秀吉の武威、信長の武威:天下人はいかに服属を迫るのか (中世から近世へ)
- 平凡社 (2018年2月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582477375
感想・レビュー・書評
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天下人が対外的に誇示する権勢を「武威」と捉え、それが表明された書状を詳細に読み込むことで、二人の権力者としての共通点と差異を示す内容。特に信長の政治的な到達点の再評価を、こうした視座から行う点は興味深いものがあった。
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秀吉の武威、信長の武威とくれば、家康の武威についても何かしらあってもよかったのに残念だった
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信長・秀吉の武威アピールによる他大名従属化プロセスを描く。そこに部下の自己利益追求も絡む。「朝敵」のレッテル利用なども。
この本では藤木久志の惣無事令は否定してる。惣無事令は一世を風靡した。ゲーム信長の野望でも惣無事令が登場する。京と日本の半分ほどを支配すれば惣無事令発布でゲームクリアになる。
実際には、惣無事令=平和みたいな簡単なことではなかったとする。あくまで秀吉と秀吉方の武将、他大名との属人的関係の積み重ね、みたいな感じ。 -
副題は、天下人はいかに服属を迫るのか。(2018年刊)
・はじめに
・序 章「武威」から見える天下統一の実態
・第一章 秀吉の九州「停戦令」
・第二章 秀吉の奥羽「惣無事」
・第三章 秀吉の武威と静謐
・第四章 信長と奥羽
・第五章 信長と九州
・第六章 信長の武威と東夷
・終 章 「武威」から見えた二人の違い
・おわりに
面白くて、読みやすく、為になる本には、なかなか出会えるものではないが、本書はそれらを兼ねていおり、久々に楽しく読む。
本書では、惣無事令の再考を促しているが、九州の事例と奥羽の事例を取り上げ、武威をキィワードに、二人の天下人が、遠国に対して影響力を強めていく過程を丹念に追いかけている。
自分の理解では、秀吉の停戦令に対し、島津側が無為無策だったイメージが強いが、本書によると、島津氏としては臣従していたこと。秀吉側の国分け案が実情を考慮しない乱暴なものであったことなどから、拗れてしまったようである。それにしても毛利輝元はひどい奴だ。
奥州情勢については、伊達氏と織田氏の通交の早さに驚かされる。安藤氏の動きも興味深い。日本海側のつながりについて、重要性を認識させられた思いがした。
本書は、天下人秀吉、天下人信長を知る上で欠かすことの出来ないお勧めの1冊である。 -
東2法経図・6F開架 210.48A/Ku77h//K