リセット(新装版) (双葉文庫)

著者 :
  • 双葉社
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本棚登録 : 1715
感想 : 150
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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575523454

作品紹介・あらすじ

ぼんやりした不安と不満を抱えながらも、平凡に暮らしていた三人の女性が、突然、高校時代にタイムスリップさせられてしまう。”未来の想い出”がリプレイされる毎日は、彼女たちの意識を少しずつ変えていく。そしていま、再び新しい人生へ! 人生は変えられるかもしれない……長編if小説。

感想・レビュー・書評

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  • そうなってみないとわからないこと。
    後になって気づくこと。
    いくら想像して、その人の身になって考えようとしていても、わからないこと。
    それどころか、その人の身になって考えもしないでいること。
    そういうことがたくさんあるよなぁ、と改めて思った内容だった。

    そして、人生はないものねだりじゃなくて、闘って自分の幸せをつかみとっていくんだ、とふと思った。

  • 同級生と久しぶりに会った47歳の3人。高校時代へタイムスリップ。それぞれの価値観、望むもの、経験してみて分かること。独身だからさみしい?家族がいるのに孤独を感じるのはもっとさみしい。女性の幸せとは何だろうと考えさせられた。

  • どんな選択でも何かしら後悔したり不満を持ったりはあるよね

  • 高校時代の同級生とデパートで偶然に会った。
    暫くぶりの再会に近くのお店に入り、そこで現在の生活の愚痴をこぼした事で知子、薫、晴美の3人は高校時代にタイムスリップする。
    これまでの人生の記憶があるのは有難いことだ。
    失敗を繰り返さないようにして新しい人生を切り開きたい。
    結婚していた知子は一人で生きることを選び、独身でキャリアウーマンとして働いていた薫は結婚する。
    高校時代に妊娠の経験があった晴美はその経験から逃れ、医者の男と結婚する。

    けれども思ったようにはいかない。
    多分、何度やり直しても満足する人生なんて無いのだ。

  • 〈未来の想い出"がリプレイされる毎日は、彼女たちの意識を少しずつ変えていく。
    そしていま、再び新しい人生へ!〉

    さてさてさんはじめ、みなさん、深く読み取っておられる

    なぜこの本を予約したのか忘れてしまったのだが
    とても心に響いた
    「タイムスリップ」はよくある話だけれど
    人生をまた生きることによっての「気づき」
    に私も揺さぶられた

    もう一度あの頃へ戻りたいとは思わないが……

    女性の生きづらさを多面的に捉えたこの小説
    うーん、そうだね
    今からでも変えられるんだよね
    うん
    確かなエールを感じました

    ≪ リセットは 時ではなくて 心だね ≫

    • さてさてさん
      はまだかよこさん、おはようございます。
      この作品を読んで三年経ちましたが好きな作品の一つです。私、タイムスリップものをこよなく愛しておりま...
      はまだかよこさん、おはようございます。
      この作品を読んで三年経ちましたが好きな作品の一つです。私、タイムスリップものをこよなく愛しておりますが、この作品は複数名が同時に…という点が上手い作りだと思います。
      そうですね。もう一度あの頃へ…と思うことはたまにありますが、今へ続く道をやり直す…と思うと考えこんでしまいます。
      そう、いろんなことを考えさせてくれる作品だと思いました。
      2024/03/29
    • はまだかよこさん
      さてさてさんへ

      そうですよね
      垣谷美雨さん、うまいなあって思いますよね
      違う人生を生き直す
      三人を織り合わせて
      それに女性の生...
      さてさてさんへ

      そうですよね
      垣谷美雨さん、うまいなあって思いますよね
      違う人生を生き直す
      三人を織り合わせて
      それに女性の生きづらさをまた織り込んで

      面白かったですね

      わざわざコメントありがとうございました
      2024/03/30
  • 30年前に戻ってみたら、自分の子供の頃の記憶は現実の一側面を見ていただけだった、とか、過去に戻って違う人生を過ごしたら周りの人も違った変化を遂げていた、とか、とても考えさせられる内容だった。過去に戻ってもそう簡単には思い通りにはいかないんだよな...と。だったら今を全力で生きるしかないよね、と。絶対もう一度読み返したい本でした。

  • 著者がデビューしてからの2作目の本。
    著者の原点のようなものを感じた。

    常にあるのが、女性の生き方。

    男中心の社会の中で、いかに理不尽な待遇で女性が生きなければならないか、
    女性の幸せはどうすればつかめるのか・・・など、
    たくさん読んだ本の中でいつも励まされる。

    30年前にタイムスリップできて、
    人生をやり直せたとしても、
    環境や家族は変わらないし、性格も変わらない。
    ただ、同年代の女性の心で自分の母親を見られたことは3人の主人公にとって大きな収穫だったと思う。

    ラストはどう締めくくるのか、期待わくわくで読んだ。

    かつての男尊女卑の時代から、
    少しずつは世の中は良くはなりつつある。
    少し過剰気味に感じるときもあるが、
    試行錯誤しつつ、更に生きやすい時代になればうれしい。

  • 2024年3月13日読了。図書館で借りた。

    3人の主人公の中に、自分と全く同じ立場の女性はいないけれども、令和になって数年の今、中年と呼ばれる女性なら共感できる部分はたくさんあるのではと思った。全然ないという人はそれはそれで幸せな人だと思う。

    結局のところ、意見というか予想としては私も晴美と近い。この状況が自分が死ぬまでに変わっているのかどうかと思っている。例えていうなら10のうち3ぐらい進むかもしれないが。だから期待はしてない。自分は日本で女に生まれて、人権なんて男より低いまま死んでいくのだと思っている。

    まだ検索していないが、ブクログや他のネット上で、男性読者のどんな感想があるのか興味深い。面と向かって聞くと、本音は聞けそうもないから。ダブルスタンダード、これも日本からなくなってほしい。

    蛇足だけど、主人公たちが兵庫県の北の方の出身(山陰線とか出てきたので)の設定の割に、わりとこてこての関西弁なのに違和感を感じた。

  • 主人公三名は30年前にタイムスリップするというお話
    SFチックであるがジェンダーの男女差に起因するひずみなどがうまく記載されており楽しめた。
    文中、“ゆったりできる空間が家庭になるとしたらこの広い世界の中のどこにも安らげる場所が無いということなのだ。まさに三界に家なし。人生は思ったよりずっと短い。そんなことは40歳を過ぎた人間なら誰だって知っている。そんな貴重な人生を主人なんかの顔色を窺いながら生きていくなんて本当に馬鹿馬鹿しい。”の言葉は心に響いた。

    三界に家なし:女は、幼少のときは親に従い、嫁に行っては夫に従い、老いては子に従わなければならないものであるから、この広い世界で、どこにも安住できるところがない。「三界」は仏教で、欲界、色界、無色界、すなわち、全世界のこと。

  • 47歳から高校時代にタイムスリップ!設定はファンタジーだけど内容はなんともリアル
    どんなふうに暮らしていても、不満や不安はみんな持っていて、だれかを羨んだり人のせいにしたり…
    誰かと比べて自分を上にみたり下にみたり…
    なんだか嫌〜な人がいっぱい出てきてモヤモヤイライラするけれどこれが人間の真の姿かな
    結局、人は変えられない、自分の生き方を変えることも並大抵のことじゃない。
    女性の生き方も社会の在り方もこの本の時代からは大分変わってきたけれど、まだまだ社会問題は山積み、いろんな角度からとりあげてくれる垣谷さんの作品はどれを読んでも面白い。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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