兵農分離はあったのか (中世から近世へ)

著者 :
  • 平凡社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582477344

感想・レビュー・書評

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  • 中近世を区別する一つとされる兵農分離について、研究概念を構成する要素別に実像を再検討する内容。研究史とその到達点が整理されていて、身分制や近世知行制・居住形態の形成・変遷過程など興味深く読めた。

  • 答えは「兵農分離はなかった」素人の思いつきだったw
    兵農分離5つの形態は全て嘘です(´・ω・`)
    1.農民兼任が軍事専門へ
      農民は軍役しません(陣夫=非戦闘員)
    2.武士が田畑を手放す
      百姓の土地を奪う行為の禁止とか 
    3.武士は城下町へ
      領地支配(在郷)で困窮から回復もOK
    4.百姓武装禁止
      藩より数倍鉄砲所有している
    5.武士と百姓の身分移動禁止
      百姓から郷士や奉公人が供給される

  • 2017/12/13 初観測

  • 兵力の強化を志向する権力者によって身分制の確立を促進する兵農分離が行われ、それが近世への道を開いたというのが定説であるが、それがはっきり目指されたのではなく、戦国→織豊→江戸時代へと社会状況の変化に従って醸成された武士と奉公人、百姓それぞれの思惑に対処する政策(地方知行制→俸禄制など)が行われたことによって結果的に兵農分離の状態になっていったという。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    信長や秀吉が実施した政策として有名な「兵農分離」を詳細に解説している。
    結論から書くと「兵農分離」時代を目的とした政策は存在しておらず、他の目的のための政策が結果的には兵農分離に近い状態を生み出していたということになるのだろう。
    それにしても、はじめに兵農分離というものが、そもそもどのような内容であるかを定義することから始まり、兵農分離に関連した政策を紹介し、それらが何を目的としていたのかを分かりやすく知ることができた。

  • まず、めっちゃ読みやすかったね。
    その上、資料が原文>読み下し文>現代語訳という親切設計。
    これは、無理に新書にしないでソフトカバーに変更したのが大正解だったね。

    そして、内容。
    まず、「兵農分離』って言うけど、それはなんぞや。
    から始まって、『兵農分離』を要素毎に分解し、その各要素について、資料を基に『本当はどうだったの?』ってのを分析し、かつ、確証毎に最後にまとめがある。(とても読みやすい)

    結局、中央政権の政策としての『兵農分離』は無かったのでは?というのが著者の結論。
    ・別の意図のある政策が、『兵農分離』を推進する効果があったこと。
    ・下からの要望に添った結果、『兵農分離』といえる状況が進んだこと。
    ・ただし、地域差がかなりあること。

    まるで、「下からの中央集権」?
    (そして、この蓄積が明治維新以後の展開にも生かされているのだろうなと)

  • 東2法経図・開架 210.47A/H64h//K

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著者プロフィール

平井上総(ひらい・かずさ)
1980年生まれ。現在、藤女子大学文学部准教授。
主な業績に、『長宗我部氏の検地と権力構造』(校倉書房、2008年)、『長宗我部元親・盛親』(ミネルヴァ書房、2016年)、『兵農分離はあったのか』(平凡社、2017年)、『列島の戦国史8 織田政権の登場と戦国社会』(吉川弘文館、2020年)、『長宗我部元親』(シリーズ・織豊大名の研究1、編著、戎光祥出版、2014年)などがある。

「2022年 『戦国武将列伝 10 四国編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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