三河雑兵心得 【十】-馬廻役仁義 (双葉文庫 い 56-10)

著者 :
  • 双葉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575671353

作品紹介・あらすじ

上田合戦で大敗した徳川勢の殿軍を務め、単騎で真田勢に突っ込み戦場に消えた茂兵衛。「茂兵衛、討死」の報に、辰蔵は泣き、寿美は愚痴り、八兵衛は悪態をつく。さらには無嗣子の植田家は改易の危機に。だが、ところがどっこい、茂兵衛は生きていた。戸石城の土牢に囚われながら、じっと味方の救出を待つ。戦国足軽出世物語、第10弾。

感想・レビュー・書評

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  • 映像化するならキャストは、
    「アルコ&ピースの平子さん」
    がイメージに合ってる気がする。

  • 「購入」
    徳川家康の家臣で足軽から出世した植田茂兵衛の出世の物語です。

    天正十三年(1585)八月。
    信州上田城の真田昌幸との戦いで植田茂兵衛は、討死したと騒がれたが、真田家嫡男、真田源三郎信之(のぶゆき)によって捕らえられ戸石城の土牢に囚われている。その茂兵衛が、浅間山の噴火で土牢が壊れた。そこにあらわれた信之によって逃がされる。家康の元に戻った茂兵衛は、家康の馬廻り衆として家康の側に控えて意見を求められるが、武骨で、戦うことしか知らない茂兵衛には適切な答えを出すことが出来ない。

    徳川家康は、三河、遠江、駿河を治め、甲州、信州を手に入れ五ヶ国の太守となった。総石数は百五十万石に近い。総動員兵力は三万八千人。軍は、諸国からその剽悍さを恐れられる三河衆と、信玄の薫陶を受けた戦国一とも称された武田衆が部隊の基幹を成している。家康は、織田信長の遺産を引き継いだ秀吉と戦うのを避け、我が子於義丸を大阪に送り講和するが。家康自身は大阪へ行かず、頭も下げない曖昧な策をとった。その家康が、とうとう大阪へ行って秀吉に頭を下げる。

    茂兵衛の俸給は年六百貫。石高に直せば千二百石ほど。
    家族は、妻の寿美と、四歳になる可愛い盛りの綾乃。

    【読後】
    この物語は、大名の家康ではなく、足軽から出世していく茂兵衛を主役において書いている所が面白いです。いかに足軽が過酷な仕事かというのが分かってくるとともに、こういう捉え方もあるのだと思うと、すごく興味が湧いてきます。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    馬廻役仁義 三河雑兵心得シリーズの10作目
    2022.11発行。字の大きさは…中。2022.12.20~22読了。★★★★☆
    書店で新刊を715円で購入。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    《三河雑兵心得シリーズ一覧》
    10.馬廻役仁義   2022.12.22読了
    09.上田合戦仁義  2022.10.02読了
    08.小牧長久手仁義 2022.06.01読了
    07.伊賀越仁義   2022.04.09読了
    06.鉄砲大将仁義  2022.03.16読了
    05.砦番仁義    2022.03.02読了
    04.弓組寄騎仁義  2022.03.01読了
    03.足軽小頭仁義  2022.02.27読了
    02.旗指足軽仁義  2022.02.17読了
    01.足軽仁義    2022.02.16読了

    「参考」
    ※参考は、私のメモ書きです。本の感想ではありません。
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    「1話からの物語」
    約二十数年前。生まれた三河国植田村で誤って人を殺して、村を出る事となった百姓の茂兵衛17才は、乱暴者であるが、筋を通す真すぐな気持ちを持った爽やかな男です。植田村を出て三河国六栗城主の夏目次郎左衛門吉信のもとに足軽として奉公に出ます。
    茂兵衛が、六栗城で足軽として勤めだした頃の三河国は、一向宗徒による一向一揆が盛んで。三河国の領主で岡崎城主の松平家康23才の家臣が、一向宗徒側の寺に付くものと、領主の家康側に付くものに別れて戦っている最中でした。
    織田信長に味方し、信長の勢力圏の東にいる家康は、三河から遠江、駿河へと領土を広げていきます。そして信長が、明智光秀の謀反により亡くなってから家康は、主のいなくなった甲斐、信濃を占領し。三河、遠江、駿河、甲斐、信濃の五ヶ国を領有する大大名となった。石高で言えば三河、遠江で六十万石前後だったものが、駿河、甲斐、信濃の八十万石余を加算され百五十万石に近い太守となった。
    軍役が一万石当たり二百五十人と考えれば、三万八千人の動員力を誇る。そして関東の大国で二百万石の北条家の当主・北条氏直に娘・督姫を嫁がし同盟を結ぶ。日本の臍の部分に一大勢力が公然と姿を現した。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  • 上田合戦で死亡と思われた茂兵衛が真田の戸石城に幽閉されていた。それも部下含めた主従五名で。茂兵衛の強さに感嘆した真田勢が助けたとあるが、その前からの真田親子との親しい関係も影響したはず。大地震の倒壊を理由にして真田の長男に逃して貰ったもの。この長男と元上司の本田の娘と結婚させて徳川側に付かせたことも、今後出て来るのだろう。
    助かっても元の現場に戻れず、何とか上司を脅して浜松城へ戻ったら、苦手な事務方の馬廻役になり、家康と衝突しながら戦いの現場を熱望。
    今後の戦いの大きなものは北條戦と関ヶ原ぐらいか?
    今回の最後は百挺の鉄砲と200名の侍大将。足軽の頃が一番輝いていたかも知れない。

  • シリーズも10作目。
    茂兵衛も主君家康の近くでの奉公となったが、どうなるか?
    内に外に波乱が続くのは戦国ならでは。
    次は北条攻めあたりかな。

    作品紹介・あらすじ
    上田合戦で大敗した徳川勢の殿軍を務め、単騎で真田勢に突っ込み戦場に消えた茂兵衛。「茂兵衛、討死」の報に、辰蔵は泣き、寿美は愚痴り、八兵衛は悪態をつく。さらには無嗣子の植田家は改易の危機に。だが、ところがどっこい、茂兵衛は生きていた。戸石城の土牢に囚われながら、じっと味方の救出を待つ。戦国足軽出世物語、第10弾。

  • 地震の政治への影響や、米が主なタンパク質の元だったことや、大名の交渉ごとな、実態が見えることのおもしろさ。歴史小説ではなく、登場人物達が我々と同じ生身の人間と見えてくる。

    そうしたリアルさの中で、自分の分を知り転身する花井の存在や、家臣団をまとめる家康の苦悩などが、身に染みる。人は恐怖や欲得でころっと変わる。でも、信じて任せなければならない。
    難しいことは、変わらないのかも知れない。

  • Audible読了
    とうとう茂兵衛は家康の秘書兼SPになってしまった。
    「おいこら植田!」から「おいこら茂兵衛!」へと呼び名が変わった矢先だ。しっかり寵愛を受けている。良好な上司部下の関係ほどハッピーなものはない。いーなー。(妬み)
    これまで10巻分の苦楽を共にしてきた読者も、自然と頬が緩むというもの。
    一重に茂兵衛が、小さな不満を引き摺ることなく、人に対して常に誠実な心持ちで接してきたおかげなんだろう、と思う。見習わねばならない点だ。

    茂兵衛が家康に近付くにつれて、さらに徳川家康という人物の強さがベールを脱ぎ始める。ケチ、小心者はこれまでも再三出てきた。それが部下に対しては反転し、欲がない、恐れをもたないという要求に置き代わる。つまりトップと逆の人材が欲しいということだろう。酒井忠次、榊原康政、本多忠勝がまさにそうだ。この三武将は徳川家の中枢にありながら、なんと居城すらない。まさに茂兵衛も、これが故にSPへと引き上げられたのだろう。

    そこに非情と寛容さというキーワードも加わる。これは真反対の部下を持つだけでなく、政治手腕の話だ。要はアメとムチ。これができない茂兵衛は、真田昌幸にいいようにしてやられたのだ。
    茂兵衛の秘書昇格の意図は、こうした政の感覚を植え付けるためにあったと推察できる。逆に言えば、こうした大局観を教え込まれた茂兵衛が、今後どう動くかが楽しみでもある。巻末でとうとう部長格へと出世を果たす茂兵衛。
    ま、もはや私には関係ない世界へ行ってしまわれた感。(ひがみ)

  • 名古屋民としては、地元周辺の地名がわんさか登場してイメージもふくらみやすく、主人公はもとより家康までもが、「なごや弁だがね〜。」と、ツッコミたくなるような、歴史好きエンタメ好きにはたまらないシリーズです。
    また、例えば足軽時代ではその槍の持ち方から、戦い方まで、読者にも親切丁寧にわかるように物語は進み、勝った負けただけの展開ではなく、戦事情からこの時代の暮らしぶりまで随分と詳しく知ることがで来ました。今回、家康の拠点が駿府に移った事情もなるほど、と興味深かった。これだから歴史物はやめられません。書影もこの作品にとてもあっていてイメージをさらにさらによくしていると思います。次回も楽しみ❗️

  • 戦は無かったけど、今巻も私的にとても面白かった〜!
    伯耆の忠義に涙

    農民出身の茂兵衛と一緒に、戦や武家の思考について学んで理解していける過程に面白さがあってテンポも良い

    終盤、姉川戦に茂兵衛は負傷で参戦していなかったという一文があって、これは新シリーズ 姉川忠義 への布石なのかなと思ったり
    茂兵衛出ないのか〜残念!(笑)

    側近の馬廻役になったと思ったら次巻は侍大将に抜擢
    益々楽しみです!

  • 2023.2.15
    いや〜よかった。素晴らしい。
    茂兵衛は格好も付けず、最低限自分に正直に生きて出世するから本当憧れてしまう。
    自分は完璧に花井と丑松タイプだから茂兵衛みたいな上司と巡り合いたいけど、
    とにかく戦国時代に産まれないでよかった〜。
    平八郎も本当格好いいし、石川数正なんて男泣きです。
    頑張れ茂兵衛!

  • サクサク読めました。テレビ化しても面白いかも。
    (歴史学者の反対を押し切って)

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著者プロフィール

神奈川県出身。2000年に「連弾」が第25回城戸賞に入選し、経塚丸雄名義で脚本家デビュー。16 年「旗本金融道」シリーズ(経塚丸雄名義)で時代小説家デビュー。17 年『旗本金融道(一) 銭が情けの新次郎』で第6回歴史時代作家クラブ新人賞受賞。21年「三河雑兵心得」シリーズで「この時代小説がすごい! 2022年版」文庫書下ろしランキング1位。

「2023年 『どうした、家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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