神々の赤い花: 人 植物 民俗

著者 : 西川照子

• 平凡社 (1990年6月1日発売)

感想・レビュー・書評

[サマさんの感想 · 2022年5月18日]

薔薇、桃、桑など身近な草木から故事や日本の神話、民間伝承をひも解いていく本。
「植物の神秘はあるいは人間のグロテスクな誤りの産物かもしれぬが、私はそのグロテスクな誤りこそが、人の心の中（欲望）より出た”本当のこと”ではないかと思っている」
植物とそこに託された願い、神との縁を丹念に掘り起こしており、するすると導かれる神話に驚くばかり。しかし私の教養がなさ過ぎて、「〇〇といえば名前から察せられる通り△△だが」とか書いてあっても全く察せられなくて笑う。遊女の花にして鉱山ともつながりが見える椿の話が面白かった。

著者プロフィール

西川 照子（にしかわ　てるこ）
出版・編集企画制作集団エディシオン・アルシーヴ主宰。専門は民俗学。主な著書に、『神々の赤い花』(平凡社)、『昔話のむかし』(エディシオン・アルシーヴ)、『幻の、京都』(光村推古書院)、『金太郎の母を訪ねて』（講談社選書メチエ）が、主な編著に、『日本の伝統工芸7 京都』(ぎょうせい)、『人間の美術7 バサラと幽玄』(学習研究社)、『花』、『京老舗』(以上、淡交ムック)、『白川静の世界』、『陰陽の世界』、『カタリの世界』、『梅原猛の世界』(以上『別冊太陽』)がある。

「2019年 『京都異界紀行』 で使われていた紹介文から引用しています。」