素白随筆遺珠・学芸文集 (平凡社ライブラリー い 31-2)

著者 : 岩本素白

• 平凡社 (2009年5月12日発売)

感想・レビュー・書評

[ktymknjさんの感想 · 2020年10月11日]

随筆部分は以前購入したときにすぐに読んでしまったのだが、学芸文集部分がちょっと難しく積読状態だった。先日麻布十番関係の本を読んで、素白が出てこないことがちょっと残念だったので、この本のことを思い出し手に取って見たらなんとか読めそうだったので読み切ったもの。
随筆はいつもながら見事。うまく表現できないが、清澄とか枯淡とかに近い境地だと思う。著者の書いている「超俗的非世間的消極的」であることはもちろんだが、例えば荷風などとはちょっと違う世界。なんというか非俗の押し売りをしないというような感覚だと思う。
その辺については学芸文集に取り上げられている清少納言・兼好法師・木下長嘯子などとも違うところ。こういう境地をできればまねをしたいもの。私のような俗人には無理か…