小説 牡丹灯籠

著者 :
  • 二見書房
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本棚登録 : 39
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784576201702

作品紹介・あらすじ

シリーズ第二弾。第一弾の「真景累ヶ淵」に続く三遊亭円朝の代表的作品でもある「牡丹灯籠」を近代文学研究家で作家の大橋崇行が小説化。
「お岩の四谷怪談」「お菊の皿屋敷」「お露の牡丹灯籠」と三大怪談の一つに数えられる本作であるが、実は怪談として語られているのは、前半の一部を切り抜いたもの。
本来の姿は愛憎と、主君の仇討ちにいたる複雑に入り組む物語である。本書では「牡丹灯籠」全体を余すことなく小説化している。
実力派落語家の柳家喬太郎が監修をする。

・大橋崇行:新潟県生まれ。作家、文芸評論家、東海学園大学人文学部准教授。20年に『遥かに届くきみの聲』にて第1回双葉社ルーキー大賞を受賞。ほかに『司書のお仕事 お探しの本は何ですか?』(勉誠社)、『ライトノベルから見た少女/少年小説史』(笠間書院)、『言語と思想の言説』(笠間書院)、『小説の生存戦略 ライトノベル・メディア・ジェンダー』(共編著、青弓社)など小説、評論など多数。

感想・レビュー・書評

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  • カラン、コロン…の謎を絡めた怪談落語ミステリの一冊。

    第一弾と同じく、あぁ、こういう話だったのね、と楽しめた。

    貴方がまたいらしてくださらなければ、私はきっと、死んでしまいますよ …なんて、恋に身を焦がした女性が夜な夜な化けてでるとしか…なだけにこの奥の奥へといざなう物語は改めて知識も定着し、これまた耳で聴いてみたい世界。

    しかもこの下駄の音をしっかりミステリのポイントとして仕立て上げているのも良かった。

    謎解きしながら炙り出される真相と因縁。

    やっぱり怖いのは人間の欲、黒一色の心。
    しかも女ほど濃い気がする。

  • 落語で牡丹灯籠を聴きに行くので、予習のつもりで読んでみた。これはビックリ。怪談と聞いてはいたが、おどろおどろしい怖さではない怖さが隠されていた。さらには涙なくしては読めなかった。こんなにも壮大な話を三遊亭圓朝という人は25歳程度で創作していたなんて、そっちの方が恐いかもしれない。


  • 幽霊のお艶がカランコロンと下駄の歯音を響かせ、愛しいひとのもとを訪う怪談「牡丹灯籠」を、宿世の因縁、仇討ちと絡め、幽鬼も生々しく美しく描いた時代小説

    北町奉行 依田豊前守政次が御用聞きに扮して活躍、怪談の真相を紐解、すっきりした余韻の江戸捕物帖です

  • 円朝の怪談咄「牡丹灯籠」をもとにした書き下ろし

    シリーズ第1作に続いてあまり幽霊は活躍しない。
    「幽霊より人間が怖い」という言葉どおり、悪人伴蔵が何人も殺し、事件が起こる前からの因縁がからみあう。怨念、愛憎よりも、欲がまがまがしいことを引き起こす。

    松浦シオリが描いた表紙の美しいお露の幽霊も、恋い焦がれて死んだのではなく、実は金を盗むために伴蔵が殺したもので、その幽霊に取り殺されたとされた萩原進三郞も、金の仏像を盗むために伴蔵が殺し、無関係の骨を置いて偽装したものだった。
    平行して、お露の父親で籏本の飯島平左衛門が、妾のお園と共謀した隣家の源次郎に殺されるが、真相は下僕の孝助が昔切り捨てた侍の子だと知って敵を討たせてから殺されるという物語があり、
    伴蔵が江戸から栗橋に行って商売を始め、同じく江戸を逃れたお園と懇ろになって、事件を覚えている女房を殺す。孝助が伴蔵と源次郎を討って、めでたしめでたしで終わる。

    今はもう聞けない落語で聞きたかった。

  • 二見書房の《小説 古典落語シリーズ》の2冊目、らしい。ちなみに1冊目は累ヶ淵。
    巻末に【主な登場人物と関係図】あります。巻頭に載せてよ…と思いつつ、ネタバレみたいな面もあるのかとも思い。
    「翻案モノ」って言うんですか、このジャンル。怪談ではあるけれど、捕物帖的要素が追加されてて、れっきとした時代ミステリに仕上がってます。面白かった。

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著者プロフィール

1978年、新潟県生まれ。作家、成蹊大学文学部准教授。専攻は日本近代文学。小説に『遥かに届くきみの聲』(双葉社)、『小説 牡丹灯籠』(二見書房)、著書に『言語と思想の言説――近代文学成立期における山田美妙とその周辺』(笠間書院)、『中高生のための本の読み方――読書案内・ブックトーク・PISA型読解』(ひつじ書房)、共編著に『ライトノベル・フロントライン』全3巻、『小説の生存戦略――ライトノベル・メディア・ジェンダー』(いずれも青弓社)など。

「2023年 『落語と小説の近代 文学で「人情」を描く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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