- Amazon.co.jp ・本 (114ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575457742
感想・レビュー・書評
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「リンゴをまるごと、一度も皮を切らずにむけるようになったら、なんでも好きな本を買ってあげるよ」
小学生の時である。
姪のことをよく心得ていた叔父はにこにこしてこう言った。
本が好きで物につられやすい私が食い付き、リンゴを剥きまくったのは言うまでもない。
何日か後、叔父の目の前で見事にリンゴを剥き終わり、
「よし、できた。買ってあげよう」
「やったあ!」
いっしょに本屋に向かった。
大事な貴重な機会である。
私は本屋をぐるぐる歩き回り、
一番大きくて、一番分厚い、一番読みごたえのありそうな一冊を探しだした。
「おじちゃん、これがいい」
「ほう、『若草物語』」
これが私と四姉妹との出会いである。
南北戦争当時のアメリカというのもさりながら、
姉妹、女ばかり、しかも四人も!
というのは、一人っ子にとって、それだけで別世界である。
その世界に私は没入した。
読み終わって、四姉妹とそれきりになってしまうのがいやで、何度も何度も何度も繰り返し読んだ。
メグ、ジョー、ベス、エイミーに次ぐ、私は五番目の姉妹だったのだ。
エイミーの歳を超えてしまったのは、ショックだった。
そして、ジョー、ベスの歳も過ぎ、メグねえさんの歳になった頃、
『若草物語』に続編があることを知った。
『続・若草物語』そしてさらに、『第三若草物語』『第四若草物語』とある。
もちろんすべて読んだ。
何年かに一度、シリーズすべてを読み通すし、日常ふとした時に姉妹のあれこれを思い出したりもする。
本を読む時には、ジョーのように木に昇ってリンゴとともにというのは、今でもちょっとした憧れだ。
いざ明日は楽しいお出かけという夜には、エイミーの「鼻に洗濯ばさみ」ほどではないにせよ、自分の難所にちょっとなにかしらしたりする。
感情に激しく振り回された時には、姉妹の賢明なる母、マーチ夫人の言葉を思い出し、どうにか怒りをコントロールしようと努める。
家の果物と、ジャムと、大量の瓶にまつわる新婚のメグの一騒ぎは、私もそっくりやらかしたことがあって、おかげで、私は自分のそれをゲラゲラ笑って思い出すことができる。
子どもの時から人生をいっしょにすごしてくれる本の存在がある人は幸せだ。
まるで友人のような・・・・・・赤毛のアンのいう「腹心の友」たる本があれば、人生はずいぶん幸福になる。
そんな誰かの「腹心の友」たる本の数々がこの一冊に集められている。
『若草物語』『あしながおじさん』『インガルス一家の物語』『ナイチンゲール』『キュリー夫人』etc.etc.etc......
あの日あの時夢中になったものばかりだ。
今読んでも当然面白い。
面白いが、大人になってみると、ちょっと気になるところもある。
貧乏ってどれくらい貧乏なの? 金持ちってどれくらい?
寄宿学校ってどんなところ? なにを習っているの?
マフってなに? ふくらんだそでって? ボンネットって? ・・・・・・などなど
わかりやすく図や解説が載っているので、「あの時のあのハテナ」が簡単に解消される。
加えて、なにより、そんな話を書いた人ってどんな人だろうという疑問もだ。
作者の人となり、代表作などが、簡単ではあるが載っている。
私は作者らの写真に驚かされた。作者女史らがみな強面だったからだ。
やはり、彼女らの生きた時代に、男もすなる小説といふものをしてみんとてする女性は、根性の座りが並ならぬものなのだろう。
主人公たちだけでなく、その物語を通じて、作者とも「腹心の友」になれるかもしれない。
「残念、私には、そんな「腹心の友」なんていなかった。そんな子ども時代をすごしていた人がうらやましい」
という人もいるかもしれない。
「腹心の友」に出会うのに遅いということはない。
「よかったわ、今、出会えて。それがどれだけ大切で貴重かってことが、人生で一番わかった時なんですもの」
パレアナなら、間違いなく言うだろう。
まずはこの本を手にとって、なにか心引かれる物語・・・・・・あなたの「腹心の友」をみつけてはいかがだろうか。
彼女らもきっとそれを望んでいる。 -
『家なき子』ってこんな話だったっけ?
アニメで見て読んだ気になっていたのかも。
昔の児童向けの全集って
学校や近所の図書館で読んでいるはずですが
どこの出版社のものだったかは
挿し絵でなんとなく記憶をたどれるか。
私が読んでいたのは偕成社っぽいな。
かわいいというより絵画のような絵でした。
ちょっと「大人っぽく」思えたのよね…。 -
思っていた以上に楽しめた一冊。若草物語、家なき子、小公女、赤毛のアンなどの話を色んな画家の挿絵とともに紹介している。あらすじだけではなく、当時の時代背景や暮らし、流行などもまとめられていて興味深かった。