柳宗理 エッセイ

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 216
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582831603

作品紹介・あらすじ

プロダクト・デザインのパイオニア柳宗理が88歳を迎えて刊行する、初のエッセイ選集。デザイナーの「服」と「手」がこの一冊に。

感想・レビュー・書評

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  • 白い陶器
    「模様というものは本来手工業的なもので、合理的に生産される機械製品には、技術的にそぐわない。」
    バタフライスツール
    イームズチェアの技術を元に試行錯誤し、結局、椅子になった。畳の上での使用を想定していたが、後に中央を凹ませ4点設置になり、世界中に広がった。

  • ★5つじゃ足りないくらい、すばらしい本に出会えた。これ1冊で美しいものづくりとはどのようなものかが理解できる気がした。

    特に、父であり民藝運動の中心人物であった宗悦の考え方を、工業の中心が手工業から機械工業へと変遷する中でどのように昇華させていったのかについては興味深かった。直近に宗悦の考え方に触れ現代社会にはなかなかそぐわないのではと疑問に感じていた自分に対して、ひとつひとつ疑問に答えてくれている感覚におちいった。

    また、現代の生活の中にある美しいものを紹介している章では、形容が印象的だった。美しいものは「確かり(しっかり)」していて、「健やか」で、「ふっくら」しているという。この感覚は自分のものを見る感覚と非常にマッチしていた。誰しも本能的にはそうなのかもしれないが、余計なフィルターがかかったものの見方が多すぎるのかもしれない。

    現代のものづくりにおいて、ぜひバイブルとなって欲しい一冊である。

  • (図書館)柳氏のデザイン論と自作の解説、国内外のプロダクトを取り上げ解説。背筋ピーンとなる良書。

  • 残念、自分にとって、内容が濃くて、期限内に読み切れなかった。
    乞う!再挑戦!

    デザイナーは、感覚さえ研ぎ澄まされていればいいものばかりだと思っていた、浅はかな私。
    著書は、柳宗理のコラムを色々集めたもの。
    論理的に、技術的、民芸的、実験的、、、と、多岐にわたる視野にて、見つめられている文章の数々。
    この間、初めて柳宗理のフライパンを真近で見る機会があったが、その美しさに目を心をとらわれました。
    柳宗理氏の思想をかいま見られる、著書となっております。

  • 柳宗理の厳しいデザイン哲学がぎっしりつまった一冊。その造詣は野球のボールや自転車のサドル、亀の子束子などにおよび、日本古来の纏(まとい)やしめ縄を考察する。そして良い製品とは、使ってみて便利なもの、丈夫なもの、長持ちするもの、気持ちの良いものとあると書かれている。柳宗理の文章には、読者の背筋をピンと立たせるものがある。

  • デザインとは触発されるものでなくそこにあるもの。感性がうごくかたち、そこにあるれば役目のわかるアフォーダンス。

    無駄なものはなく、必要なものはそろってる。

    人間の目は純粋なものに感激し、憧れる。

    伝統の美と創造からしかデザインはうまれない。

    デザインは線を引くことじゃない。

  • 健全な社会に、健全なデザインは生まれる。

  • 工業デザイナー、柳宗理のエッセイ集。徹底したモダニスト。父の民藝運動と自身の活動の差異と共通性を意識しながら、今日的な大量生産品の中での機能美を追求した氏の考えがよく見える。

    良くデザインされた、誰でも手の届く工業製品として、柳宗理のプロダクツは現在の私たちも気軽に手にとって使うことができる。同様の思想でつくられた海外のデザイナーのプロダクツ(イームズにしろスタルクにしろ)が、日本に来ると高値になっていることに、輸入代理店は猛省すべきだ。

  • 見た目は分厚いが、意外とすんなり読めてしまう。工業デザインの方法、経済との関わり、教育のあり方など、幅広くデザインについて語る。日本の工業デザインのパイオニアであり、現場を大事にする柳ならではの考え方は、今もなお新鮮に聞こえる。
    しかし忘れてならないのは、柳の考え方以上に、その造形感覚だと、僕は思う。手の運動から生み出される、あのふっくらとして優しい形は、誰にも真似できるものではないし、デジタル化なんてもっての他である。バタフライやエレファントなどのデザインが、柳の主義・主張から可能になったものではなく、その「手」から生まれたものであることを、忘れてはいけない。

  • ものへ、文化への真摯な態度はデザイナーの(当たり前の)あるべき姿。怒りも原動力。

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