今日もいい天気 原発事故編 (アクションコミックス)

著者 :
  • 双葉社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784575841930

感想・レビュー・書評

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  •  田植えが始まったのでしょうか、のどかな田園風景の中に煙が上がっていて、それが「キノコ雲」なんです。
     山本おさむさんのなかにある、言わずにおれない、描かずにおれないものが、実に素朴で実直な「マンガ」として描かれていて、胸打たれました。
     ブログに詳しく書きました。よろしければどうぞ。
      https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202109100000/

  • 山本おさむさんの福島暮らしマンガの続編。
    2011年3月11日、埼玉の仕事場近くで地震に見舞われた山本さん。
    当初は「数日もたてば交通機関等も含めてある程度元通りになる」と楽観的に思っていたようですが、自分もしかり、(後日話を聞く限り)首都圏にいる人は結構な割合でそんな風にどこかで思ってたような気がします。
    それがあの津波の映像を目にしたことで一気に気構えが変わり、さらに原発から湧き上がる謎の煙(水蒸気)の映像を見て「これは何が起こってるのか」と不安にかられたのを思い出しました。
    いまいち判然としない官邸からの発表を真っすぐポジティブに受け止めようとする反面「ホントか?」とどこか疑う自分もいて、山本さんが同じような葛藤を抱えていたという描写が当時の自分の心情をそのまま映しているかのようで、読んでいて少し苦しくなりました。

    マンガは奥様と飼い犬・コタちゃんの自主避難、埼玉での家探し、一時帰宅、敷地の除染…と続きますが、あわせて天栄村での2011年の米作りについても描かれています。
    日本一美味しい「天栄米」というブランディングが成功しかかった矢先に被災した天栄村。村の研究会の皆さんが心を折らず、放射性物質0の米作りを目指す姿にはただただ感服しましたし、遅ればせながらぜひ食べてみたくなりました。
    同時に、報道機関には食の安全について徒に消費者の不安を煽るのではなく、こういった結果をきちんと出している地道な取り組みを多数の人の耳目に触れるように報道してほしいと感じました。

    震災から5年以上がたち、当時のことを思い出したり震災について考えることもグンと減っていましたが、垂れ流される情報を鵜呑みにする危なさを再認識しましたし、疑問に思うことがあるのなら「自分の目と耳と頭」をもって正しい情報を得ようとする姿勢が大切なことを教えられました。

  • テレビのダッシュ村を見て田舎暮らしに憧れた筆者(漫画家・山本おさむ)は、妻のケイコさんの両親を引き取り、両親の出身地である福島の田舎の福里村(仮称・じつは天栄村)に家を買い、引っ越すことに。
    埼玉の仕事場でマンガを描き、あこがれの田舎で週末を過ごすという生活を始めた山本氏。その生活が描かれた『今日もいい天気 ~田舎暮らし編~』。イヌも飼い(この黒柴のコタがかわいいのだ)、ドタバタもありながら楽しい生活を送っていた山本氏だけれど、その生活を一瞬で奪ったのは東北の大震災と、その後に起きた福島第一原発の事故だった。
    渾身の怒りを持って描かれたのが同書『~原発事故編~』。
    氏の家のある福里村(仮称。第25話で天栄村であることが明かされる)は、地震や津波による大きな被害は免れたものの、原発の爆発によってたくさんの放射能を浴びてしまった。避難指示は出ていないものの、家の周囲を測ると高度の放射能汚染値が測定され、安心して住める所ではなくなってしまった。
    この『事故編』では、村の人々に起きたことをレポート、東電と政府に対する怒りが描かれる。
    ケイコさんの両親は震災前に亡くなったのだけれど、兵隊に行ってミミズをつぶして飲み、生きて帰ったという頑固なお父さんの生き方にも胸を打たれる。
    犬のコタを連れ、両親の位牌だけを持って埼玉に避難してきたケイコさんとの暮らしを始めても、自分たちだけが避難しているという後ろめたさはぬぐえず、天栄村に帰って家の周囲を除染しようとするが、とても素人の手には負えず、業者を頼むことに。震災直後のドタバタ、その後の政府や東電の対応、いっこうに進まぬ除染、山本氏の怒りは尽きないがそれでも自分はまだマシな方で、もっともっと困っている人たちはたくさんいるということも忘れてはいないのだ。
    原発立地の町、大熊町議の石田さんに会ったとき、山本氏は「なぜ原発を受け入れたんでしょうか」と質問する。「原発が来て どんなメリットがあったんでしょう」
    その答えに、山本氏は考える。
    この問いは、誰に問うべきだったのか、それは読者も考えるべきことなのだろう。

  • 山本おさむ『今日もいい天気 原発事故編』双葉社。

    天栄村の道の駅で天栄村を舞台にした漫画と紹介されいたのを見付けて、田舎暮らし編と共に購入。

    東日本大震災、福島第一原発事故により一変した自然豊かな天栄村の暮らしを描いたコミック・エッセイ。田舎暮らし編の面白可笑しい長閑な雰囲気とは全く異なり、著者の山本おさむの怒りと狼狽が描かれる。

    福島原発事故の直後、福島市内でさえ、20マイクロシーベルトを記録した。当時の風向きのせいで、天栄村にも放射性物質が降り注ぐ…当時の政府の原発事故に関する大本営発表により、多くの人びとが苦難の道を歩むことになる。

  • ●「今・・・町を占領してるのは雑草たちだ/あんたらが人間を追い出し雑草の王国にしたんだ/(中略)/防げたかもしれない悲劇が何度も繰り返されてきた/そしてそのたびになぜか俺たちは忘れてしまうのだ/その人たちが死んでも忘れる 病に苦しんでいても忘れる/血を流していても忘れる/俺たちは忘れ続ける 見ないようにする/今も忘れるという悪魔を退治できないでいる/(中略)/忘れるな忘れるな今度こそ忘れるな」

  • 原発はリスクが読めない、報道されない実態が少しわかりました。正しい情報を伝えてほしい、でも要望だけではダメで、正しい情報を判断するのは私たちであることを忘れてはいけません。

  • 原発の騒動が庶民レベルで描かれ、それに対して奮闘して未来にかける人々の姿がとても感動を覚えました。

  • 前作から3年
    元日本兵の義父も義母もすでに死亡
    犬のコタは引き続き元気

    奥さんと犬が福島にいる時に大震災
    錯綜する情報

    コメ農家の放射性物質対策
    プルシァンブルーも使用

  • 東京電力福島第一原発事故をきっかけに福島県から自主避難した主人公(作者)の生活を描いた作品。
    放射能への不安と東電や政府の対応への憤りが当事者目線で語られている。この事故によって、それまで普通に暮らしていた人々が一転して様々なそして強烈なストレスにさらされる生活を強いられている事を改めて感じた。

    あれから3年半。事故はまだ解決されないままだが、なんとなく世の中は事故のことを忘れて以前の生活に戻ってしまったように見える。あの日何が起きて、その時自分は何を考え、何を感じたのか。忘れないでいようと思う。

  • 福島に移住していた漫画家の山本おさむさんが自らの原発事故被災者としての実態をリアルに訴えています。
    当時の政府の発表や東電の対応に振り回される被災者としての苦しみや怒り葛藤がいやと言うほど伝わってきます。
    その一方で、福島の農業を守るために役場や農家の皆さんが必死に安心して食べられるお米作りに挑戦している涙ぐましい姿もしっかり描かれていて感動します。
    まんが以上の価値観ありです!

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