わたしの木、こころの木

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 118
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (79ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582836677

感想・レビュー・書評

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  • 森をつくり、水を清め、生きる糧を与えてくれる木々。昔から共にある大きな存在に、人々は畏敬の念をもって神を見出し、抱かれるような安らぎを覚える。

    荒ぶる力に根こそぎ薙ぎ倒され、荒れ地に横たわるクロマツには、豊かな自然と、人々と共に暮らした明るい記憶がいつまでも残る。

    「私はこのままここにいて、背中や腕に、
     子供たちの笑顔の花を咲かせたいのです」

    ルリユール、大きな木のような人、チェロの木、木の赤ちゃんず、いせさんの描いてきた木々のスケッチと記憶が12の物語になっています。

    「空を向いて残ったわずかな手で、
     わたしはひとひらの青空をつかもう
     折れた腕を全て大地に沈み込ませ、
     わたしはわたしの新しい根になろう」

    クロマツの再生への希望を残して。

  • クロマツから始まり、色んな木をめぐり、またクロマツに戻る12の物語。
    大震災と大津波のあと流されたどり着いた場所で根の裏側をさらしたまま倒れているクロマツ。
    いせさんはその1本のクロマツに「描いてくれますか…」と呼びとめられた。
    いせさんが初めて描いた被災地の風景、それがクロマツだった。
    クロマツの絵も一緒に書かれている文もとても重く悲しい。
    最後クロマツに少し希望が見えてきて嬉しかった。
    また菜の花の海が見られるといいね。
    クロマツ以外の絵もお話もいせさんらしさが出ていてとても素敵。
    いせさんは木と心が通じ合ってているのだろうな。
    これからもずっと語り合っていくのだろうな。

  • 絵本作家<いせひでこ>さんのスケッチ帖から、12の記憶と木をめぐる心の風景を語った創作絵本です。東日本大震災で被災した亘理吉田浜(わたりよしだはま)に、根こそぎ倒され流されたクロマツから始まり、枯ゆくクロマツで終わる12の物語は、サクラ、ケヤキ、アカシア、ドングリ、ブナ、ヤドリギなど、木々との詩情あふれる語りで彩られています。 鳥たちがさえずる「とりの木」、タヌキの舞う「たぬ木」までもが登場しての、郷愁をそそられる癒しの絵本です。

  • いせさんの描かれる木が本当に素晴らしい。何度見返しても見返しても感動する絵。見るたびにまた新たに心に響く絵。じーっと見つめ続けたい絵。ページをめくり、お話しをじっくり味わう毎に、何かのエネルギーが静かに伝わってくるよう。読み終わったら心と身体が綺麗になったような気がした。

    • naosampoさん
      本当に本当に感動したんですね。レビューから感動が伝わってきました。(^^)
      本当に本当に感動したんですね。レビューから感動が伝わってきました。(^^)
      2017/05/03
  • 木の根の裏側が印象的で即購入を決めた一冊。洪水すれすれの大雨の後、河川敷に取り残された流木が同じような姿をさらしていて、二度どきりとしました。この本を手にしているお客様に読み終わった頃にお声をかけたら、泣いていらっしゃいました。心の深いところに届く本です。

  • とても良かった。

  • 雑誌『婦人之友』2013年4月~2014年3月号に連載された、スケッチ帖に添えた12のお話。タイトル通り、すべて木に因んだ物語。東日本大震災で被災した亘理吉田浜(わたりよしだはま)のクロマツで始まり、同じクロマツで終わります。どのお話もいせひでこさんらしさが漂い思わず頬が緩む美しさがありました。やっぱりいせひでこさんは絵と文の両方を描き続けてほしいな。お気に入りはアカシア(札幌市)と最後のクロマツかな。前者は女の子の服装からして『ルリユールおじさん』のモデルみたい。後者は菜の花畑と言葉の調和が絶妙。

  • 木にまつわる12の物語。
    一際印象的なのは、東日本大震災で倒れたクロマツのお話でした。

  • いせ ひでこ

  • これって大人向けの絵本かな?

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著者プロフィール

[著者紹介]いせひでこ(伊勢英子)
画家、絵本作家。1949年生まれ。13歳まで北海道で育つ。東京藝術大学卒業。創作童話『マキちゃんのえにっき』で野間児童文芸新人賞を受賞。絵本の代表作に『ルリユールおじさん』『1000の風 1000のチェロ』『絵描き』『大きな木のような人』『あの路』『木のあかちゃんズ』『最初の質問』『チェロの木』『幼い子は微笑む』『ねえ、しってる?』『けんちゃんのもみの木』『たぬき』など、単行本・エッセイに『旅する絵描き』『七つめの絵の具』『わたしの木、こころの木』『こぶしのなかの宇宙』『猫だもの』『見えない蝶をさがして』『風のことば 空のことば』など多数。


「2022年 『愛蔵版 グレイがまってるから』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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