- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784577036808
感想・レビュー・書評
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(2012.08.27読了)(2012.08.24借入)
河合雅雄の動物記第6巻です。第1巻が1997年ですから、ずいぶん頑張っています。何巻まで出るのでしょうか。10巻ぐらいまでは頑張ってほしいものです。
とはいえ、著者は、1924年生まれということですので、この本が出たところで、84歳ということになります。
ニホンザル、ゴリラ、チンパンジー、ゲラダヒヒ、などの霊長類を研究していたはずなのですが、動物全般が好きなのでしょうね。
今回は、フィンランドのトナカイがテーマです。
トナカイ食べるもの、生活の環境、人間との関係や一緒に生きている動物、天敵など、物語を楽しみながら、わかるようになっています。オーロラ爆発などの話も出てきます。
【目次】
トナカイの小群
なぜ雌に角があるのか?
カッパの誕生
トナカイ遊牧民サーミ
夏の避暑地への移動
秋の駆り集め
コチポロになる
意地悪ハルマン
囲いの中の暮らし
脱走!
オーロラ爆発
ダイヤモンドダストの中へ
クズリに襲われる
運命的な出会い
水にもぐるヘラジカ
ひとりで生きる力
水遁の術で逃げのびる
ツンドラの集団死
さらば、幸福な日々
テーティオッタとの再会
野生に還る
トナカイとトナカイ遊牧について
●群れる理由(44頁)
一般的に、シカ類やガゼル類などの有蹄類が群れを作る大きな理由は、捕食者に対する防御のためだといわれる。有蹄類はおとなしい草食獣である。彼らはいつも、自分たちを食べようとする肉食獣や猛禽類などの捕食者に狙われている。
トナカイの場合は、「虫」である。
●鼻先の毛(71頁)
シカやウシなどの有蹄類は、鼻の先には毛が生えていない。しかし、シカ科の中でトナカイだけは、零下五十度というきびしい雪の世界で過ごさなければならないので、寒さを防ぐために鼻先も毛でおおわれているのである。
●狼の狩り(152頁)
狩りの原則は三つ、できるだけ近よること、一瞬のすきを逃さないこと、焦らないこと、である。
●ヘラジカの敵(177頁)
ヘラジカにとって、おそろしい敵は三つある。オオカミとヒグマ、それに人間である。
オオカミは一対一なら負けはしないが、集団で襲われると危ない。ヒグマは強敵だ。ただ逃げるより仕方がない。幸いなことには、スピードでヘラジカの方が勝っているから、早く発見すれば大丈夫だ。
いちばん怖いのは、人間である。鉄砲と犬という武器を持っているから、距離が離れていても、まったく油断ならない。
●レミング(206頁)
レミングの雌の一生は、子孫を増やすために奉仕しているようなものだ。雌は生まれて二週で妊娠し、お腹の中で十六~二十三日育てると、五~八匹前後の赤ん坊を生む。一年に六~八回も出産する。ただし、平均寿命はわずか二年という短命だ。
☆草山万兎の本(既読)
「ゲラダヒヒの紋章」草山万兎著、福音館書店、1978.04.25
「サバンナの二つの星」草山万兎著、福音館書店、1982.06.30
「ジャングルタイム」草山万兎著、理論社、1985.02.
「星から来たペンギンの話」草山万兎著、小学館、1995.12.20
「サッカー選手アルマジロの話」草山万兎著、小学館、1996.02.20
「ボルネオ島の猿人の話」草山万兎著、小学館、1996.03.20
「河合雅雄の動物記1 ゲラダヒヒの星」草山万兎作・薮内正幸画、フレーベル館、1997.11
「河合雅雄の動物記2 カワウソ流氷の旅」草山万兎作・金尾恵子画、フレーベル館、2000.02.
「河合雅雄の動物記3 大草原のウサギとネコの物語」草山万兎著・金尾恵子画、フレーベル館、2001.11.
「河合雅雄の動物記4 三羽の子ガラス」草山万兎作・金尾恵子画、フレーベル館、2005.02.
「河合雅雄の動物記5 森のイノシシ王ダイバン」草山万兎著・金尾恵子画、フレーベル館、2007.04.
(2012年8月27日・記)詳細をみるコメント0件をすべて表示