三河雑兵心得(7)-伊賀越仁義 (双葉文庫)

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  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575670776

作品紹介・あらすじ

信長、本能寺に死す! 驚愕の報せに慌てふためく家康主従。突如、敵地と化した畿内を脱出するため、一行は「伊賀越え」を決意する。本多平八郎とともに殿軍を務める茂兵衛に、落ち武者狩りや、天正伊賀の乱の復讐に燃える伊賀者が襲いかかる。戦国足軽出世物語、三十六計逃げるに如かずの第7巻!

感想・レビュー・書評

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  • 精悍な茂兵衛の活躍が楽しみです。
    伊賀越仁義 ー 三河雑兵心得シリーズの7作目
    2021.10発行。字の大きさは…中。2022.04.08~09読了。★★★☆☆
    三河、遠江を治め駿河を手に入れた徳川家康に仕える足軽大将の植田茂兵衛の出世物語です。

    武田を下した織田信長に呼ばれて京(京都)へ、そして堺へ行っていた家康の元に。織田信忠のもとに行っていた茂兵衛が、明智光秀の謀反を伝える。家康は、急遽領国に帰るべく伊賀を通り三河へ向かう。帰り着いた家康は、主のいなくなった甲斐、信濃を占領し。三河、遠江、駿河、甲斐、信濃の五ヶ国を領有する大大名となった。
    石高で言えば三河、遠江で六十万石前後だったものが、駿河、甲斐、信濃の八十万石余を加算され百四十万石ほどの太守となった。軍役が一万石当たり二百五十人と考えれば、三万五千人の動員力を誇る。そして関東の大国で二百万石の北条家の当主・北条氏直に娘・督姫を嫁がし同盟を結ぶ。日本の臍の部分に一大勢力が公然と姿を現した。
    茂兵衛の俸給は年二百五十貫で変わらず。石高に直せば五百石ほど。

    【読後】
    茂兵衛は、あくまでも自分は武辺一本の槍武者と言い、精悍さを表に出し、思慮深い所を隠しています。このため周りに警戒されず戦上手な足軽大将として、徳川家の中で生きていっているように見受けられます。茂兵衛の今後の出世が楽しみです。

  • 茂兵衛が成長して戦国武将と渡り合っていく。物頭目線で描かれた作品は新鮮で面白く、ずっと読み続けたい。

  • 本能寺の変を身をもって体験した茂兵衛、命からがら逃げ帰る。途中、穴山梅雪の消息が気になり戻ったところ、家老の有泉を救出し、怪我の彼を担いで戻るという超人的な活躍。
    6月2日に本能寺の変があり、岡崎に戻ったと思ったら、家康より甲州への侵攻を求められて出兵したのが6月9日。中間管理職とはいえ恐るべき酷使のされよう。
    初恋の女性とたった一度の逢瀬で長男誕生。長男は全てを承知の義弟辰蔵夫婦の養子となる予想外の展開。硬軟取り混ぜた内容に、読むペースが加速する。

  • シリーズ7巻目。
    いやもう堂々たる戦国の侍となった主人公。
    闘えば必ず勝ち、直属上司の覚えめでたく、部下に慕われ家庭円満、なれど任務は大変。安心して物語に没頭できる。愉しいねえ。

    作品紹介・あらすじ
    信長、本能寺に死す! 驚愕の報せに慌てふためく家康主従。突如、敵地と化した畿内を脱出するため、一行は「伊賀越え」を決意する。本多平八郎とともに殿軍を務める茂兵衛に、落ち武者狩りや、天正伊賀の乱の復讐に燃える伊賀者が襲いかかる。戦国足軽出世物語、三十六計逃げるに如かずの第7巻!

  • Audible読了
    読み終わって、ふうと息をついた。

    家康の運命とは、数奇としか言いようがない。
    本能寺の変に巻き込まれ、無事伊賀を越えたら今度は信長の息子に窮地に追い落とされる。まさに最後まで信長に翻弄され続けた半生だったということが分かった。

    それを縁の下から支える茂兵衛は、想い人や仇敵との清算を経て、ここがサラリーマン人生のターニングポイントと見る。
    これ以降は、大久保忠世の右腕として、武田家滅亡後の甲斐・信濃平定へと赴く。それは徳川家の「看板」の1人として数えられるようになった、ということではないか。他家の武将への接し方が、家老たちの評価をも動かしたのだろう。ナンマンダブの精神の賜物なのではないかと思う。

  • シリーズ第七弾。

    本能寺の変の直後、畿内から伊賀を越えて逃げる道中をドキドキしながら読み、乱世で生き残るための徳川の汚れ仕事を茂兵衛と同様に「ま、ありそうなこったァ」と読んだ。
    落ち武者狩りや、復讐に燃える伊賀者たちに狙われながら、本多平八郎たちと殿を務める茂兵衛。
    全て茂兵衛の目線での物語なので、秀吉の中国大返しも描かれず、なかなか斬新な戦国物だと思う。
    続きが楽しみ。

  • 今回は、本能寺の変の後の伊賀越えから信長亡き後、家康が三河、遠江、駿河、甲斐、信濃を有する大大名になるあたりまで。

    あくまで、百姓上がりの植田茂兵衛の視点の物語で、この時点で秀吉の活躍、明智のその後など、ほとんど出てこないのも絶妙である。

  •  前回から続け様に読破。伊賀越えは百姓や地侍が相手で、対戦国大名との戦とは仕様が異なるのが新鮮。毒矢は実戦では有効的で、かなり肝を冷やすだろう。近世までは倫理観が低かったというが毒矢を使わないなどの暗黙のルールから一定の美意識(それを武士の誇りと言うのだろうが)があったのだろうと思った。
     伊賀越え後も当然戦いは続くが、本多百助の死など興味深いエピソードはあれど淡々と進んだ印象。
     終盤は服部半蔵との決闘や綾女の子の行方が見所。特に綾女は前作で衝撃的に再開しあっさり決別したが、それで終わるはずもなく、皮肉にも後継候補が生まれてしまうら、今後この子がどうなるかも注目。

  • 家康の練りに練った作戦で、信長の仇討ちにも出たという事実と、甲州への領土拡大という作戦もどうにか成功する。

    またしても足軽たちは重労働だ。

    そんななか、茂平にも長女が生まれる。

    百姓上がりの茂兵衛は武勲よりも、生きてることが重要。
    仲間を一人でさえ無くさぬようにと采配し戦う。
    そしてそんな茂兵衛だからこその目線で描かれる時代小説の妙。

    史実に輝く武士たちの実像を冷静に観察しそこで生き延びるために働く主人公。

    だから他にない面白さなのだろう。

    いよいよ、織田家は秀吉が主人となる。
    秀吉にとって煙たいのは家康のみ。

  • 信長、本能寺に死す!京を脱出した茂兵衛がもたらした一大事に、わずかな供回りのみの家康は、突如、敵地と化した畿内から伊賀を越えて本国三河まで逃げることを決意する。だが、信長の同盟者である家康の首を狙って、後ろからは謀反人の明智軍、前では落ち武者狩りや、天正伊賀の乱の復讐に燃える伊賀者が待ちかまえていた。本多平八郎らと共に殿軍についた茂兵衛は、血と泥に塗れながら伊賀路をひた走る。戦国足軽出世物語、天下大乱の第7弾!

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著者プロフィール

神奈川県出身。2000年に「連弾」が第25回城戸賞に入選し、経塚丸雄名義で脚本家デビュー。16 年「旗本金融道」シリーズ(経塚丸雄名義)で時代小説家デビュー。17 年『旗本金融道(一) 銭が情けの新次郎』で第6回歴史時代作家クラブ新人賞受賞。21年「三河雑兵心得」シリーズで「この時代小説がすごい! 2022年版」文庫書下ろしランキング1位。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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