英文学者がつぶやく 英語と英国文化をめぐる無駄話

著者 :
  • 平凡社
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本棚登録 : 133
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784582839128

作品紹介・あらすじ

試験に絶対出ないユニークな英単語、異様に長い地名、階級や地域と密接に結びついた発音の違い……イギリス英語を通じて、リアルな英国社会と文化が見えてくる!

感想・レビュー・書評

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  • 絶対に試験に出ない英単語、長い地名「Llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch」、英国のスーパーで見る階級社会、There is no rule without exceptions(例外のない規則はない)話など、おもしろおかしい話が繰り広げられる。大学の英文学科の講義を聴いているような、タメになるかと言われたら頭をひねるけれど無駄な知識でもないような、そんな一冊。

    p82
    「l」と「r」を区別する、練習方法を紹介しておこう。用意するものはティッシュペイパーを一枚。たいていは二枚で一組になっているから、剥がして一枚にした方が使いやすい。こ一枚のティッシュペイパーの端を軽くつまんで、自分の鼻に当てて口の前に垂らす。そして、「lice/rice」でも「light/right(write, wright)」でも何でもよいから「l」と「r」で対になってきる単語を発音する。この時に、「l」を発音する瞬間にはティッシュペイパーが動いてはいけない。「r」では逆に動かなければいけない。というわけで「l」と「r」の発音を身につけたら、次は「th」である。これはまず舌の先端を上下の前歯で軽く噛む。そして声帯を使わずに息だけで発音するのが無声歯擦音「th」、声帯を使うのが有声歯擦音の「th」である。

    有声歯茎閉鎖音「d」と無声歯茎閉鎖音「t」は先ほどの「l」の時と同様、舌の先を上歯茎に当てて、その位置で息を破裂させて発音する。有声両唇鼻音「m」は唇を閉じたまま声帯を使って発音する(ちなみに、この音は幼児が最初に覚える子音であり、したがって多くの言語において「母親」と「食べ物」を意味する幼児語は「m」で始まる)。有声歯茎鼻音「n」は舌の先端を「l」や「d」と「t」の時と同じく上前歯の付け根に当て、唇を少し開いた状態で声を出す。日本語の「ン」というよりは「ンヌ」に近い音になる。舌先をこの位置に当てていないと、たとえば現在分詞(〜ing)の語尾のような「ング」という音(有声軟口蓋鼻音)になってしまうので注意されたい。

    p189
    英国の水道水はカルシウム分を多く含む硬水であるため(中略)、紅茶の色と味は濃く出るが苦味はあまり出ないのである。日本で紅茶をあまり濃くしすぎると苦くなってしまうが、英国ではそのようなことはない。英国から茶葉を買って帰って来て、日本で淹れて飲んでも現地で飲むのと同じ味がしないのは、もちろん気分の問題もあるが、このように水質の違いのためでもあり、科学的にも根拠があることなのだ。しかし、有難いことに、日本の水質に適した茶葉もちゃんとある。英国のスーパーならどこにでもある「ヨークシャー」という紅茶(リーフティーとティーバッグの両方がある)がそれである。(中略)ただし、よくヨークシャー紅茶にはロンドンの水質に合わせたブレンドもあるので、間違えてこれを買わないよう注意されたい。オレンジ色のラベルがハロゲイトの軟水用、金色がロンドンの硬水用だ(日本の百貨店などの「英国フェア」では、なぜかこの金ラベルばかりを-それも法外な価格で-売っているのをよく見かける)。

    p192
    (前略)日本の喫茶店の中には、紅茶用のミルクを温めて持って来るところがあるが、加熱した牛乳は独特の臭いを放つので、紅茶の味と芳香を著しく損なう。

    p193
    (前略)熱い紅茶の上にミルクを注ぐとミルクの中の蛋白質が紅茶の熱で変性して風味が落ちる

  • 雑学本。
    〜フォビア(恐怖症)や地名に関する雑学、イギリスの紅茶事情など色々。ビアトリクス・ポターの話が一番面白かったかも。

  • ネットで一部抜粋されていたエリザベス女王の発音の話が面白かったので購入。そう言えば大学くらいまでは、アメリカ英語っぽく読まなければダメだと思っていた。
    女王の発音のエピソードをイギリス人に紹介したら苦笑されたが、人によっては本気で怒るかもしれない。

  • ユーチューブで英語の言語学者さんが紹介されていて興味をもったので読み始めた。
    前半はおおなるほどへぇー!?って感じだったけど、6割過ぎたあたりからちょっと飽きてきた。

    ビートルズとか、読み間違えがジョークのようになっているところなどは楽しく読めたが、地名に関する細かいところなどは目が字を追うだけでなんにも頭に残っていない。

    衒学的な雰囲気を感じる。理解できないフレーズが提示されて数行後に回収されるなどといった、ある意味ではフックの効いた感じがあるが、何度が続くとまたかと思う。興味深い話ではあるのだが、仕掛けとしてはちょっとくどいかなと。

    なによりイギリスと英語に関する雑学の本ですから、自分が全く興味のないこともたくさんあるので仕方ないですな。

    今のところは8割方読んだところ。
    ただ、フィニッシュする自信がないなー。

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著者プロフィール

あんどう・さとし
大妻女子大学比較文化学部教授。
【著書】
『ファンタジーと歴史的危機──英国児童文学の黄金時代』
(彩流社、2003年)、
『ナルニア国物語 解読──C.S.ルイスが創造した世界』
(彩流社、2006年)、
『英国庭園を読む──庭をめぐる文学と文化史』
(彩流社、2011年)ほか。

「2019年 『ファンタジーと英国文化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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