負けるな、届け! (双葉文庫)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575521894

作品紹介・あらすじ

「社長があなたを嫌っているから」と、25年勤続にもかかわらずいきなりリストラされたかすみ。プライドはずたずた、崖っぷちに立たされたかすみが這い上がるきっかけは、東京マラソンの沿道で縁もゆかりもないランナーたちを応援する友人の姿だった――。独身アラフィフ、無口な夫との生活に飽き飽きしている専業主婦、社内で「客寄せパンダ」的にしか振る舞えない中堅女性社員。それぞれが「人を応援すること」を通し人生を見つめ直していく連作短篇集。読めば元気が出る、疲れた心に贈る栄養剤小説!

感想・レビュー・書評

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  • オイラが走り始めたのも人生の35㎞地点だったのかもしれない。思い返してみると病んでいたなぁ、職場でも家庭でも。気が付いたらオイラと同じように走っていた仲間は走ることを「ひとりになれるからいい」なんて言っていた。人生にはそんなときがあるのかもしれない。だから、かすみや雄太郎が走り出した気持ちはちょっとわかる気がする。かすみに髙橋や川内とか新しい友達ができたように、オイラも走ることで職場以外で、仲間と呼べる友達ができた。今ではオイラにとって大切な人たちだ。かすみ、千秋、あかりと雄太郎、髙橋と川内、みんなタイプこそ違うけど真っ直ぐな人たちだ。ちょっと青臭いところがあるけど、きっと走ることで青臭くたっていいじゃん!って思ったんじゃないかな。人って歳をとるから大人になる訳じゃない。オイラは青臭いままでもいいとさえ思っている。かすみは、”たとえ報われなくてもがんばるくらいの意地は女だって持っている。出世より何より、力を発揮できる機会があれば、そこでやるべきことに全力を尽くす”っていう素晴らしい仕事観を持っている。残念ながらかすみの会社にそれを評価できる人がいなかったということだ。でも、お天道さまは見てくれているんだよね、だから本田先生が手を差し伸べてくれた。だからオイラはこれからもお天道さまを信じて走り続けよう!

  • 応援することによって、自分も力を貰える。
    応援する側も、応援される側も、懸命に生きる人は美しい。応援してくれる人がいれば頑張れる。

  • 高橋さんの
    ここに応援している人がいるよって思いを届けたいんだよね
    って言葉がすとんと。
    ほんとにいろんな面で友達、家族の応援があって乗り越えられたことがたくさんあるから、改めて自分の環境にも感謝できた!
    できれば苦しい思いなんて誰でもしたくはないはずだけど、そんな時こそ周りの人の存在、力を実感するんだよね。
    意味のない頑張りなんてないんだな!

  • ラグビーのW杯が終わってとても寂しい今日この頃。
    世界一流レベルのぶつかり合いはとても見どころがあったが、何よりジャパンの闘いぶりが素晴らしかった。
    それに加えて、日本各地での“おもてなし”が、思いがけずも世界中の人々の心を打ったことが嬉しい。
    キャンプ地での街をあげての歓迎、一緒に異国の国歌を歌うエスコートキッズや観客、台風にも負けず試合開催に持ち込んだスタッフ、ジャパン以外の各国のユニフォームを着て会場やファンゾーンに集まる人々など、それらを紹介する記事を見るたびにジンと来た。
    試合をする選手だけでなく、多くの人の力が積み重なって、大会が素晴らしいものになったことを実感する。

    さて、この本、ラグビーじゃなくて、マラソンの話で、それも走る人ではなく、応援する人たちの物語。
    年を取ってどうにも涙腺が緩くなってきているが、読んでいて随所でウルウルさせられて困った。
    大して深みを感じる話でもないし、小説の上とは言え出てくるセクハラやパワハラは時代遅れだし、あの程度の練習でフルマラソンを走れるとも思えないし、柳沢を応援するところにはもっと葛藤があって然るべきだし、色々とほじくり出したいところは多い。
    にもかかわらず、応援する人される人の心情を描く文章に触れると、そうしたことは関係なく、ホロッとさせられる。
    ここでも、スポーツの素晴らしさは選手だけではなく周囲の色々な思いがあってこそという感じだし、アマチュアであってもそれぞれがそれぞれのレベルの目標のために“色々なことを犠牲に”してきた人生の山あり谷ありを感じるからかな。

    世間は東京から札幌に変更されたオリンピックのマラソンコースのことでかまびすしいが、本当に選手ファーストでやってもらいたいなぁ。

  • 理不尽なリストラにあった女性たちが、知人のマラソンを応援することで、自分もマラソンに引き込まれていく。一度は自分を否定された彼女たちは、応援してくれる人、理解してくれる人がいれば頑張れるということに気付く。挑戦することで、現実の厳しさは変わらないが、心は確実に前向きに変わっている。人を応援することで自分も元気になれる。シンプルだが大切なメッセージを伝えてくれる、読んで楽しい作品である。
     物語中も出てきたZARDの「負けないで!」の歌詞を思い出す。 ♪負けないで ほら そこに ゴールは近付いてる♪

  • ランナーとしては、分かる、分かるな1冊。
    アラフィフにして、会社を辞めざるを得なくなったかすみ。
    友人高橋さんとのマラソンの応援する姿が楽しい。
    走る人を応援するのも、応援に応えるのも本当に嬉しい
    のを私も一ランナーとして知っているから、よけいに。
    知らない人たちが沿道で応援してくれるのに、「ありが
    とう」と応える幸せ。
    かすみの周辺の人が順繰り語り手になっていく中、
    あの人の登場はびっくりした。
    でも、だからこそのあのラスト。
    爽やかな読後感。
    おりしも、北海道も遅い春を迎えている。
    さぁ、レッツゴー。

  • 頑張ろう
    ガンバりたいな
    と思えてくる本でした

  • 25年勤務にも関わらず理不尽な理由でリストラされた小野寺かすみ。彼女は友人に誘われてマラソンを始めるが……。
    心の中にぽっと暖かいものが残る。
    人は何故走るのか、と問われれば走った後にある爽快感と達成感を味わうためだろう。本書ではそれがよく描かれており、読み終えて笑顔をもらえた。
    心暖まる一冊だ。

  • マラソン走る側でなく
    応援する側の視点で描かれる
    他人を応援する事により自分にも影響がある
    応援してくれる人が居ることの幸せ
    人付き合いの大切さ仲間が居ることの力強さを感じた

  • まさに応援小説!
    フルマラソンに挑戦する初心者を鼓舞し、働く女性がぶつかる悩みにも寄り添い、大嫌いな上司や理不尽な出来事に挫けそうな心を癒やしてくれる。
    最後は思わずうるっときてしまった。
    何かを頑張ること、誰かを応援すること、働くこと、生業、そして持つべきは友!
    今、読書感想文書くとしたらこの本で書ける。

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著者プロフィール

こかじさら
1958年千葉県生まれ。中央大学専門職大学院国際会計研究科修士課程修了。
出版社勤務を経て2016年『アレー! 行け、ニッポンの女たち』講談社刊(『負けるな、届け!』として文庫化)でデビュー。著書に、『それでも、僕は前に進むことにした』『彼女が私を惑わせる』共に双葉文庫など。2019年9月、現代ビジネスに両親の介護生活を描いた記事を掲載し、大きな反響を呼んだ。

「2022年 『寿命が尽きるか、金が尽きるか、それが問題だ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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