せな時は、有頂天になって感じなかったことが、何かを失ったことで感じるというのは、なんとも残酷な話であり、そういった意味では共感するところもありました。

    なかなか相手を理解するのは難しいですし、相手からも自分の気持ちを理解することは難しいことです。それを憶測で心情を語る無関係な人々には憤りを感じましたし、それは現代にも通じるものがあって、安易に語ってはいけないんだと感じました。

    それらが蓄積されて発生した後半の展開が・・・言葉にならないくらい唖然としてしまいました。

    裏切りや後悔が続く一方で、人の温もりって良いなぁとも感じました。「幸せ」の定義は人それぞれですが、相手がいたことで救われることもあるので、心境としては複雑だなと思ってしまいました。

    ちなみにこの作品を読んだ後にアルバムの歌詞を読みましたが、近からず遠からずで、また違った世界観で楽しめました。

  • indigo la Endの同名アルバムから著者による新たな解釈で書き下ろされた小説。元の楽曲の歌詞に忠実な世界観というわけでもないので「音楽の小説化」という逆YOASOBIみたいな表現は当てはまらないと思う。ジャンル的には群像劇サスペンス。様々な登場人物たちが薄く関わり合いながら思いもよらぬ結末へと進んでいく。加えてデビュー作『明け方の若者たち』にも通じる、どこか冷めた視点の文体。登場人物の誰にも感情移入させない構成が良い。

  • 夜行秘密
    カツセマサヒコ著

    〜あらすじ〜

    ――それは、彼女と僕だけの秘密です。

    『明け方の若者たち』著者渾身の第二作は、世界に隠された恋と後悔の物語。

    『明け方の若者たち』で鮮烈なデビューを飾ったカツセマサヒコ、
    待望の第二作は川谷絵音率いるバンド「indigo la End」と作りあげた、激情の恋愛譚。

    最新アルバム『夜行秘密』の収録楽曲14曲をベースに、著者独自の解釈のもと、唯一の物語を紡ぐ。

    迷い、悩み、嫉妬し、決断をしては、傷つき合う。
    恋の輝きと世界に隠された理不尽を描いた、鮮烈なラブストーリー。

    〜感想〜

    カツセさんの第二作。
    どういう作品、どういうジャンルでくるのかわからなくて、
    勝手に今回もエモい作品なのかなって思って楽しみにしてたけど、いい意味で裏切られました。
     

    音楽、歌詞から物語を考えるなんて凄いなって感想。
    読む前と読み終わった後で音楽を聴くと曲の印象が全然違いました。
    歌詞の内容と、本の内容は全く一緒ってわけではないけど歌詞の雰囲気とかはうまく合ってました。

    この本を読んで何度鳥肌が立ちました。
    話と話が上手く絡んでいく。
    想像してた以上に話、そしてメンタルの振れ幅が大きかったです。

    この本のメインテーマは「後悔」
    裏テーマは「依存」かなと。

    終わった恋でもどこかでその人を想ってる部分があるからこそ忘れられない。
    またどこかで会えるかもしれない。
    その望みを込めて…。

    賛否分かれてるみたいだけど、自分はこれはこれでありかなと。
    明け方の若者たちの方が好きですけど、明け方の若者たち以上にページをめくるのが楽しかったです。

    あと、ベッキー問題で川谷絵音さんあまり好きじゃなかったけど、この本読んでこの人の言葉遊びのセンスが素敵な方なんだなって思いました。

  • 川谷絵音率いるバンドindigo la Endのアルバム『夜行秘密』から創り出した激情の恋愛譚(帯より)

    ただの恋愛譚ではなくあえて『激情の』と付けているのが頷けるほど心が揺さぶられる小説でした。

    『夜行秘密』は未聴のため、今回アルバムを聴いてから小説を読みました。曲の世界観そのままを描き出したように思える章や逆にこんな解釈もあるのかと驚かされる章もあり、曲を聴いては読み、読んでは聴きを繰り返しました。そしてなにより各章が独立した短編ではなく1つの長編として見事にリンクしている事がすごかった。

    ただ中盤からの展開が自分にはヘビーすぎて辛い場面もあったため、少し評価は抑え気味とさせて頂きました。
    (お時間のある方は是非MVを見る事もオススメです。)

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著者プロフィール

1986年東京生まれ、大学を卒業後、2009年より一般企業にて勤務。趣味で書いていたブログをきっかけに編集プロダクションに転職し、2017年4月に独立。ウェブライター、編集として活動中。本書がデビュー作となる。

「2020年 『明け方の若者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

カツセ・マサヒコの作品

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