- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575317145
作品紹介・あらすじ
この島で流れた涙と、この先も流れる歌のために。
「島唄」の三十年、沖縄を生きる十人との対話。
「ヤマトの人間がこの曲を発表していいのだろうか?」
音楽家・宮沢和史が沖縄戦の生存者から聞いた話に衝撃を受け、迷いながらも制作・発表した「島唄」。空前のヒットとなったこの歌は、沖縄の景色と宮沢自身の運命を大きく変えていくことになった。
それから30年、「自分はどんな顔をしてこの歌を歌い、沖縄を語っているのだろう」--その葛藤を抱えながらも沖縄の島々のことを真摯に学び関わり続けた歳月と、音楽家として計り知れない影響を受けたその歴史や文化への思いを今こそ綴る。
また、「自分の目からは見えない沖縄の姿について話を聞き、沖縄のこれまでとこれからを考えたい」と、20代〜90代まで、それぞれの場所で「沖縄」を生きる10人との対談を収録。
日本“復帰”から50年という節目に「沖縄を語る、この先の言葉」を探す、宮沢と沖縄の対話の書。
[エッセイ]
沖縄の「水脈」
「沖縄を歌う言葉」と出会った日
沖縄を知ろうともしなかった僕たちへ
「あんたの音楽こそ帝国主義じゃないのか」
歌に導かれて人と出会ってきた
沖縄民謡への恩返しをしたい
「自分のいなくなった後の世界」を信じて ほか
[対談] ※収録順
具志堅用高(元ボクシング世界王者)
山城知佳子(現代美術家)
大工哲弘(八重山民謡歌手)
又吉直樹(お笑い芸人、作家)
中江裕司(映画監督)
野田隆司(桜坂劇場プロデューサー)
島袋淑子(元ひめゆり学徒隊員・ひめゆり平和祈念資料館前館長)
普天間朝佳(ひめゆり平和祈念資料館館長)
平田大一(演出家)
西由良(「あなたの沖縄 コラムプロジェクト」主宰)
ブックデザイン:加藤賢策・守谷めぐみ(LABORATORIES)
表紙写真:野村恵子
感想・レビュー・書評
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大ヒットした「島唄」
私はこの歌があまり好きではなかったのだが、著者のこともそれほど深く知らなかった。ヒット曲、そして沖縄とどう向き合って、時には距離を置き、何を考えてきたのかがようやく理解できた気がする。対談から多様な人間関係を築いてこられたことも慮られる。 -
東京と沖縄にルーツを持ち,普段は意識することもなく「東京アイデンティティ」で生活しているのに,何かのきっかけで強烈に「ルキオススピリット」が呼び覚まされる事を子供の頃から自覚していて,それは年々強くなるのだ.
そんな現在の自分にとってこの本は嬉しくもあり,半分ルーツの自分にもとても出来ない丁寧な仕事で,しかもそれを書いたのがあの「島唄」の宮沢和史だったりして,中々に複雑な気持ちなのだ.
確かに「島唄」は発表当時,沖縄にルーツを持つ人の心をいろんな意味でいろんな方向から激しく揺さぶった.半分しかルーツのない僕は,何となくこそばゆい感じと,良くわからない違和感と,嫉妬にも似た羨望を感じ,100%沖縄ルーツの父がむしろ無批判に大歓迎で毎日のように口ずさんでいた逆転現象を今でも思い出してしまう.
「沖縄の人は良くも悪くも何でも受け入れ,自分のものとして消化していく.良くも悪くも,それが沖縄を作って来た.沖縄ではナイチャー文化もアメリカー文化も,全部スタイルになっていく.怒りや怨みも全部,全て含めて飲み込んでいくのが沖縄の文化」と言う父の言葉を,今改めて噛み締めながら読んだ一冊は,ずーっとジワリと涙腺が潤いっぱなしの幸せな時間だった.
この本をまとめてくれてありがとう,今は感謝の気持ちでいっぱいです. -
沖縄、もしこの先行くことがあったら「ひめゆり平和記念資料館」を訪れたい。特に第四展示室、生きたくても生きられなかった生があったこと。
その犠牲の上に今の私たちの生があることを思い知らなければいけない、それは日本人の責務だと思う。 -
素晴らしく中身の濃い内容。読み応えあった。宮沢氏のように沖縄と関わりを持ちたいなと思わせる。
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初めての沖縄の帰りに那覇空港でみつけた本。
島唄は知ってたけど、その他は全く知らない話で考えさせられてばかりでした。
沖縄の人にとっての一番の幸せな場所であってほしいと願うばかりです。 -
今年は沖縄の日本復帰から50年。
島唄のリリースから30年。
春に発売されてから何度も何度も読んだ。
タイトルの通り、沖縄のことを様々な視点から聞かせてもらい、誠実な向き合いかたに、深く考えさせてもらった。
この本を読むと沖縄と一区切りにしてはいけないんだと思うけど、地球の裏側にまである沖縄の魂、文化や一体感が、私の育ってきた環境にはないので羨ましいと思いました。
今年は読書の時間があまり取れなかったけれど、この本に出会えて良かったと思う大切な一冊になりました。 -
初めて、著者の人となりを知った。単なる、ミュージシャンと思っていたら、大違いだった。仕事の幅も広いし、活躍の場も多い。粘り強くて、謙虚で、繊細で、とても素敵な人だ。
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沖縄文化に触れ、沖縄を愛し「島唄」を作った。山梨県出身ながら沖縄に嵌りこんだ音楽家の沖縄を巡る思索。
10の対談から沖縄文化を探る。実に中身の濃い本。
あの「ちむどんどん」の和彦(筆者のご子息が演じた)のモデルとなっているように思える。ドラマでは描ききれてなかった人物像が本書で見えてきた。