フィレンツェ旅行を思い出しながら読み進めた。副題の通り、パトロンたちが主役であり、彼らが都市フィレンツェをどのように飾り立てていったのか、その背景にはどのような社会的背景があったのか、詳説されていた。
制限があるからこそ、想像力はいかんなく発揮される。そのことを、ここぞとばかり思い知らされた。
特に、建築について。ブルネレスキからミケロッツォ、サンガッロにいたるまで、注文主とどのようなやりとりを行ったのかを知ると、より一層その凄さがわかるように思える。
あと、ブランカッチ礼拝堂の注文主、フェリーチェ・ブランカッチの話。制作背景よりもその人の人生や人となりの方が面白かったとは!あの人間くささ…確かに、マザッチョとマゾリーノによるあの装飾は素晴らしい構図で、絵画作品としても見どころ満載だ。そのことは、アルベルティの絵画論でも例に挙げられていていることからも、当時から高い評価を受けていたことがわかる。しかし、それ以上にフェリーチェの波乱万丈だけれども必死に商人として生きる姿。フィレンツェ市民の、儲けと誇り、というモットーのもと躍進する姿。その過程で実現された、最高の美術作品。たまらん。
最近ネットで、何で歴史がつまらないかって、人物のキャラがみえてこないからだって言いあってたけど、まさにそう。こうやってキャラがみえて、ようやく同時代的な解釈が可能となり、より身近なものと美術史もなっていく。
しかしただの社会史にならないようにしなくてはならない。社会史のみならず、アプローチの仕方は様々だが、つねに中心には絵画があってほしい。最後は、ヴィジュアルに落ち着き、なんておもしろい、興味の惹かれる作品なのだと思わせる研究が重ねられることを願う。
あとがきにて、クアトロチェントに対する見方が変わってくれたら本望だ、という言葉があった。変わったというか、視野が広がったという感じ。共和制の仕組みは色々と読んでも、理解するのは大変だす。再び勉強になりました。カタストがね…資産税についてがね…_| ̄|○