牧野富太郎: 私は草木の精である (平凡社ライブラリー し 16-1)
- 平凡社 (2022年10月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784582763881
作品紹介・あらすじ
世界的な植物学者牧野は、学歴としては小学校中退であったが、後に新・変種約2500もの日本の植物の命名を行った。自らを“草木の精”と呼ぶ偉大な学者の生涯。解説=荒俣宏
感想・レビュー・書評
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わたしにとっては,何冊目かの牧野富太郎の評伝。なかなか面白く読めました。
「富太郎自叙伝」の全てを網羅しようというわけではないので,最初に読む本としては,お薦めしません。はじめて牧野富太郎について知りたい方は『牧野富太郎自叙伝』を読んでみてください。
本書の内容では,わたしは,特に晩年の富太郎および牧野富太郎記念館などの話に興味を持ちました。そして,高知にある記念館や植物園を訪問してみたくなりました。
また,文庫本に寄せた,荒俣宏氏の「解説」も貴重な文章です。牧野富太郎を他の人物から見るという視点は,多くの著作にあたらないと分からないことですからね。南方熊楠との因縁もあったりして,こちらの方も,少し読んでみたくなりました。
自分自身が本気で興味をもてるものを知り,そのことを信じて疑わない者には,誰もが道を譲らなければならない。なぜならそのような人程,真剣に生きている人はいないからである。(本書,215ペ)
いい言葉です。富太郎の周りに起きた様々な抑圧,それを跳ね返して力強く生きていく「植物の精」としての富太郎。変人といえば変人だけど,嫌いにならないですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
植物学者といえば、必ず名前があがる「牧野富太郎」
彼は、95年の生涯をどう生きたのか…
1862年に高知で生まれた牧野富太郎
(このとき、坂本龍馬はまだ生きているので、不思議な感じがします)
豪商の跡取り息子として生まれながら
早くに両親を失い、祖母に大切に育てられていきます。
幼くして本格的な学問にふれたため、小学校が設立されてもなじめず
14歳にして自主退学
以来「独学」の道を歩むことに。
山を歩き、花に出会ううちにもっと知りたくなった富太郎は
医師より1冊の本を借り受け、筆写を始めます。
そして、本格的に学ぶために東京へ向かい
「植物学者」としての道を歩き始めるのですが…
その熱心な姿勢に多くの人の支持を受けながら
ときにその才能を妬まれ、困難な目に遭うかと思うと
いつも支援者が現れるということの繰り返し。
すべてを植物の研究につぎ込むので、常に金に困っているのに
苦に感じない泰然自若の姿勢。
不思議な魅力にあふれた人柄にあきれるやら感心するやら。
巻末では、牧野植物園の由来にもふれていて
とても興味深かったです。