今和次郎 思い出の品の整理学 (STANDARD BOOKS)

著者 :
  • 平凡社
3.44
  • (2)
  • (3)
  • (2)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 99
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582531732

作品紹介・あらすじ

考現学は未来を考える立場だ──。ジャンパーを着て日本中を歩き回り、民家、服装、都市文化、世相など現代風俗研究に前人未到の足跡を遺した第一人者が綴る生活者の視線。栞執筆=村上慧(美術家、『家をせおって歩く』著者)

(目次)
鈍才先生
  *
考現学とは何か
ユニホーム以前のこと
「考現学」が破門のもと
下宿住み学生持物調べ(2)
物品交換所調べ
  *
民家の旅
雪国の民家
物干竿
子ども部屋不要論
カマド道楽
室内というものの現実
景色買い
  *
郊外・街路・書斎
早稲田村繁昌記
風俗は動く
うつりかわり
学ぶ態度と教える技術
人づくりの哲学
ジャンパーを着て四〇年
坑内帽
結婚披露の会での演説

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 考現学を始めた若い頃の話から高度成長期の暮らしや晩年の思い出話などどれをとっても今和次郎らしさに満ちてる。欧州遊学の話、トレードマークの菜っ葉服、家族との生活の話など楽しかった。「家をせおって歩く」村上慧さんの栞の文も良い。

    • ☆ベルガモット☆さん
      111108さん、こんにちは。

      こちらの本ですね!
      トレードマークの菜っ葉服って個性的ですね。
      考現学というのも気になります。
      ...
      111108さん、こんにちは。

      こちらの本ですね!
      トレードマークの菜っ葉服って個性的ですね。
      考現学というのも気になります。


      2022/09/02
    • 111108さん
      ベルガモットさん、こんばんは。

      そうです!菜っ葉服ってブルー系の作業服らしいのですが、「菜っ葉服」の呼び名の方が今和次郎さんに似合います。...
      ベルガモットさん、こんばんは。

      そうです!菜っ葉服ってブルー系の作業服らしいのですが、「菜っ葉服」の呼び名の方が今和次郎さんに似合います。考現学はまた科学者たちとは違う切り口の面白さあります。
      2022/09/02
  • 全く知らない人物だった。恥ずかしながら、考現学というのも初めて知った。
    とても面白い人だと、その面白さが文章にも感じられる。
    今、目に映っているもの、それを収拾せずにはいられない人だったのだろうな。ただ、データを集めることに力が注がれているので、そこからの考察という部分において少し弱い。
    もちろん、研究をするには、まずは蓄積されたデータがなければいけない。復興する東京を記録したという功績は大きいし、新しい学問を立ち上げるとはそういうことなのだろう。
    でも、ちょっととっちらかっている感じがする。
    しかし、そこが愛嬌で、そういう人柄だったのだろうとの想像に難くない。

    しかし、今期はかなり民俗学に偏っている気がする。
    ちょっと科学的な部分が足りないのでは?

  • 今和次郎さんのバラエティブック。考現学を始めた頃の文章もよかったが、歳を経てからの文章もまたよい。民俗学から生活学(家政学?)への変化というのも、なんとなく飲み込めた気がする。
    個人的には、「ジャンパーを着て四十年」が最高。

  • ひとつひとつが短くて読みやすいし文から伝わってくる筆者の人柄がよかった

  • 関東大震災(1923年)の焼け野原に生まれた仮住まい「バラック」を研究した方だという話に興味を引かれて読んでみた。

    今和次郎氏がはじめられた考現学については初耳だったが非常に面白い学問だと思った。大昔の生活や、想像もつかない異国の生活、あるいは貴族や最下層民など極端な生活ぶりは人の興味を引くから記録に残りやすいが、自分たちの生活は当たり前すぎて研究対象にもならないまま変化し消えてゆく。実は資料が1番豊富なのにもかかわらず。だからそれをあえて記録してやろうというわけだ。

    もちろん学問としてはすでに民俗学があるけれど、どっちかというと目線は懐かしい過去に向いていて、わざわざ自分の家に散らばる生活用品などを記録したりはしない。一方、考現学は現在から未来を志向しているそうで、対象との距離がないような、あるような、不思議な目線で、すべてを克明に記録してゆく。

    ある意味で距離がゼロ、でも距離がある。言うなれば「地球を視察にきた宇宙人」のような視線だ。しかも、今和次郎氏が残した考現学の資料は 、100年後の私たちにとっては正真正銘の「知らない世界」だから、より一層面白く見れてしまう。たぶん500年後の読者ですら今和次郎氏の視線に共感できるのではなかろうか。そういった意味では、まるでタイムマシンかVRのようでもある。私たちは彼の視点から当時を体験することができるのだ。民俗学ではここまでの解像度は出ないと思う。

    今和次郎氏による味のある図解つきの「下宿住み学生持物調べ」など、部屋の匂いまでただよってくるようだった。

  • 「鈍才先生」から始まる。イラストも楽しい。なんだか気持ちが伸びやかに朗らかになる気がする。

  • 考古学に対する考現学。

  • 20191123 中央図書館
    考現学かあ。できるだけ虫の目で、まず集めるということが大事なときもある、ということかな。ボトムアップの思想だ。

  • 図書館で予約して借りた本。これ、マーケティングやってる人は読んだ方が良いのではないかな?というかんじ。ただ昔の風俗に関しては特に雑知識としてしか生きないかもしれないが。コンワジロー、実は大人になってから知った名前なんだ。お恥ずかしい。

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1888年、青森県弘前市生まれ。建築学者、風俗研究家。1912年、東京美術学校図案科卒業。17年頃から郷士会へ参加、柳田国男らと農村・民家の調査を行う。20年~59年まで早稲田大学教授。23年の関東大震災後、吉田謙吉とともに「バラック装飾社」や「考現学」を始める。その後の研究範囲は服飾・風俗・生活・家政にまで及んだ。73年没。

「2022年 『ジャンパーを着て四十年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

今和次郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×