- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575317923
作品紹介・あらすじ
人生はあっという間と言うけれど、走馬灯に映し出される色とりどりの絵のごとく、たくさんの喜怒哀楽があり、これまで生きていきた年月は、実は長いのだと、このエッセイは教えてくれる。70篇どれも「よくぞ言ってくれた!」と思わず膝を打つこと必至! 垣谷節が炸裂する著者初のエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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垣谷美雨さんの小説は読み易いうえに共感できるところもあって好きである。
エッセイは初になるが、コロナ禍でのこともあって振り返ってみるとこんなことあったよなぁと思いだす。
同年代だからこそ、そうそうと頷きながら楽しめた。
リアリティというなかで、読者は自分の都合のいいように解釈して読んでいる。リアリティがないと決めつけるのは、読者が知っていることや想像できる範囲を超えているということだ。そして、自分の考えと一致するところを見つけては共感し、その部分が強く印象に残る。その証拠に、同じ書物を読んでも若いときと中年期では感じることが大きく異なることがある。
これはまるで私のこと?なんて思ってしまった。
服はもう買いません
家具はもう買いません
土産は買わない
これもすごくわかるのだが、なかなか思いきれない。
でも必要以上に家具は増やしたくはない。
自分が価値があると思うものにお金を使う
これはわかるのだが、電子書籍はまだ躊躇している。
年齢と共に本を手当たり次第、ジャンルを問わず大量に読むようになった。数年前から人生の残り時間が少なくなっていることを意識し、知識欲が抑えきれなくなった。少しでも興味を持つと、今すぐ読みたい気持ちが以前より強くなったのである。
死ぬほどつまらないと感じる本にときどき当たってしまうこともあるが、それでも得るところが必ず一つや二つはあるものだ。
にも大いに当て嵌まると思って、もはや私の心の中が見えるのか…と。
おまけに父は古い考えの持ち主で男尊女卑だったし、癇癪持ちで短気だったから苦手だったというところも一緒なのだ。
子どもの頃から田舎の生活がたまらなく退屈だと感じていたのもわかる。
自分を曝け出した痛快なエッセイにわかる部分が多かったことに何故かちょっと楽になった気がする。
あれもこれもと悩みはあれど、行きつ戻りつというのもなるほど頷ける。
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いつも前向きに豪快に未来をきり拓くイメージの女子を書く垣谷美雨さんのエッセィ。
豪快に進むかと思いきや、柚木麻子さんのエッセィだったけと読みとまったこともあった。
みんな人との距離感に悩みながら、鬱々としながら暮らしているんだなと感じた。
これからの作品を読むのもすごく楽しみです。
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私が読む垣谷美雨氏作品の15冊目。(途中で読むのをやめた1冊を含む)
本書は垣谷氏初のエッセイ。
本文中でそんなに沢山触れてはいらっしゃらないが、30代と思われる娘さんと息子さんがおられ、お孫さんもいらっしゃるようだ。
娘さんがとてもしっかりしていて優しい。
そしてご主人(←この呼称についての文章も有ったが、垣谷氏ご本人も他人の夫のことを夫さんと言うわけにもいかないと書いておられるので、ご主人と書いてもいいだろう)の存在は、1冊丸々全く影すら感じられなかった。
他には、随分と失礼な編集者や出版社もあるようで、垣谷氏がお気の毒になった。
また、スポーツジムや陶芸で仲良くなった同年代の女性達から職業を根掘り葉掘り聞かれた挙句、小説家であることを信じてもらえず(ペンネームの垣谷美雨と名乗ってもその方達は知らないらしい)、自称小説家を名乗るイタイ女と思われているなどという可哀想な話も。
日本の英語教育について書いていらっしゃるところでは、「ああ、垣谷氏、黒田龍之助氏の著書をお読みになったらいいのに…」と思った。
(私は今丁度並行して読んでいる)
垣谷氏は私の少し歳上でいらっしゃる。
そのたった数年の違いでも、幼少期の時代背景だけは、やはり随分と違うなぁと思うところがあるが、就学以降は私達(特に女性)を取り巻く世の中の風潮はだいたい同じ感じだ。
だから今までの小説でも(ある1冊を除き)、ものすごく共感することが多かった。
本書でも共感することが多かったし、垣谷さんて普通の人だなぁと思った。(悪い意味ではない) -
短いものは1ページほど、長いものでは数ページになる、71本が詰まった著者初のエッセイ集。2020年中頃から2022年末くらいまで連載されていた文章なので、新しい感じが強い。
中でも面白かったのは、『アベノマスクは捨てました』と『デジタル庁長官の人選がおかしい件』の2本。特に後者は、発足当時からおかしかったことがよく分かる。
それぞれの文章のいちばん最後の一行が、オチになっているようで面白く読んだ。 -
エッセイを読んで、フィクション作品の方が面白いな...と思う作家さんに出会ったので、このエッセイも読むかどうか迷った。垣谷美雨さんの作品が大好物だから、読まなきゃよかったになるのが怖くて。
しかししかし、読後は悪くない!!偉そうですみません。
他の方も書いておられたが、毒舌というりチャキチャキというのがしっくり。
はっきりものを言ったかと思いきや、思ったことを口にできなかった話があったり、一人参加ツアーで友達を作るような積極的な面を語ったかと思えば、暗い性格だと言ったり。
普通の庶民の一面が覗けて楽しい。
笑ったのは、昔から歴史に興味が持てないところ。
歴史好きな人に好きな歴史上の人物を聞かれ、北京原人と言うシーンは吹き出しました。
あとは10年後の自分がタイムマシンで今に戻ってきたというくだり。
10年後の自分からすれば、今の自分は若く健康で、ぐちぐち言わずに楽しみなさい的なところ。
これは私も最近やってる。
恥ずかしながら仕事と家事育児と、もって生まれた短気な気質で日々猛烈に苛立っている私。
死の間際で子供たちにもっと優しく接しておけばよかったと思って、特別にやり直しの機会をもらっているんだ!の設定で最近やっております。
垣谷美雨さんも似たような思考をお持ちのようで(違うか?)、大変嬉しい!
この後、懲役病棟読みますよ。楽しみ。 -
初めて読んだ本は、「女たちの避難所」だった。
被災地でのとんでもない裏側を垣間見たような、
とても衝撃的だった!
その時から、ずっとファン!
初のエッセイということで、
さらに、著者の本音に迫るたくさんのことが知れた。
会社員、妻、母、祖母、と、
人生のたくさんの経験が全ての作品の基本になっている。
女性目線で、世の中を、一刀両断にスパッと言い切る文章にいつもながら胸がすっきりする。
「懲役病棟」「News Diet」ぜひ、読みたい。 -
垣谷美雨さんの初エッセイ集。これまで垣谷さんの小説は4冊読んだ。
内容は、生活、家、老後、家族、女性の生き方、子供時代、言語、旅、仕事等、多岐に亘り、さまざまなトピックに対する垣谷さんの考えを知ることができ面白い。全般的にストイックな印象を受けた。私とは年代が異なるが、仕事に子育てに、自分にも他人にも厳しく全力で頑張ってきた方のように感じた。
実家の話の際、実家は「城下町特有のうなぎの寝床」(間口は狭いが奥行きがある家)の造り、と書かれていて、幼い頃よく遊びに行った祖父母の家と同じで懐かしかった。 -
今をときめく垣谷美雨さんのエッセイ。
思いの外(?)気にしいなところがあったり、そうかとおもえば大胆にズバッと言い切ったり。
そういう多面性が、でも本当に垣谷さんの"生の声"という感じがして、共感出きる部分もとても多くて面白かった。
ノッてる作家さんはやはり違うなと言う感じ。 -
いやー、面白かった。あっという間に読み終えました。筆者は少し上の世代ですが、自分の子供時代が思い出され、両親は忙しく大変だったんだろうな、なんてしみじみしてしまいました。
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垣谷さんの初エッセイ。
今までに読んだ著書を思い出しながら、こんな方が書かれた本だったのかと納得。
いい意味で「普通」の感覚を持っていらっしゃって、共感するところがたくさんあった。