- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784575526844
作品紹介・あらすじ
東中野にある〈喫茶おおどけい〉は不思議な喫茶店だ。今日も困りごとを抱えたお客さんが導かれるようにやってくる。時間がゆったり流れるノスタルジックな店内と、店主ハツ子の柔らかな雰囲気に惹かれ、強ばった心がほぐれてついぼろりと悩みをこぼすお客たち。オリジナルの喫茶メニューに舌鼓を打っていると、店のシンボルである大時計がぼーんと鳴る。すると店内が急に昭和時代に巻き戻り……。あなたのお悩みは、喫茶おおどけいに来れば解決するかもしれません。昭和レトロな喫茶店を舞台に贈る、心あたたまる物語。
感想・レビュー・書評
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〈喫茶おおどけい〉は、その名の通りお店に不思議な大時計があって、悩みを抱えたお客さんが、引き寄せられるように訪れ、老店主ハツ子さんと孫のハヤテと話している最中に昭和時代にタイムスリップしてしまう。
眠りから醒めたような気分と同時に悩んでいたことも些末なことだと感じて前向きになる話。
時計は、救いを求める人を察知するという…。
5話の短編集。
喫茶だけにもちろん食べ物もあって、それが昭和な感じ漂うのも懐かしくてホッとなる。
最近、こういう喫茶関係のほっこり系の短編小説が多くなってきたような気がする。
この著者さんは、初読み。
・不変のクリームソーダ
消極的で前に進めず、変わらない自分に嫌気が。
・不格好なプリン・ア・ラ・モード
完璧な故に思い通りにならない育児にノイローゼになって…。
・包むか包まれるかオムチキンライス
バイオリンのレッスンが苦痛な少年。
・若き日のミルクセーキ
認知症の母の世話に疲れて。
・幸運のお茶とお菓子
はっきり自分を伝えられない彼は…。
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☆4
過去と今をつなぐ不思議な大時計が置かれた喫茶店「喫茶おおどけい」。
昭和レトロなその喫茶店で起こる、小さな奇跡の物語に心があたたかくなりました❁⃘*.゚
店主のハツ子さんがとっても素敵で癒されました(*´˘`*) -
不思議な力を持つ大時計のある東中野の純喫茶を舞台にした連作短編集。
人生に疲れたり上手くいってない人たちが引き寄せられるという設定はありがちかもしれないが、お客さんのタイムスリップする昭和の時代の様子も面白くとても惹き込まれた。
現在は88歳になった店主のハツ子さんとその孫で一般企業を退職しイラストレーターをする颯の2人で純喫茶は切り盛りされている。大戦を経て色々辛い経験も味わったハツ子さんの温かい人柄にじんときて、まるで自分もこの居心地の良い純喫茶にいるような温かい気持ちになった。最近読んだ黒柳徹子さんの『続・窓際のトットちゃん』や古内一絵さんの『鐘を鳴らす子供たち』で触れた戦後まもなくの様子がこの物語の展開中にもとてもしっくりきた。日頃、目の前の大変なことなどに気を取られがちだが、過去があったからこそ現在があるという大きな視点に気づくことができた。心温まる素敵な1冊。
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心温まる5つの連作短編集。
主人公の颯(ハヤテ)くんは喫茶店で働くバイトです。
彼が出会う悩む人々の物語が描かれていました。
颯くんの祖母で喫茶店の店主、ハツ子さんと、不思議な大時計は、前向きな力を与えてくれるのです。
心に響くセリフの数々には感動しました。
ハツ子さんのように人の傷みを理解し、役に立つ生き方に憧れます。
この作品は、わたしたち読者に優しさと勇気を与えてくれると思います。
悩みを乗り越えて前に進む力や、喫茶店の雰囲気に包まれる癒しを感じることができました。
また、経験に基づいたハツ子さんのアドバイスや、喫茶メニューとの結びつきにも共感しました。
心をほっこりさせる、素晴らしい作品です。 -
昭和初期から中期、大変な時代の中で活き活き魅力的に過ごすハツ子さんに元気をもらった。
自身の日々を振り返ってみると、疲れただとか小さな不満だとかに占領されている気持ちの方が大きいように感じる。
毎日の生活って代わり映えなく過ぎていくことの方が多いようにも感じるので、そんな中でどういう気持ちで過ごしていくか、どんな気持ちで過ごすか…
気の持ちようによって、日々を振り返った時に過ごしてきた時間の印象が変わっていく気がする。
疲れた印象の記憶よりも、ワクワクする何かを見つけて過ごした印象の記憶になるようにこれから過ごしたいな。 -
10/26
ほのぼの小説が好きでよく読む私が、誰かに読んで欲しい!と言いたくなるような本でした。
『小さな幸せを見つけることができる人』ってとても素敵ですが、それはもう小さくはなく、かけがえのない大きな幸せです。
厳しい母親からの愛情や、他人を応援することの偉大さ、全てを完璧にしようという他人思いな精神。
一つの喫茶店を介して、自分や周りの大切な人を思いやることができる物語でした! -
喫茶おおどけいに訪れたお客さんにまつわる5つの物語。
色々な悩みを抱えたお客さんが少しずつ悩みを打ち明けていくと…昭和時代の喫茶おおどけいにタイムリープ。
ほんの少しの時間を別人として、当時の喫茶おおどけいの人達と過ごすことで、悩みがすーっと解決していく。
読みやすい短編集なのであっという間に読了。 -
読み終わった今は、胸がぽかぽかするような気持ち。
悩める人を助けてくれるおおどけい。
こんな人に寄り添いのできる喫茶店にいつかわたしも巡り会いたいな。
ミルクセーキがとっても気になってしまった。
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悩める人を引き寄せて、昭和にタイムワープさせるのは、戦前からの大時計、と思いきや…? ストーリーが進むにつれて、〈喫茶おおどけい〉の歴史が分かり、昭和だろうと平成だろうと悩みを一人で抱え込む人は絶えないこと、美味しいものとほっとする場所があるとかなり救われることが印象づけられます。